メジャーで初V清水大成 才能の塊が勝つために必要だった二つの変化
2025年5月29日(木)15時51分 スポーツニッポン
【福永稔彦のアンプレアブル】才能の塊がようやく1勝をつかんだ。先週の国内メジャー日本プロ選手権でプロ5年目の清水大成(25=ロピア)がツアー初優勝を飾った。
最終日、3打差の5位で出た清水は驚異的なバーディーラッシュで追い上げる。1番からの3連続を含め8バーディー(1ボギー、1ダブルボギー)を奪い67の好スコアで回り、首位に並んでホールアウト。4ホールに及んだプレーオフで生源寺龍憲を下した。
「やっと勝てた」。その一言にこれまでのゴルフ人生の苦労が詰まっている気がした。
福岡県出身。クラブを握ったのは9歳の時。時松源蔵らも師事していた篠塚武久氏に手ほどきを受け、クラブを10本指で握るベースボールグリップを身に付けた。
小学生で九州大会を制し、東福岡高2年で九州オープンで2位に入るなど順調に成長した。卒業後は名門・日大に進学し、日本学生で21年ぶりの1年生王者になった。在学中の20年にプロ宣言し、最終予選会で5位に入ると、翌年には初シードを獲得した。
ルーキーの頃からパットのうまさ、飛距離はツアーでトップクラスだった。しかし上位に顔を出せてもなかなか勝てない。同世代の金谷拓実、中島啓太らの活躍を見て、歯がゆい思いをしていた。
「最初の頃は、僕も早く勝ちたいと思って、それがだんだん焦りになっていった」
清水は勝つために変化を求めた。内藤雄士コーチの指導で、持ち球をドローからフェードに変えるスイング改造に取り組んだ。
「ドローよりもフェードの方がミスの幅が少ない。ミスをケアできるようになったのでドローメインからフェードメインに変えた」
フェースローテーションを抑えた新イングが完成し、曲がり幅の少ないパワーフェードを手に入れた昨季は、平均飛距離301・87ヤードでランク7位に食い込んだ。
2年前、一緒に食事に行った石川遼から金言を授かった。
当時は、2番アイアンをバッグに入れるなど長い番手を厚めにしたクラブセッティングだったが「それ(長い番手)を使う回数と130ヤード以内を打つ回数はどっちが多い?」と聞かれ、考え方が180度変わった。
47度、54度、60度の3本だったウエッジを1本増やし、47度、52度、56度、60度の4本態勢に変更した。
その結果「(各番手の)距離が20ヤード刻みだったのが10ヤード刻みになったことで、130ヤード以内の精度が上がり凄くバーディーチャンスをつくることができた」。ウエッジの精度が増し、昨季はバーディー率4・611でランク1位に輝いた。
誰もが能力を認める大器は海外挑戦の意思を持つ。「予定ではもう米国にいるはずだった。2年目か3年目には米ツアーの予選会に挑戦したいと思っていた。それがちょっと遅れている」と苦笑したが、まだ26歳。国内メジャータイトルが夢に向かって進むための第一歩になる。(スポーツ部専門委員)