“程度のいい”持ち越しタイヤが超接近戦の呼び水となるか/スーパーフォーミュラ第3戦

2018年5月25日(金)19時3分 AUTOSPORT web

 5月25日、全日本スーパーフォーミュラ選手権第3戦の専有走行がスポーツランドSUGOで行われた。トップに立ったのは石浦宏明(JMS P.MU/CERUMO・INGING)。このセッションでは、石浦のトップタイムから1秒以内に16人が入る接近したタイム差となった。


 前戦オートポリスでは悪天候のために決勝レースが中止。そのため今回、各チームとも、状態のよいタイヤを持ち込んでいる。そういったタイヤ事情も絡み合い、金曜日に行われた専有走行のタイム差は僅差になった。トップの石浦から16番手のトム・ディルマン(UOMO SUNOCO TEAM LEMANS)まで、タイム差は1秒以内。19番手の大嶋和也(UOMO SUNOCO TEAM LEMANS)が約1.2秒差という超接近した結果となったのだ。


 もちろん金曜の専有走行は、セッティング出しやタイヤの確認がメインでタイム出しが目標ではないため、これはあくまでも参考タイム差ではある。とはいえ、完全に無視できないのも事実だろう。


「今のところいい手ごたえを感じている」と言うのは、1分7秒151でトップタイムをマークした石浦だ。


「今までこのSUGOがうちのチームにとって鬼門だったんです。2年前、2台そろって予選Q1落ちした“惨敗”のレースもありました。ヨコハマタイヤになってからうまく成績が出せず悩んでいたんです」


「ただ、去年のレースウイークから(マシンが)コースに合ってきた感触があって、それをヒントに今年、普段とはまったく違う流れのセッティングでクルマを造ってきました。今のところ、それにいい手応えを感じていてタイムにも表れています」


 ただ、いい感触をつかみながらも、石浦は明日の予選に向けて楽観視はしていない。走行を重ねるごとに路面状況がよくなれば、全体的にタイムも縮まってくる。


「ここから予選に向けてタイムも上がっていくはずなので、その状況に合わせることができれば、上位で予選を終えられるかなと思ってます。前戦、予選は残念な結果でしたけど、そのなかでミディアムタイヤとソフトタイヤの使いこなし方が見えました。そのヒントを生かしたいと思います」


 ちなみに石浦、この専有走行ではコースアウトを喫していたのだとか。「ハイポイントでコースアウトして、縁石の上で跳ねちゃったんですよ」と苦笑い。


「そのときにマシン(のボトム)を激しく打っちゃったんです。メカニックさんに入念にチェックしてもらわなくちゃいけませんし、(明日の走行では)その影響が出なければいいなと思います」


■野尻、松下が感じる予選上位進出の可能性


 そして、このタイム差の小ささに可能性を感じているのがDOCOMO TEAM DANDELION RACINGのふたりだ。野尻智紀は13番手、松下信治は18番手で専有走行を終えている。


 前戦オートポリスで予選2番手タイムだった野尻。別カテゴリーであるスーパーGTでは、先週行われた第3戦鈴鹿でGT500クラス優勝を果たした勢いのままSUGOに乗り込んできた。上位につけることができなかった野尻は走行後、「走り出しのセットアップがあまりよくなかった」と厳しい表情を見せたものの、思ったほどライバルとのタイム差はなかったようだ。

野尻智紀(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)


「あまり調子はよくなかったけれど、何を直せばいいのかは明確になっています。それがうまく直れば充分に戦えると思うし、ちゃんといい位置でスタートを迎えられるように、今日、明日は準備するだけですね」


「(セッション中)路面はどんどんよくなってくる最中でした。予選で路面がどのくらいよくなるのか未知数で、それが難しいところですね。(現時点で)自分が感じているポテンシャルの低さから考えると、タイム差が少ないです。本当に少しよくなればトップ争いができるところにいけると思います。だから、現時点ではそんなに心配していませんよ」


 全日本F3以来、SUGOを走行したチームメイトの松下も、同じように感じている。松下はセッション最後にアタックを予定していたそうだが、赤旗提示によりそのまま走行が終了したことで順位を上げられずに終わった。

松下信治/DOCOMO TEAM DANDELION RACING


「もう少し詰めたいですね。タイム差が小さいので、ちょっとしたことで順位が大きく変わると思います」


 そして、前戦予選1番手タイムを記録した平川亮(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL)。平川はセッション中盤、SPアウトコーナーでマシンを停止。これによりセッションは赤旗中断となった。平川はピットに戻り再び走り出したものの、結果的には9周して17番手に終わった。

平川亮/ITOCHU ENEX TEAM IMPUL


「ハイポイントの立ち上がりで縁石に当たってしまい、そこでECUを壊してしまったみたいです。ちょっと(コースから)はみ出たくらいだったんですけど。(このトラブルが)今日出てよかったとは思います。そのあともなかなか走り込めず、汗ひとつかかずに終わりました」


「今日は暑かったですけど、思いのほか路面が悪くて、タイムが出にくいですね。(第2戦決勝が中止になった影響で)どのチームも程度のいいタイヤを持ち込めているはずです。今日と明日の練習走行でちゃんと比較ができる。そこを楽しみにしてきましたけど、(今日は)残念でしたね。ただ、感触は悪くないので、ふつうにいければ(上位に)いけると思います」


 通常よりも状態のいいタイヤで走行ができることを考えれば、明日午前に行われるフリー走行を経て路面状況が改善されていき、全体的にタイムが上がりタイム差がさらに縮まってくることが予想される。加えてSUGOは1周あたりの距離が短い。全19台がアタックする予選Q1では、いかにしてクリアラップをとるかも重要だ。


 第3戦SUGOは、拮抗するタイム差が、前戦オートポリスとはまた別の“波乱”を呼ぶことになるかもしれない。


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