メルセデスF1がハミルトンの不調を分析「マシンを信じられないと負のスパイラルに陥る」
2021年5月30日(日)7時35分 AUTOSPORT web
メルセデスF1チームのチーフストラテジストであるジェイムズ・ボウルズは、F1第5戦モナコGP決勝でルイス・ハミルトンがパフォーマンス不足に陥った主な要因について分析した。
F1モナコGPで、7度の世界王者ハミルトンは予選と決勝のいずれも7位に沈んだ。タイヤをうまく作動温度領域に入れることができず、ハミルトンは厳しい週末を過ごした。
メルセデスがレース後に行ったYouTubeの質疑応答企画において、ボウルズは、モナコGPを振り返り、ハミルトンは初日である木曜日には非常に順調な滑り出しを見せていたと語った。
「モナコでは金曜日ではなく木曜日にフリー走行が行われる。通常とは少々異なる日程だ。さらに、市街地コースでの走り始めなので、路面は非常に汚れているし、傾斜もきつい」とボウルズは説明した。
「木曜日の時点では、ルイスは非常に満足していた。マシンはうまく機能していたし、タイム的にも、セッション全体を通して最速になるだろうペースを示していた。実際にトップではなかったのは、自己ベストのラップで、トンネル出口で(フェルナンド・)アロンソと(シャルル・)ルクレールに少し引っかかったからだ。パフォーマンスはよかったので、彼としては満足だった」
「しかし、土曜日になって状況が反転した。木曜日にはバルテリ(・ボッタス)は少し遅れていたが、土曜日にはバルテリの方がルイスよりだいぶ速かった」
ボウルズは、木曜日と土曜日とで路面温度に著しい変化があったことを、ハミルトンが苦戦した原因のひとつに挙げた。一方で、チームメイトのボッタスはこの変化にあまり影響を受けなかったようだ。
ボウルズはまた、マシンを信頼して走れなかったことも、ハミルトンが苦戦を強いられた原因のひとつであると考えている。
「違いは何だったのか? 木曜日には路面温度が47度から50度だった。しかしこれが土曜日になると、30度半ばにまで大きく下がっていた」と、ボウルズは付け加えた。
「もちろん、こうしたことは多くのコースで起こるが、今回のケースでは、我々はタイヤをうまく機能する状態に持っていくことができなかった。片方のドライバーがもうひとりよりも多少はうまくやれていた。だがふたりとも、タイヤを効果的に機能させていたわけではない」
「セットアップをいくつも試したが、モナコがもたらす問題のひとつは、自信を積み重ねていく必要があるということだ」
「一貫したラップを走り続ける必要がある。それによって、マシンが自分が求めるすべてのものを与えてくれるという確信を得る必要があるのだ」
「たとえばターン1、2、3で、時速1kmか2km速く走れれば、温度も1度か2度上げることができ、その後の走行でグリップが向上する」
「逆に、自信を持って走れず、マシンを信頼できずにいると、逆のスパイラルに陥り、グリップが低下していく」
「予選と決勝に向けて施したセットアップは、2台の間で大幅に異なっていたわけではない。実際に、何が違ったのかといえば、マシンとタイヤから最大の力を引き出せなかったことだ」