来季FAの目玉、カワイ・レナード。静かなるスターはこれだけすごい

5月23日(木)6時57分 Sportiva

 現地時間5月12日、カワイ・レナードが放った”ザ・ショット”は、トロント・ラプターズのチーム史に残るシュートとして語り継がれていくに違いない。


ラプターズのエースとしてチームをけん引するレナード

 フィラデルフィア・76ersと争ったイースタン・カンファレンス・セミファイナルは、6試合を終えた時点で3勝3敗。第7戦も90−90の同点で残り時間がわずかとなり、そのままオーバータイム(延長戦)に持ち込まれるかと思われた。

 若い選手が多い76ersの勢いに押され、地元開催のゲームでも不安を感じていたラプターズファンは多かっただろう。しかし——。

 残り4.2秒から始まった最後のプレーで、レナードは右コーナーからジャンプショットを放つ。ボールはリング上で4度弾み、静かにネットを通過した。あまりにも劇的なブザービーターで、ラプターズのカンファレンス・ファイナル進出が決定。ハリウッド映画のような結末は、1年前に大きな期待を持ってサンアントニオ・スパーズからレナードを迎え入れたラプターズも想定できなかったに違いない。

「(レナードが)自身のショットをクリエイトする技は、まるでコービー・ブライアントのようだ。すごい選手だよ」

 このシリーズ中、76ersのブレット・ブラウンHC(ヘッドコーチ)はNBA史に残るレジェンドを引き合いに出し、レナードに最大限の賞賛を与えていた。 

 そんな言葉が示すとおり、レナードは今季のMVP候補に挙がるほどの活躍を続けてきた。稀有な得点力を持つだけではなく、2015年、2016年に2年連続で最優秀守備選手にも選ばれた”コンプリートプレーヤー”。今季のプレーオフも、チーム内でダントツの平均30得点以上を挙げてきた背番号2の存在なしには、ラプターズの上位進出もありえなかった。

 ヴィンス・カーター、クリス・ボッシュ、デマー・デローザンといった優れた選手を輩出してきたラプターズでも、この活躍の過程でレナードこそが「フランチャイズ史上最高のプレーヤー」と呼ばれるようになったのだ。

 しかし、これだけトロントを沸かせてきたレナードも、ラプターズでプレーするのは今季限りかもしれない。

 27歳のレナードはシーズン終了後にFA権を取得する。NBA労使協定のシステム上、ラプターズはレナードに最大5年1億9000万ドル(約210億円)の契約を提示することができるが、他のチームは4年1億4100万ドル(約155億円)が上限になる。

 そんな金銭面での差はあるものの、移籍を予想する声は根強い。レナード本人と、長く付き合っているガールフレンドはどちらもカリフォルニア州出身ということもあり、ロサンゼルス・クリッパーズが移籍先の有力候補として挙げられてきた。

 今プレーオフで勝ち進み、レナードが”ラプターズ=優勝が狙えるチーム”という点に価値を見出せば、「トロント残留の可能性が高まる」というのが世間の大方の見方だ。無口なことで有名なレナードの真意を推し量るのは難しく、実際にプレーオフ上位進出が残留への有力なカードになるとは限らないが、もちろん勝ち進むに越したことはない。

 現在戦っているイースタン・カンファレンス・ファイナルでは、第1シードのミルウォーキー・バックスを相手に4戦を終えて2勝2敗。ホームでの第3、4戦で連勝したが、ホームコート・アドバンテージをバックスが持っていることから、依然としてラプターズが形勢不利という見方が一般的だ。ここでプレーオフ敗退となれば、チームのエースの決断にさらなる注目が集まるだろう。

 そんなレナードについて、ラプターズの同僚ダニー・グリーンはこう評している。

「カワイはティム(・ダンカン)から多くのものを受け継いでいる。マナーや、振る舞いなどはよく似ているよ。ティムは興奮しすぎたり、ハッピーになりすぎたりすることがなかった。自分に厳しく、その点ではカワイ以上だった。カワイも自分を責めることがあるだろうけど、見ている側にはわからない。ともあれ、彼らは同じような性格で、共に負けず嫌いだ」

 レナード、グリーンは共にスパーズの出身。大活躍の後でもストイックさが変わらないレナードが、スパーズの黄金時代を築き上げたレジェンド、ダンカンから多くを学んだという指摘は納得できる。

 コービーを引き合いに出されるほどの得点力がありながら、守備にも優れ、ダンカンを彷彿とさせる献身的なチームプレーヤー。キャラクター的にはやや地味でも、これほど多くの長所を持った選手はなかなか現れるものではない。FAマーケットに出れば人気選手になることは間違いなく、もし彼を失えば、残されたチームが大打撃を受けることも必然だ。

 レナードが去ってしまった場合、来季以降のラプターズは優勝の可能性が極めて低くなる。一気にチーム解体に向かう可能性も指摘されており、カイル・ラウリー、サージ・イバカ、マルク・ガソルといったベテランプレーヤーたちの行方も、ある意味で「レナード次第」と言える。

 ラプターズは下馬評どおりにバックスに敗れ、レナードはFAでチームを去るのか。76ers戦のスーパーショットは栄光の記憶として、短すぎた希望の象徴になってしまうのか。

 それとも、ラプターズがバックスを番狂わせの逆転で破り、NBAファイナルに進出してトロントにおける”レナード時代”は続くのか。静かなるスーパースターの背中に、さまざまなものが委ねられている。

Sportiva

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