ナダル戦を誰もが切望。37歳フェデラー、全仏での勇姿は見納めか?

5月25日(土)6時37分 Sportiva

「来年はクレーコートでもプレーしたい」との想いがロジャー・フェデラー(スイス)の胸に迫ったのは、来たる新シーズンに向けてトレーニングに励んでいた、昨年の12月だったという。

「もし、2019年のクレーコートシーズンも出なかったら、僕はそのことを今後、ずっと悔いるだろう」

 郷愁の香りも交じるその想いは、2016年の全仏オープンに出られなかったことを、彼が今も心残りに思っていることに端を発する。


ロジャー・フェデラーが4年ぶりに全仏のコートに立つ

 2016年2月、フェデラーは半月板を痛めてひざにメスを入れ、約2カ月間半コートを離れていた。そこから驚異の回復で4月のモンテカロル・マスターズに出場するも、ひざは腫れ上がり、マドリード・マスターズは欠場を強いられる。それでも翌週のローマ・マスターズに出場したが、ひざ、さらには腰も痛め、結果的に全仏オープンに出ることが叶わなかった。

 この時の悔いが、ひとつの教訓となったのだろう。翌2017年のフェデラーは、「より長いキャリアを送るため」に、全仏オープンを含むすべてのクレーコート大会を欠場する。さらには翌年も、いまだ不安を残すひざを守るため、同様の決断を下した。

 そのフェデラーが昨年の年末、「ひざは、もはや万全だ」と感じることができたという。フィジカル向上の実感や、スタミナの充溢感もある。

 そこからの彼はより一層、長いラリーを想定したトレーニングメニューに取り組んだ。2019年は、長く過酷なシーズンになる——。そのことを、すでに確信していたからだ。

「別に、これが最後のクレーコートになると決めているわけではない。引退前にもう一度、クレーに出なくてはいけないと思ったからでもない」

 4年ぶりにマドリード・マスターズに帰ってきたフェデラーは、その手の話題に触れるたびに、そう何度も繰り返してきた。

 だが、地元の人々は、「これがフェデラーを見る最後になるのでは」という、ある種の感傷を抱き、試合会場に詰めかける。それらファンの熱狂的な声を背に受けるフェデラーは、3回戦ではガエル・モンフィス(フランス)に2本のマッチポイントを握られるも、ネットプレーで危機をしのぎ、逆転勝利をもぎとった。

 最終的に、準々決勝でドミニク・ティーム(オーストリア)にフルセットの熱戦の末に敗れたフェデラーに、地元の記者が尋ねる。

「私たちは来年も、マドリードであなたを見ることができますか?」

 いたずらっぽい笑みを浮かべて、37歳のレジェンドは言う。

「観光客として? たぶんね。テニスプレーヤーとして? その可能性もあるかな……」と。

 フェデラーがマドリードを去ってから、約3日後。彼の出場宣言を聞いたローマの人々は歓喜した。果たしてフェデラーが、ローマ・マスターズにも出場するのか? その件について当人は、直前まで「わからない」としていたからだ。

 フェデラーが出場する試合当日——。前売りよりも2倍に高騰したチケットを握りしめたファンたちは、雨天で乱れたスケジュールのため、1日にフェデラーの試合を2度見られる僥倖(ぎょうこう)に巡り合う。

 そのダブルヘッダーの2試合目は、ロッカールームや選手ラウンジから遠く離れた、グランドスタンドで行なわれた。センターコートよりもはるかに客席との距離が近いそのコートで、フェデラーはまたも2本のマッチポイントをしのぎ、ボルナ・チョリッチ(クロアチア)から大逆転勝利を手にする。

 試合直後のグランドスランドの外では、フェデラーが乗るゴルフカートを立錐(りっすい)の余地もないほどにファンが取り囲み、ロジャーコールが沸き起こるという、狂騒の光景が広がった。

「まるで、ローマ教皇のパレードのようでしたね」

 会見時には、苦笑を浮かべるフェデラーに、そんな声が向けられた。

 その翌日、フェデラーは「体調が万全ではない」として、ローマ大会の準々決勝を棄権。今季の残るクレーコートは、全仏オープンを残すのみとなった。

 切望していた、最大のライバルであるラファエル・ナダル(スペイン)との対戦は、まだ実現していない。

「ラファとの試合は厳しいが、それでも、彼とクレーで戦いたい。キャリアの始め、そして終わりに近くなってからも、彼と対戦し、それらを比較できたら幸せなことだよね」

 マドリード大会開幕前に、フェデラーはそんな願いを口にした。

 本人は、これが最後とは明言していない。だが、今年の8月で38歳を迎えるフェデラーのキャリアの終焉が、いつ訪れても不思議ではないのは確かだ。

 ラリーが長引く赤土での5セットマッチで、彼の戦いはどのような足跡を辿るだろうか?

 本人が、そして多くのファンも切望するナダルとの対戦は、果たして実現するだろうか?

 多くの人たちの種々の願いを引き寄せ、感傷と郷愁を呼び起こしながら、クレーコートシーズンの掉尾(ちょうび)を飾る全仏オープンが、5月26日に幕を開ける。

Sportiva

「ナダル」をもっと詳しく

「ナダル」のニュース

トピックス

BIGLOBE
トップへ