天国でノムさんが泣いている…教え子監督4人のうち「弱者の戦略」と逆行する楽天石井一久監督が大苦戦

2023年5月28日(日)11時30分 ココカラネクスト

苦しいかじ取りが続く石井監督(C)CoCoKARAnext

「ノムさん」の愛称で親しまれた元プロ野球監督・野村克也氏のもとで現役時代にプレーした教え子4人が、今季NPBで監督を務めている。「野村の教え」は次世代へと受け継がれ、球界にも広がっている。

 今季なかなか調子の上がらないヤクルト・高津臣吾監督(54)だが、21〜22年とチームを優勝に導き、球団では野村政権の92〜93年以来となる2連覇を成し遂げた。ロッテ1年目の吉井理人監督(58)は好調を維持し、パ・リーグ首位に立つ。昨季最下位の日本ハム・新庄剛志監督(51)は今季4位まで順位を押し上げ、2年目の手ごたえを感じている。いずれも資金や戦力で恵まれているわけではないチーム事情のなか、「野村の考え」を各々の形で実践している。

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 相反して、野村氏がかつてライバル視していた球団のように、大型補強でチーム改革を行った楽天・石井一久監督(49)が最下位に低迷している。昨季まではGM兼任監督として人脈と資金を使い、他球団から実績のある選手を集めた。だが優勝には届かず、外様のスター軍団は高齢化が進み、世代交代もうまくいかない。監督専任となり迎えた今季、自ら編成したチームが「横綱相撲」をとれなくなり、迷走しているようにも見える。

「勝ちに不思議の勝ちあり、負けに不思議の負けなし」は、野村氏が残した名言の一つ。幸運で勝利を拾うことはあるが、敗戦には必ず敗因があり、敗因を厳しく分析することが、次の勝利への第一歩になる。南海、ヤクルト、阪神、楽天と下位球団の立て直しを任された野村氏は「弱者の戦略」を練りに練ったことで知られる。転換期を迎えている今の楽天には、野村氏の言葉に今後へのヒントがあるかもしれない。

◆「変わる勇気を持て」
日々の変化をいかにとらえ、対応していくことができるか。変化する環境に適応した者だけが、生き残ることができる。現状維持は後退である。進化していく者にいつか追い抜かれる。

◆「無形の力は有形の力に勝る」
投げる、打つ、走るという「有形の力」だけで勝負すれば強者が勝つ。観察力、洞察力、データ分析など頭を使い、徹底的に考える「無形の力」には限界がない。弱者でも、方法論や考え方次第で強者を倒せるのが野球というスポーツ。

◆「準備野球では毎試合勝て」
弱者は相手の弱点を重点的に攻め、相手の得意な形にしてはいけない。強者でも、部分を見ると弱いところは必ずある。「有形の力」以外の何かを探し、具体的攻略法、材料を準備して試合に臨む。野球は8割が、準備で決まる。

◆「信は万物の基を成す」
選手の信頼があって初めて、監督は自分の目指す野球ができる。選手には自分が持っている野球知識だけでなく、人生論、哲学など持っているすべてを話して聞かせ「この監督の言うとおりにやっていれば必ず結果は出る」と思わせることが大切。

◆「どの選手にも希望を失わせてはいけない」
レギュラーより、控え選手に気を配る。希望を失った選手は成長が止まる。言葉の裏に愛情がないと、何を言っても相手の心に響かない。

◆「組織はリーダーの力量以上には伸びない」
リーダー自らが成長し、力量や器を伸ばす努力を続けなければ、組織の成長もない。部下に求める以上に自分自身を厳しく律し、常に進化・進歩しようとする姿勢がないと、チームは強くならない。

◆「言いにくいことを口にしてくれる人が必要」
リーダーは自分の意見に賛同してくれる人をまわりに置きたがるが、「イエスマン」だけでは組織として成長しない。根拠をもって自分に進言してくれる人をそばに置くべき。

 野村氏が20年2月に天国へ旅立ったとき、石井氏は「プロ野球選手になって一番お世話になり、野球の原点を教えていただいた。教わった野球を次の世代につなげていくことが恩返しになる」と話した。恩師も指揮をとった楽天監督のバトンを受け継いだが、監督就任3年目で最下位まで順位を落とした。「弱者」であることを受け止め、原点に立ち返るときだ。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]

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