北中米の雄が抱える“2大スター候補”と“不安要素”とは?【U20メキシコ代表】
2019年5月23日(木)21時20分 サッカーキング
通算16回目の出場はアメリカ、アルゼンチンと並んで最多タイ。1977年の第1回大会で準優勝し、最近では2011年の第18回大会で3位に入っている。23日から開幕するU−20ワールドカップに出場するメキシコ代表は、今回はそれを上回る結果を求めているが、期待と不安が入り混じる状況となっている。
北中米カリブ海地区予選を兼ねた2018年のCONCACAF U−20選手権は、出場34チームを5チームないし6チームずつ6グループに分けてのグループステージを行い、勝ち上がった6チームを2つに分けてのU−20W杯出場権獲得ラウンド、ここを勝ち上がったチーム同士で決勝戦というフォーマットで行われた。メキシコはまずニカラグア、サン・マルタン、ジャマイカ、グラナダ、アルバとともにグループステージを戦った。第3節のジャマイカ戦こそ2−2の引き分けに終わったが、それ以外の国や地域との実力差は歴然としており、ニカラグアに7−0、サン・マルタンに4−0、グラナダに8−0、アルバ戦は10−0と大勝を続け、難なく次のステージに進出した。
U−20W杯出場権獲得ラウンドではエルサルバドル、パナマと対戦。エルサルバドルに1−0で勝利し、パナマとは2−2の引き分けに終わって1勝1分けの勝ち点4、3得点2失点で得失点差+1とすべての数値でパナマと並んだが、フェアプレーポイントでわずかにパナマを上回って1位となり、U−20W杯出場権獲得と決勝進出を果たした。
決勝では地区のライバルであるアメリカと対戦。球際の激しさと縦に速い攻撃に苦しみ、0−2で敗れて優勝を逃してしまった。U−20W杯出場権獲得ラウンドのパナマ戦でも相手のパワーや高さに苦戦しており、フィジカルを持ち味とするチームへの対応は本大会でも課題となるだろう。
スター候補を擁しながらも露呈した“不安要素”
チームには2人のスター候補がいる。ディエゴ・ライネスとホセ・フアン・マシアスだ。ライネスは18歳ながら10番を背負う小柄なアタッカーで、左足でボールを操りながら密集を切り裂く姿から“メキシコのメッシ”の異名をとる。名門クラブ・アメリカのアカデミーからトップチームに昇格し、今年1月には5年契約でベティスに移籍している。
マシアスはオマール・ブラボやハビエル・エルナンデスといった名FWを輩出したグアダラハラ出身のストライカーで、現在は国内のレオンというクラブでプレーしている。両足で正確なシュートが放てる上にヘディングも強く、どんな流れからでも、どんな態勢でもゴールを狙える万能型だ。CONCACAF U−20選手権では10ゴールを挙げて得点王に輝いており、本大会でも要注目の選手の1人と言える。メキシコは主に4−4−2の布陣で戦っており、相手によっては4−3−3や4−3−1−2も採用する。ライネスがサイドMFやトップ下、マシアスが最前線に入る形が一般的だ。
ただし、この2人は大会前のトレーニングキャンプにはほとんど参加できず、チームに合流したのはイタリアとの初戦が行われるわずか3日前だった。ライネスは5月19日に行われるラ・リーガ最終節のレアル・マドリード戦、マシアスは同日のリーガMXリギージャ(上位8チームによる決勝トーナメント)準決勝のクラブ・アメリカ戦が終わってからポーランド入りしており、ほぼ“ぶっつけ本番”でイタリア戦に挑むことになる。
2人の不在が影響してか、大会前に実施したトレーニングマッチではサウジアラビアに1−1と引き分け、コロンビアには1−3で敗戦。さらにはニュージーランドにも1−3で敗れ、小さくない不安を抱えたまま本番を迎えることとなった。2大エースに懸かる期待は必要以上に大きくなっているが、そのプレッシャーをはねのけることはできるだろうか。
文=池田敏明
北中米カリブ海地区予選を兼ねた2018年のCONCACAF U−20選手権は、出場34チームを5チームないし6チームずつ6グループに分けてのグループステージを行い、勝ち上がった6チームを2つに分けてのU−20W杯出場権獲得ラウンド、ここを勝ち上がったチーム同士で決勝戦というフォーマットで行われた。メキシコはまずニカラグア、サン・マルタン、ジャマイカ、グラナダ、アルバとともにグループステージを戦った。第3節のジャマイカ戦こそ2−2の引き分けに終わったが、それ以外の国や地域との実力差は歴然としており、ニカラグアに7−0、サン・マルタンに4−0、グラナダに8−0、アルバ戦は10−0と大勝を続け、難なく次のステージに進出した。
U−20W杯出場権獲得ラウンドではエルサルバドル、パナマと対戦。エルサルバドルに1−0で勝利し、パナマとは2−2の引き分けに終わって1勝1分けの勝ち点4、3得点2失点で得失点差+1とすべての数値でパナマと並んだが、フェアプレーポイントでわずかにパナマを上回って1位となり、U−20W杯出場権獲得と決勝進出を果たした。
決勝では地区のライバルであるアメリカと対戦。球際の激しさと縦に速い攻撃に苦しみ、0−2で敗れて優勝を逃してしまった。U−20W杯出場権獲得ラウンドのパナマ戦でも相手のパワーや高さに苦戦しており、フィジカルを持ち味とするチームへの対応は本大会でも課題となるだろう。
スター候補を擁しながらも露呈した“不安要素”
チームには2人のスター候補がいる。ディエゴ・ライネスとホセ・フアン・マシアスだ。ライネスは18歳ながら10番を背負う小柄なアタッカーで、左足でボールを操りながら密集を切り裂く姿から“メキシコのメッシ”の異名をとる。名門クラブ・アメリカのアカデミーからトップチームに昇格し、今年1月には5年契約でベティスに移籍している。
マシアスはオマール・ブラボやハビエル・エルナンデスといった名FWを輩出したグアダラハラ出身のストライカーで、現在は国内のレオンというクラブでプレーしている。両足で正確なシュートが放てる上にヘディングも強く、どんな流れからでも、どんな態勢でもゴールを狙える万能型だ。CONCACAF U−20選手権では10ゴールを挙げて得点王に輝いており、本大会でも要注目の選手の1人と言える。メキシコは主に4−4−2の布陣で戦っており、相手によっては4−3−3や4−3−1−2も採用する。ライネスがサイドMFやトップ下、マシアスが最前線に入る形が一般的だ。
ただし、この2人は大会前のトレーニングキャンプにはほとんど参加できず、チームに合流したのはイタリアとの初戦が行われるわずか3日前だった。ライネスは5月19日に行われるラ・リーガ最終節のレアル・マドリード戦、マシアスは同日のリーガMXリギージャ(上位8チームによる決勝トーナメント)準決勝のクラブ・アメリカ戦が終わってからポーランド入りしており、ほぼ“ぶっつけ本番”でイタリア戦に挑むことになる。
2人の不在が影響してか、大会前に実施したトレーニングマッチではサウジアラビアに1−1と引き分け、コロンビアには1−3で敗戦。さらにはニュージーランドにも1−3で敗れ、小さくない不安を抱えたまま本番を迎えることとなった。2大エースに懸かる期待は必要以上に大きくなっているが、そのプレッシャーをはねのけることはできるだろうか。
文=池田敏明