16年ぶりに復帰の“ドライバー”近藤真彦がレースを楽しむ「実際にコースを走ることこそが原点」

2024年5月25日(土)10時59分 AUTOSPORT web

 5月25日、静岡県の富士スピードウェイで開催されているENEOS スーパー耐久シリーズ2024 Empowered by BRIDGESTONE第2戦『NAPAC 富士SUPER TEC 24時間レース』の決勝レースを前に、ORC ROOKIE RacingからST-Qクラスに参戦するORC ROOKIE GR Corolla H2 conceptをドライブする“レーシングドライバー”近藤真彦が、レースを前にメディアミーティングに出席し、レースに向けた意気込みを語った。


 スーパー耐久シリーズに参戦するORC ROOKIE GR Corolla H2 conceptは、世界でも類をみない水素エンジンでの挑戦を2021年から続けており、2024年の参戦が4回目の挑戦。今回は長い24時間レースということもあり、多くの参戦チームがゲストドライバーを加えているが、ORC ROOKIE Racingのチームオーナーであり、ドライバーであるモリゾウからの誘いを受け、今回近藤は選手として16年ぶりにレースに参加した。


 今回のレースウイークに参戦しての感想、そしてレースへの意気込みを求められると、「もうワクワク感しかないです。今朝も、往年のドライバーの皆さんとお話をしてきたのですが、今までは『いい年してなんでまだレースをしているのか、ヘルメットを被って走っているのかな』と思っていたのですが、いざ自分がヘルメットを被って乗ってみると、『ああ、これなんだ』と感じました」と、実際にコースを走ることこそがモータースポーツの楽しさの原点だと再確認したという。


「僕はいまオーガナイザーの会長として、チームオーナーとしてレースの仕事をたくさんやっていますけど、いちばんのレースの醍醐味はヘルメットを被って、ステアリングを握ってサーキットを走ることなんだと昨日、一昨日で感じました。本当に楽しく週末を過ごさせていただいています」

2024スーパー耐久第2戦富士24時間 ORC ROOKIE Racingのピット裏で話す近藤真彦


■「完成度が素晴らしく高い」水素エンジン車に驚き。ニッサンZもドライブ


 今回ドライブしているORC ROOKIE GR Corolla H2 conceptは、水素エンジンを搭載する車両だ。今までチームのメンバー以外では、水素エンジン車を走らせた経験があるドライバーはまだまだ少ない。しかし、良い意味で予想を裏切られたという。


「パワーはぜんぜん期待していなかったし、音も期待していなかった」という近藤だが、「ガソリンエンジンとまったく変わらないくらいの音とバランスがあります。車重も重いので不安もあったのですが、TGRコーナーに入るときのブレーキングのポイントなどは本当に素晴らしいです」という。


「『マッチ、これは水素のクルマだよ』と言われなければ分からないくらいの完成度だと思いますし、この24時間レースでデータを取って、来年、再来年にはもっと素晴らしい水素エンジン車ができあがるのではないかと思っています」


「水素エンジンについても、すでに完成されつつあるエンジンだと感じています。1〜2年前までは相当な苦労をされてきたんじゃないかと思っていますが、ガソリンエンジンに匹敵するパワーと音、そしてバランスもそうですが、今は完成度が素晴らしく高いエンジンだと思っています」


 また一方で、専有走行の最中には、同じST-QクラスにGT4の開発を目的として参戦しているNissan Z NISMO Racing Conceptにも乗り込んだ。こちらはカーボンニュートラルフューエルを使用するものの、速さもキャラクターまったく異なる一台だ。


「このクルマもニッサンらしい、とにかくエンジンパワーに尽きるというか、自分でも欲しくなるくらいの完成度があるGT4カーになっていると思いますし、それをさらに24時間レースで熟成させていくということで、非常に楽しみなZになっていると思います」とどちらもドライビングを楽しんだという。

2024スーパー耐久第2戦富士 ORC ROOKIE GR Corolla H2 conceptをドライブする近藤真彦。バイザーにニッサン/ニスモのロゴが。
2024スーパー耐久第2戦富士24時間 専有走行でNissan Z NISMO Racing Conceptに乗り込む近藤真彦


