石の上にも30年!順位表で見るJ1上位クラブの傾向【Jリーグ30周年記念】

2023年5月26日(金)13時0分 FOOTBALL TRIBE

写真:Getty Images

1993年に開幕したJリーグは今年(2023年)で30周年を迎えた。現在では全60ものクラブがJ1〜J3リーグに所属し、毎年、優勝や昇格残留をかけてしのぎを削っている。今のところ絶対的なクラブは存在せず、少しでも気を抜けば下のカテゴリーへとすぐ降格してしまうスリリングさを持ち、同様に上のカテゴリーに残り続ける難しさもあるところが魅力の1つといえる。


そんな群雄割拠のリーグだが、過去の順位表から1つの傾向が見えてきた。ここでは5年、10年、20年、30年と過去の順位表を振り返り、J1で継続的に上位争いをするクラブの傾向をまとめた。




元川崎フロンターレ MF中村憲剛 写真:Getty Images

【5年前】2018シーズンのJ1リーグ順位表


順位:チーム(勝ち点)



  1. 川崎フロンターレ(69)

  2. サンフレッチェ広島(57)

  3. 鹿島アントラーズ(56)

  4. 北海道コンサドーレ札幌(55)

  5. 浦和レッズ(51)

  6. FC東京(50)

  7. セレッソ大阪(50)

  8. 清水エスパルス(49)

  9. ガンバ大阪(48)

  10. ヴィッセル神戸(45)

  11. ベガルタ仙台(45)

  12. 横浜F・マリノス(41)

  13. 湘南ベルマーレ(41)

  14. サガン鳥栖(41)

  15. 名古屋グランパス(41)

  16. ジュビロ磐田(41)

  17. 柏レイソル(39)

  18. V・ファーレン長崎(30)


川崎フロンターレが2連覇を達成した2018シーズン。順位表が2023シーズンのものだと言われても、ほとんど違和感のない上位陣である。川崎を筆頭に、サンフレッチェ広島、鹿島アントラーズなど近年上位争いの常連クラブが名を連ねている。


下位まで見ても、2018年にJ1所属で、現在J2以下なのは清水エスパルス、ベガルタ仙台、ジュビロ磐田、V・ファーレン長崎の4クラブのみである。反対に、2018年はJ1に入っておらず、現在J1に所属しているのはアビスパ福岡、アルビレックス新潟、京都サンガ、横浜FCの4クラブだ。


2023シーズン第14節終了時点の順位表を見ると、この4クラブのうちトップハーフ(9位以上)にいるのは9位のアビスパ福岡のみ。急激に力を付けることが、そう簡単でないことを示す結果となっている。




元サンフレッチェ広島 FW佐藤寿人 写真:Getty Images

【10年前】2013シーズンのJ1リーグ順位表


順位:チーム(勝ち点)



  1. サンフレッチェ広島(63)

  2. 横浜F・マリノス(62)

  3. 川崎フロンターレ(60)

  4. セレッソ大阪(59)

  5. 鹿島アントラーズ(59)

  6. 浦和レッズ(58)

  7. アルビレックス新潟(55)

  8. FC東京(54)

  9. 清水エスパルス(50)

  10. 柏レイソル(48)

  11. 名古屋グランパス(47)

  12. サガン鳥栖(46)

  13. ベガルタ仙台(45)

  14. 大宮アルディージャ(45)

  15. ヴァンフォーレ甲府(37)

  16. 湘南ベルマーレ(25)

  17. ジュビロ磐田(23)

  18. 大分トリニータ(14)


サンフレッチェ広島が優勝した10年前の2013シーズンまで戻ってみても、意外なほどに変化は少ない。現在J1に所属していないのは清水エスパルス、ベガルタ仙台、大宮アルディージャ、ヴァンフォーレ甲府、ジュビロ磐田、大分トリニータの6クラブ。そのいずれもが2013シーズンは9位以下と上位争いに絡めず、多くが残留争いに巻き込まれていた。その後、降格の憂き目にあっており、定位置から抜け出し徐々に順位を上げることの難しさが分かる。




元横浜F・マリノス MF那須大亮 写真:Getty Images

【20年前】2003シーズンのJ1リーグ順位表


順位:チーム(勝ち点)



  1. 横浜F・マリノス(58)

  2. ジュビロ磐田(57)

