ジェラードがリヴァプールを去ってから5年 盟友たちの現在は?

2020年5月23日(土)19時20分 サッカーキング

 元イングランド代表MFスティーヴン・ジェラードがリヴァプールの選手として最後にピッチに立ったのは、2015年5月24日だった。18歳でトップチームデビューを飾り、23歳の若さでキャプテンに就任。カップ戦3冠(2001−02シーズンにFAカップ、リーグカップ、UEFAカップを制覇)やイスタンブールの奇跡を経て、クラブの英雄に留まらず、“街の象徴”と呼ばれるまでの存在となったジェラードがリヴァプールに別れを告げた。

 あれから5年。ジェラードはスコットランドのレンジャーズで監督を務めているが、彼と共にアンフィールドを沸かせたチームメイトたちは、どのようなキャリアを送っているのだろうか。今回は“ジェラードの盟友たち”の今を紹介する。

※カッコ内は(現年齢/国籍/リヴァプール在籍期間)。生え抜き選手はトップチームの在籍期間を示す
[写・真]=Getty Images

▼GK ペペ・レイナ(37歳/スペイン/2005−2014)

 GKの中でジェラードと最も多く共演した。リヴァプールに加入した2005−06シーズンのFAカップ決勝では、PK戦で相手のキックを3本阻止して優勝の立役者となった。ジェラードから次期キャプテンに推されたこともあったが、2014年にバイエルンへ移籍。今年1月にミランからのレンタルでプレミア残留を目指すアストン・ヴィラに加入した。アストン・ヴィラはリヴァプールとの対戦を残しているため、プレミアリーグが再開されれば7年ぶりにアンフィールドのピッチを踏むことになりそうだ。

▼DF ジェイミー・キャラガー(42歳/イングランド/1996−2013)

 ユース時代から2013年に現役を退くまで一度も移籍することのなかった“Mr.リヴァプール”。世界中の誰よりもジェラードと同じピッチに立ち、イングランド代表を含めれば570試合も共闘した。寡黙なジェラードと大声でチームメイトを叱咤激励するキャラガーは、互いを補い、高め合う関係だった。引退後のキャラガーは解説者として活躍するほか、自身の名を冠したアカデミーも運営。チャリティー活動にも積極的に参加している。

▼DF サミ・ヒーピア(46歳/フィンランド/1999−2009)

 1999年にヴィレムIIからわずか250万ポンド(約4億円)でリヴァプールに加入。それから10年もの間、レッズのユニフォームに袖を通し、クラブ史上“最もコスパが良かった”選手と評価されている。2011年にレヴァークーゼンで現役を引退すると、フィンランド代表のアシスタントコーチに就任。その後はレヴァークーゼン、ブライトン、チューリッヒで監督を務めたが、いずれも短期政権に終わった。2016年以降は現場から遠ざかり、以前から好きだったというモトクロスの世界に没頭しているようだが、いつかは監督業へと戻るつもりとのこと。

▼DF ヨン・アルネ・リーセ(39歳/ノルウェー/2001−2008)

 強烈なキックを持ち、左サイドバックながら高い得点力を備えていたリーセ。ジェラードとは同い年で、“イスタンブールの奇跡”を成し遂げたメンバーの一人である。リヴァプール退団後はローマやフルアム、さらにキプロスやインドのリーグでプレー。引退後は代理人やスポーツ・ディレクター職を務めていたが、今年1月にノルウェー3部リーグのフリントの監督に就任し、指導者の道を歩み始めた。4月上旬に交通事故で入院したというニュースが飛び込んできたが、大事には至らなかったと報告してファンを安堵させている。

▼DF グレン・ジョンソン(35歳/イングランド/2009−2015)

 圧倒的な攻撃力を誇った右サイドバック。リヴァプール在籍中はイングランド代表でもレギュラーとして活躍し、2010年と2014年のワールドカップに出場した。ジェラードと同じく2015年の夏にリヴァプールを退団すると、ストークへ移籍。同クラブが2部に降格した2018年からは所属先がなく、昨年1月に引退を発表した。現在は数多くのメディアに登場しており、アンバサダーを務めるブックメーカー「BETDAQ」では毎週、フットボールに関するトピックでブログを更新している。

▼MF ハビエル・マスチェラーノ(35歳/アルゼンチン/2007−2010)

 ラファエル・ベニテス監督(当時)のもとで、本職のセントラルMFのほか、センターバックやサイドバックもこなしたマスチェラーノ。リヴァプールの在籍期間は3年半と長くはなかったが、強烈なインパクトを残した。2010年に移籍したバルセロナでは、5度のリーグ優勝と2度のチャンピオンズリーグ(CL)制覇を達成。河北華夏を経て、今年1月にファン・セバスティアン・ベロンが会長を務めるアルゼンチンのエストゥディアンテスに加入した。キャリアの終盤に母国でもう一花咲かせることはできるだろうか。

▼MF ルーカス・レイヴァ(33歳/ブラジル/2007−2017)

 2007年から10年間もリヴァプールに在籍したブラジル人MF。加入当初はマスチェラーノとダブルボランチを形成してジェラードを支え、アルゼンチン人MFの退団後はポジションを下げたジェラードと中盤でタッグを組んだ。ジェラードによれば、「キャリアを通じて知り合った人の中で、最も出来た人間の一人」だという。2017年からはラツィオに所属。2018年にはレンジャーズが獲得を狙っているとの噂が浮上したが、移籍は実現しなかった。