■熾烈なベストタイム争い。「モリゾウさんの速さに驚かされいます」


 今回ドライブするORC ROOKIE GR Corolla H2 conceptは、メーカーの開発を主眼としたST-Qクラスでの参戦ということもあり、同クラスの車両と順位を争うものではない。ただ開発の一方で、ORC ROOKIE Racingでは毎回ジェントルマンドライバーたちによる熾烈なベストタイム争いが行われている。レギュラーで参戦するモリゾウと小倉康宏との戦い、さらに昨年の富士では、モリゾウとWRC経験者のヤリ-マティ・ラトバラとの戦いがチーム内で大きな盛り上がりをみせていた。


 今シーズンもそれは同様で、「ライバルはチーム内の戦いになっています。いい年をしたオジサンたちがチーム内でいかに速く走るかとなっていますが(笑)、モリゾウさんのタイムをみんなが目指しています」と近藤は語った。


「僕は今年、チームに参加したのは初めてですが、さすがにモリゾウさんはトヨタ自動車の会長ですからね。『素晴らしい!』『速い!』とまわりが言い続けていて、『何を忖度しているんだ』と思っていたんです(笑)。でもぶっちゃけた話、本当に速いんです。驚きました」とモリゾウのタイムには近藤も驚いている様子だ。


 ちなみに、5月24日の予選でのタイムはモリゾウが2分01秒401、近藤が2分02秒919、ラトバラが2分01秒080というもの。プロである佐々木雅弘のタイムは1分59秒070だ。プロの2秒前後以内に入ることができるジェントルマンドライバーは、どのクラスでもかなり速いレベルにある。


「モリゾウさんの速さには本当に驚かされています。乗ることにすごく興味があるし、勉強熱心。今のところ、僕はタイムでコンマ数秒負けているので、レース中になんとか追いつけるようにしたいと思います」

2024スーパー耐久第2戦富士 ピットアウトするモリゾウを見守る近藤真彦


■「来年もどこかのチームで乗せていただければ」


 そんなレースウイークを楽しんでいる近藤だが、他のドライバーたちと異なるのが、自らがオーナーを務めるKONDO Racingのデザインのレーシングスーツを着て、ニッサン/ニスモのロゴをスーツ、ヘルメットにつけてORC ROOKIE GR Corolla H2 conceptをドライブしていることだ。この経緯について聞くと、「モータースポーツ全体の流れをどうしていくかを、たまにモリゾウさんと食事をしながら話をしていたのですが、その雑談のなかで『マッチ、うちのチームでスーパー耐久走ってみない?』という話をいただきました。最初は冗談半分だったのですが、それは面白いね、となりました」と今回の参戦の経緯から語った。


「昨年、中嶋一貴がニッサンZ GT4に乗りましたよね。そこで『今年はマッチがうちのチームに乗ってもおかしくないじゃないか』となりました。そこでニッサン/ニスモに相談したのですが、『良いイベントなので盛り上げてきてください』とありがたい言葉をいただきました」


「そこでモリゾウさんに『良い返事をいただきました』と伝えたのですが、『できればニッサン/ニスモの文字が入ったレーシングスーツで出たいのですが』と伝えたところ、モリゾウさんからは『当たり前だよ。マッチはニッサンなんだから、それを着て出てよ』と今回に至っています」


 ヘルメットはおなじみのアライヘルメットから提供され、スーパーフォーミュラで自チームに所属する山下健太のヘルメットをペイントするK’s Design&Paintsが美しく仕上げた。レーシングスーツはKONDO Racingを長年サポートしているプーマから提供されている。


「ヘルメットも20年ぶりくらいに自分の顔のサイズを測って作りましたし、レーシングスーツもサイズを測りました。ちょっと腹回りが2cmくらい増えていたかな(笑)」と笑う近藤だが、2cmのみというのは逆にさすがといったところ。


「両メーカーからのレースを盛り上げたいという気持ちがすごく伝わってきたので、ニッサンさん、トヨタさんに感謝しています」


 ふだんのスーパーGTやスーパーフォーミュラのレースウイークには見られない、ドライビングを純粋に楽しんでいる様子が印象的な近藤。「スーパー耐久は参加型のレースで、パドックはみんながレースを楽しんでいますし、ヘルメットを被ってステアリングを握る楽しさをいちばん味わえるので、あまり僕は時間がないんですが、来年もORC ROOKIE Racingと言わず、どこかのチームで乗せていただければと思います」と笑顔で再挑戦も匂わせた。

2024スーパー耐久第2戦富士24時間 この日のために制作したヘルメット、スーツを着込む近藤真彦


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