  3. ジェフユナイテッド市原(53)※現在のジェフユナイテッド市原・千葉

  4. FC東京(49)

  5. 鹿島アントラーズ(48)

  6. 浦和レッズ(47)

  7. 名古屋グランパスエイト(45)

  8. 東京ヴェルディ1969(40)

  9. セレッソ大阪(40)

  10. ガンバ大阪(39)

  11. 清水エスパルス(39)

  12. 柏レイソル(37)

  13. ヴィッセル神戸(30)

  14. 大分トリニータ(26)

  15. ベガルタ仙台(24)

  16. 京都パープルサンガ(23)※現在の京都サンガ


横浜F・マリノスが制した20年前の2003シーズンまで戻ると、ようやく大きな変化が見られる。この年上位に入っていたクラブのうち、ジュビロ磐田とジェフユナイテッド市原は現在J2に所属している。


また、現在J1上位争いの常連である川崎フロンターレの名は見当たらない。ちなみに川崎は2004年に2度目のJ1昇格を達成。しかしその後はなかなか優勝できず、2位止まりが多かったため「シルバーコレクター」と揶揄されるほど。悲願のJ1優勝は2017まで待たなければならなかった。


元ヴェルディ川崎 MFビスマルク 写真:Getty Images

【30年前】1993シーズンの年間総合順位表


順位:チーム(勝/負)



  1. ヴェルディ川崎(28/8)※現在の東京ヴェルディ

  2. 鹿島アントラーズ(23/13)

  3. 清水エスパルス(24/12)

  4. 横浜マリノス(21/15)※現在の横浜F・マリノス

  5. サンフレッチェ広島(18/18)

  6. 横浜フリューゲルス(16/20)※1999年、横浜マリノスとの合併により消滅

  7. ガンバ大阪(16/20)

  8. ジェフユナイテッド市原(14/22)※現在のジェフユナイテッド市原・千葉

  9. 名古屋グランパスエイト(12/24)

  10. 浦和レッドダイヤモンズ(8/28)


前年にプレ大会として開催されたJリーグヤマザキナビスコカップ(現YBCルヴァンカップ)を経て迎えた記念すべきJリーグ初年度の1993年。


当時は勝利数で順位が決定されており、勝ち点計算でないため順位表にも勝ち点の表記はない。第1ステージ「サントリーシリーズ」を制した鹿島アントラーズと、第2ステージ「日本信販・NICOSシリーズ」を制したヴェルディ川崎による「Jリーグサントリーチャンピオンシップ」が行われ、ヴェルディ川崎が年間王者となっている。


初年度の10クラブ「オリジナル10」のうち、ヴェルディ川崎と清水エスパルス、横浜フリューゲルス、ジェフユナイテッド市原を除く6クラブは現在もJ1に所属しており、やはり30年の経験は伊達ではないということなのだろう。




川崎フロンターレ DF山根視来 写真:Getty Images

継続は力なり!第2の川崎フロンターレはどこに?


近年毎年のように上位争いに絡む横浜F・マリノスや鹿島アントラーズ、サンフレッチェ広島、名古屋グランパスなどはいずれもオリジナル10のクラブ。過去に複数回優勝しているジュビロ磐田やガンバ大阪などもオリジナル10だ。全てのクラブが努力を続ける中で、この事実は伝統と継続の重要性を示している。


唯一、2017シーズン以降4回の優勝を誇る川崎フロンターレは、1999年にJ2へ参入したクラブである。強固な地元密着と知名度に頼らない選手補強で強豪の一角としての立場を固めており、J1優勝を目指す後進クラブ全てが目標にすべきモデルケースだろう。


現在首位に立つヴィッセル神戸も、2014シーズンからJ1に所属し続け積極的な補強で2021シーズンには3位に入るなど上積みを続けてきた。神戸が新たな成功例となるのか、はたまた北海道コンサドーレ札幌、サガン鳥栖、アビスパ福岡などのプロビンチャ(地方都市のクラブ)が新時代のモデルケースとなるのか。


いずれにせよ、J1での成功には「J1に長年残り」「上積みし続ける」ことが欠かせない。新たな30年でどのような変化が起こるのか、今後も楽しみは尽きない。

FOOTBALL TRIBE

「Jリーグ」をもっと詳しく

「Jリーグ」のニュース

「Jリーグ」のニュース

トピックス

x
BIGLOBE
トップへ