▼MF シャビ・アロンソ(38歳/スペイン/2004−2009)

 加入1年目でCL制覇(イスタンブールの奇跡)に貢献。2009年にリヴァプールを退団した後は、レアル・マドリードとバイエルンという2つのビッグクラブを渡り歩いた。2017年の現役引退後はレアル・マドリードのユースチームで監督を務め、今季から古巣レアル・ソシエダのBチームを率いている。ジェラードは2015年に発売された自伝で、「将来、リヴァプールの監督になった暁には、アロンソかキャラガーをアシスタントに据えたい」と記している。あり得ない話ではないだろう。

▼MF ディートマー・ハマン(46歳/ドイツ/1999−2006)

 ジェラードのキャリア序盤に大きな影響を与えた選手。「プロデビュー間もないころ、ハマンが“安全網”の役割を果たしてくれたおかげで攻撃力を磨くことが出来た」とジェラードも振り返る。7年在籍したリヴァプールを離れた後も、ボルトン、マンチェスター・C、MKドンズとイングランドでプレーを続け、2011年に引退。同年夏に5部のストックポート・カウンティの監督に就任するも、わずか4カ月で辞任した。2015年にアマチュアクラブのトゥス・ハルターンで現役に復帰したが、現在は主に解説者として活動している。

▼MF ジョーダン・ヘンダーソン(29歳/イングランド/2011−)

 リヴァプールを退団したジェラードから、主将の座を引き継いだのがヘンダーソンだ。サンダーランドから加入した当初は批判の声も少なくなかったが、不断の努力で評価を覆し、偉大なリーダーへと成長を遂げた。ジェラードも「ジョーダンのような“汚れ役”がいなければ、リヴァプールは機能しない」と賛辞を惜しまず、自身の後継者がトロフィーを掲げる日を待ち焦がれているはずだ。

▼FW ロビー・ファウラー(45歳/イングランド/1993−2001、2006−2007)

 ユースにいたジェラードがトップチームへの昇格を目指していたころ、憧れの存在だったのがファウラーだ。1990年代半ばにリヴァプールのエースの座に君臨し、ファンから「ゴッド」と崇められていた。タイのムアントン・ユナイテッドでは選手兼監督を務めるも、2012年に退団。その後は所属先がなく、2015年1月2日にジェラードのリヴァプール退団発表を受けて発信したツイートで、自らの引退も正式に表明した。昨年、オーストラリアAリーグのブリスベン・ロアーの監督に就任し、指導者キャリアをスタートさせている。

▼FW マイケル・オーウェン(40歳/イングランド/1996−2004)

 現役時代に“ワンダーボーイ”として世界にその名をとどろかせたオーウェン。1つ年下のジェラードとはユース時代から切磋琢磨した間柄だ。ジェラードは4月に行われたインタビューで、自身の能力を最も引き出してくれた選手の一人としてオーウェンの名前を挙げ、「キャリアの序盤に同じ認識、同じ波長でプレーができた」と語っている。競馬好きで知られ、現役時代から馬とサッカーの“二刀流”を貫いてきた。競走馬や厩舎を所有し、2017年にはジョッキー・デビューを果たしている。

▼FW ディルク・カイト(39歳/オランダ/2006−2012)

 エゴがなく、ハードワークを厭わないプレースタイルでアンフィールドでも愛された。2018年にロッテルダムで行われた記念試合には、リヴァプール時代のチームメイトも数多く参加。レンジャーズの監督に就任目前だったジェラードは、キエフでCL決勝の解説を行った後、わざわざ飛行機を変更してまで盟友の花道を飾ったという。同年齢のジェラードの影響もあって、監督を目指すことを決意し、現在は古巣フェイエノールトのU−19チームで監督を務める。教え子がジェラード率いるチームに引き抜かれる——なんてこともあるかもしれない。

▼FW フェルナンド・トーレス(36歳/スペイン/2007−2011)

 昨年、サガン鳥栖で現役を引退したトーレス。リヴァプールではジェラードと抜群の相性を誇り、3年半の共演期間中、互いのアシストから生まれたゴールは「22」を数えた。2011年1月に当時の英国史上最高額でチェルシーへ移籍。ミラン、アトレティコ・マドリードを経て、キャリア最後の1年をJリーグで過ごした。コーチングライセンス取得に向けて、4月から講座の受講を始めており、指導者としての第一歩を踏み出したところだ。

▼FW ルイス・スアレス(33歳/ウルグアイ/2011−2014)

 トーレスと入れ替わる形でリヴァプールに加入したのがスアレスだ。噛み付き事件や人種差別行動など、プレー以外の部分が取り沙汰されることも多かったが、圧倒的な決定力でチームのレベルをアップさせた。2013−14には31ゴールを決めてプレミアリーグの得点王に。ジェラードのスリップ事件でリーグ優勝は逃したものの、優勝争いに大きく貢献し、PFA年間最優秀選手に選ばれた。このシーズンを最後にリヴァプールを離れると、バルセロナでも不動の地位を築いている。

(記事/Footmedia)

サッカーキング

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