前年のサルディニアでは表彰台を逃したトヨタ、今季5勝目を目指し過酷なグラベルラリーに挑む

2023年5月30日(火)6時20分 AUTOSPORT web

 2023年のWRC世界ラリー選手権において、ドライバー選手権とマニュファクチャラー選手権の両ランキング首位を快走中のTOYOTA GAZOO Racingワールドラリーチーム(TGR-WRT)は、6月1日(木)〜4日(日)にイタリアで開催されるWRC第6戦『ラリー・イタリア・サルディニア』に4台のトヨタGRヤリス・ラリー1で参戦し、今シーズン5勝目を目指す。


 GRヤリスを駆って出場するのは、カッレ・ロバンペラ/ヨンネ・ハルットゥネン組(69号車)、エルフィン・エバンス/スコット・マーティン組(33号車)、セバスチャン・オジエ/ヴァンサン・ランデ組(17号車)、勝田貴元/アーロン・ジョンストン組(18号車)だ。TGR-WRTの3台目のワークスエントリーとなるGRヤリスをオジエがドライブするため、勝田は今大会ではドライバー選手権ポイントのみを狙うこととなる。


 TGR-WRTは、第3戦メキシコではオジエ、第5戦ポルトガルではロバンペラがそれぞれ優勝し、これまでに行われた2023年シーズンのグラベル(未舗装路)ラリーを2戦とも制しただけでなく、マニュファクチャラー選手権首位の座を開幕戦から維持し続けている。


 さらに、ロバンペラ自身も前戦ポルトガルで今季初優勝を飾ったことで、ドライバー選手権の首位に立っている。ドライバー選手権3位にはオジエとエバンスが同ポイントでつけており、ランキング上位の多くを占めるTGR-WRTの強さは現時点ではライバルを凌駕していると言えるだろう。


 サルディニアでの戦績を振り返ると、オジエはWRカー規定のヤリスWRCで参戦した2021年大会を含む過去4回の優勝経験を持っているほか、今大会はWRCチャレンジプログラムによる出場となる勝田が2022年大会で総合6位に入っている。


■約50kmの超ロングステージが登場


 イタリアのサルディニア島は観光客を癒やす地中海の“リゾートアイランド”として知られているが、それとは対照的に『ラリー・イタリア・サルディニア』のグラベルステージはWRCのなかでも特に“過酷”なステージで構成されている。全体的にかなり高速であるにもかかわらず、道幅が狭い道も多く、木々や大きな岩がステージのすぐ近くに迫るため、わずかなミスが明暗を分かつこともある。


 サルディニアの路面は多くの部分が砂状のグラベルに覆われているため、出走順が早いドライバーにとっては非常に不利なコンディションとなる。今戦ではロバンペラがフルデイ初日の金曜日に出走順一番手となることから路面の“掃除役”を担う。また、ステージの2回目の走行ではグラベルの下から表面がザラザラとした硬い岩盤が露出する一面も持ち合わせており、気温が30℃を超えることも多い気候も相まって、マシンやタイヤへの負荷が大きいラリーとなる。


 今大会ではサービスパークが2022年大会のアルゲーロから、サルディニア島北東部のオルビアに移動しており、競技初日のデイ1はオルビアの市街地で1本目のスーパーSSが行われる。このステージはグラベルとターマックの両方を走行する“ミックスサーフェス”となっている。


 本格的な戦いは翌日のデイ2から始まり、ビッグジャンプで有名な『モンテ・レルノ』のステージを含む3本のステージを2回ずつ走行する。今回のモンテ・レルノは、例年の2倍以上となる49.9kmの超ロングステージとされ、これまでの2023年シーズンにおける最長ステージとなった。オジエはこの超ロングステージについて「ラリーにスパイスを加えてくれるステージだ。間違いなく面白いラリーになる」とコメントしている。


 土曜日に行われるデイ3は4本のステージを各2回走行し、最終日のデイ4は2本のステージを2回ずつ走る。今大会は4日間で全19本のステージ、合計322.75kmで争われる。リエゾンを含めたラリーの総走行距離は1170.06kmとなる予定だ。


■「タイヤのマネジメントが重要になる」とラトバラ代表


「サルディニア島でどのようなパフォーマンスを発揮できるのか、とても楽しみだ」と語るのは、TGR-WRTを率いるヤリ‐マティ・ラトバラ。


「昨年のこのイベントでは少し苦労したが、それ以降、荒れたコンディションのグラベルラリーを戦うためにGRヤリス・ラリー1に多くの改良を加えてきたし、メキシコやポルトガルではその効果が発揮されたんだ」


「例年、サルディニアはポルトガルよりも暑くなるうえ、今年はモンテ・レルノのステージが50km近くもある。これほど長いステージは2014年以来だよ。だから再走ステージでは特にタイヤのマネジメントが重要になるだろう」


「カッレ(・ロバンペラ)は今回出走順が1番手なので、非常に不利な条件での走行になる可能性がある。セバスチャン(・オジエ)とエルフィン(・エバンス)は出走順が良いので、彼らが優勝争いに加わることを期待しているよ。ポルトガルで良いパフォーマンスを発揮した(勝田)貴元の戦いも楽しみだね」

2021年のサルディニアで1番手から出走し優勝する快挙を遂げたセバスチャン・オジエ。当時のコドライバーはこの年限りで引退したジュリアン・イングラシア

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