【U-20】15歳久保建英が与える刺激。中2日と過密日程のW杯、高まるチームの競争意識

5月23日(火)7時19分 フットボールチャンネル

「(久保は)周りにいい刺激を与えてますね」(杉岡)

 韓国で行われているFIFA U-20ワールドカップのグループステージ第1節で、U-20日本代表はU-20南アフリカに勝利した。注目の久保建英は最初の交代カードとして投入され、何度も好機を演出。このチーム最年少選手の好パフォーマンスは他の選手たちにも刺激を与えている。チームの総力が問われる過密日程の大会にあって、15歳FWの活躍は、ピッチ内外で好影響をもたらしていると言えそうだ。(取材・文:元川悦子【水原】)

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 21日に行われた2017 U-20ワールドカップ初戦・南アフリカ戦(韓国・水原)を2-1で逆転勝利し、好スタートを切った日本代表。激闘から一夜明けた22日は、午前10時から1時間程度の軽いトレーニングを実施した。

 当初は小川航基(磐田)、堂安律(G大阪)ら前日の先発メンバー11人が室内調整し、それ以外は全員グランドに出てくる予定だった。が、59分からピッチに立った15歳の久保建英(FC東京U-18)も疲労を考慮され、前者に合流。報道陣の前には姿を現さなかった。

 このため、この日の練習参加者は波多野豪(FC東京)、山口瑠伊(ロリアン)、杉岡大暉(湘南)、原輝綺(新潟)、藤谷壮(神戸)、遠藤渓太(横浜)、市丸瑞希、高木彰人(ともにG大阪)、田川享介(鳥栖)の9人。彼らは内山篤監督の指示の下、ランニングや4角形のボール回し、狭いグリッドでの3対2、ピッチの3分の2を使った3対3+GK、シュート練習などを入念にこなした。

 前日の試合後、「Jリーグとは比較にならないほど疲れが来た」と冨安健洋(福岡)が疲労感を色濃くにじませたように、先発組の消耗度は非常に激しいはず。24日の次戦・ウルグアイ戦(水原)も含め連続フル稼働し続けるのは厳しいだろう。

 となると、控え選手たちの底上げが必要不可欠になってくる。冨安と中山雄太(柏)の両センターバックが尻上がりに調子を上げ、ミスを取り戻す姿をベンチから見ていた杉岡も「試合のイメージはできてますし、ホントに早く試合に出たい」と出場チャンス到来を熱望していた。

 その杉岡は15歳の久保に先を越されたことに悔しさを感じている様子だった。

「ポジションは違えど、天才と言われようとも、年下に先に(世界大会に)出られるのはなんか悔しさがありますね。建英がいることで前の選手たちはもっとやんなきゃって思ってますし、周りにいい刺激を与えてますね」と彼はしみじみ語っていた。

 それは控え組全員に共通する気持ちに違いない。久保がやれるなら自分たちもやれるはず……。若武者の目覚ましい活躍でチーム内の競争意識が日に日に高まっていくのは、今回の日本代表、そして日本サッカー界全体にとって前向きな要素と言っていい。

「何度でも仕掛けてチャレンジしていきたい」(遠藤)

 南ア戦で久保に続いてジョーカー2番手としてピッチに立った遠藤も不完全燃焼感を払拭したいという意欲は非常に高い。

「(南ア戦では)監督から『チャンスはできるから自信を持って仕掛けていけ』と言われましたし、最初のプレーで(堂安の)得点に絡めたのはよかったけど、自分のよさはあまり出せなかった。逆転してからは守備の時間が続きましたし、攻めのチャンスが少なかった。ドリブルで仕掛けなかったら自分が出る必要はない。自分は仕掛けてナンボ。ホントに何度でも仕掛けてチャレンジしていきたい」と背番号11は語気を強めていた。

 ウルグアイ戦も引き続きスーパーサブに位置付けられる可能性は高いが、南米王者は南ア以上に球際が激しく、足元の技術も高い。同じような感覚で対峙したら、アッサリとやられる可能性も否定できない。ウルグアイ対イタリア戦をテレビで見たことで、遠藤はより強い危機感を抱いたようだ。

「ホントに1人1人が戦う気持ちを持たないと、こぼれ球とかも全部相手に転がると思う。まず戦うことが大前提。残りの試合は後悔しないようにやりたいです」と本人は言う。

 大会前には横浜出身の大先輩・中村俊輔(磐田)から「(この大会は)思った以上にやれるから」と激励の言葉をもらったという。中村俊輔が出場した97年マレーシア大会も、同じクラブの先輩・栗原勇蔵(横浜)が出場した2003年UAE大会も日本は8強まで勝ち進んでいる。その結果を超えることが遠藤に課せられた命題だ。そのためにも、まずはウルグアイ戦でゴールに直結する結果を残したい。

「いつ出てもいいように試合に向けて準備したい」(原)

 南ア戦で久保、遠藤に続く3枚目のカードとして出場した原も巻き返しに躍起になっている1人だろう。前日ピッチに立ったのはわずか1分程度。ボールを触る機会もなく、どこか消化不良感を覚えたに違いない。

 そもそも原は静岡県内の大会直前合宿まで、坂井大将(大分)とのボランチコンビ筆頭候補と目されていた。今季入団したアルビレックス新潟で開幕スタメンに抜擢されたことで、内山監督からも大きな期待を寄せられていた。

 しかし本人は「クラブでは左サイドバックをやったりしているし、ここでボランチでやった時に生かせることがあまりない」と複数ポジションを柔軟にこなす難しさを吐露。新潟のJ1下位低迷も重なって、15日のホンジュラス戦(エコパ)では精細を欠いて、本大会のスタメンボランチの座を板倉滉(川崎)に奪われる格好になってしまった。

 それでも、ピッチに立った以上は短い時間でも守備職人としての鋭さを発揮しなければならない。彼自身も「ボールを取れなくてもバックパスさせる分にはいいと思って、相手がパスを出すコースを読みながら抜けた瞬間に寄せることを意識してました。ピッチに立って大会の雰囲気を体験するだけでも違うのかなと思うし、いつ出てもいいように試合に向けて準備したい」と前向きさを前面に押し出していた。

 南ア戦で板倉がまずまずのパフォーマンスを見せたことから、次戦・ウルグアイ戦も先発が有力視されるが、原の出場時間が長くなる可能性は少なくない。もしくは守備面で不安を露呈した左サイドバック・舩木翔(C大阪)の代役として抜擢されることも考えられる。

 いずれにせよ、守備の万能型プレーヤーである彼の役割は幅広いだけに、ウルグアイ戦ではカギを握る存在になるかもしれない。昨年10月のアジア最終予選(バーレーン)でも途中出場して流れをガラリと変えることがしばしばあったが、世界の舞台でもその再現は可能なはずだ。

 15歳の久保建英が見せた強烈なインパクトを上回るべく、遠藤・原のジョーカー組、そして杉岡ら控え組にはより一層の奮起が求められる。

(取材・文:元川悦子【水原】)

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