現行スバル車購入ガイド。走りに対する独自のこだわりを深掘り【市販車情報】

2021年6月1日(火)8時0分 AUTOSPORT web

 市販車の最新ニュースや購入ガイドなどをオートスポーツwebならではの視点で掘り下げる『オートスポーツweb市販車深掘り企画』。今回は、“スバリスト”と呼ばれる熱いファンに根強く支持されている『SUBARU』の魅力に迫ります。


 シンメトリカルAWDという4WDシステムや水平対向エンジン、運転支援システム『アイサイト』など、独自の技術によって生まれる唯一無二の“スバルの魅力”を深掘りしながら、その魅力が詰まった現行モデル4台のベストバイをお伝えします。


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■最新プラットフォーム採用で“走り”の質が大きく向上


 スバルは、燃費や環境性能を意識したエコ系メカニズムが話題のなか、“走り”を最優先にしたクルマ開発にこだわっている。


 スバル車は水平対向“BOXER”エンジンやシンメトリカルAWDといった伝統のメカニズムが生み出す走りが人気だが、現行モデルはSGP(スバルグローバルプラットフォーム)の採用により、その走りはさらに磨きがかけられている。

SGP(スバルグローバルプラットフォーム)は、フォレスターやスバルXVなどのSUVモデルも念頭に開発されたこともあって、SUVボディとの相性が抜群に良い。両モデルのオンロード性能が大きく向上しているのは、SGPの優れた基礎設計によるところが大きい。


 SGPは、現行インプレッサから導入されたスバルの最新プラットフォーム/シャシー。前世代のSI系シャシーに比べて、設計の自由度や構成部材の見直しが図られたことで、捻じれ剛性の強化や軽量化を実現している。


 それに伴ってシャシー性能も向上し、現行インプレッサ以降のSGP採用モデルは、いずれも“走る” “曲がる” “止まる”といった、走りの総合力が向上している。


 サスチューンの味付けに関しても、いたずらに硬さを追求するのではなく、乗員の快適性を意識した特性に変化している。


 SGPを採用したモデルの走りは、コーナーでしっかりと踏ん張ってくれる“スポーティ”という軸足は変わらないのだが、ステアリング入力の切れ味や路面からの反応がコンフォート寄りになっていて、快適性重視のクルマに仕立てられている。


 現行スバル車はパワートレインの進化も大きなポイント。他メーカーがレシプロエンジンに見切りをつけるなか、スバルはエンジン開発も積極的に取り組んでいる。


 水平対向エンジンの改良も頻繁に行われており、現行レヴォーグには新設計のCB型エンジンが採用されている。さらに、今夏デビュー予定の新型BRZにも改良を加えたFA24型エンジンが搭載される。

スバルが頑なに守り続ける水平対向エンジン。現在でも積極的な改良が実施されており、現行レヴォーグにはCB18型と名付けられた1.8リッターターボが投入されている。このCB18型ターボエンジンはフォレスターにも水平展開されている。


 水平対向エンジンを搭載するモデルのトランスミッションは、未だにリニアトロニックを用いるため、実燃費が伸びにくいという弱みはあるものの、全域でスムーズに盛り上がる出力特性を楽しめることはスバル車ならでの魅力だ。


 すでに海外においては、水平対向エンジンに2モーター式ハイブリッドを組み合わせたPHV車が投入されているが、電動化に関しては、インプレッサやスバルXVに小型モーターを組み合わせたe-BOXER車を設定するほか、トヨタと共同で開発したSUVの『ソルテラ』が2022年に投入される予定だ。


■運転支援装備『アイサイト』の進化がスバル飛躍の肝


 スバル車選びで見逃せないのが『アイサイト』の存在だ。主力モデルにいち早く『アイサイト』を標準装備化するなど、安全装備の普及に大きく貢献を果たしている。


 現在は軽自動車のジャスティを除く、全モデルに『アイサイト』が搭載されている。また、リニアトロニック車にはツーリングアシストと呼ばれる走行ライン制御型LKAも用意されている。


 2020年秋にデビューしたレヴォーグには、より高度な機能を持つ『アイサイトX』を用意するなど、運転支援の機能面でもトップレベルの実力を持つ。

左右ふたつのステレオカメラで構成されていたアイサイトだが、現行レヴォーグからミリ派レーダー併用式に進化。カメラもより幅広い範囲を検知できる広角タイプに進化するなど、従来のアイサイトの性能も大きく向上している。


 スバルの現在の国内ラインアップは、フルモデルチェンジ直前のモデルが多いこともあって、一時的に少なくなっているが、まもなく正式デビューするBRZを皮切りに、WRXモデル(S4/STI)やレガシィアウトバックなども世代更新される予定だ。

内装の質感や装備機能は、長年スバル車の泣き所と言われていたが、現行インプレッサ以降のモデルから明らかにレベルが向上している。
ナビゲーションやカーオーディオはディーラーオプションを基本としていたが、現行レヴォーグは11.6インチセンターインフォメーションディスプレイ&インフォテインメントシステムが標準設定されるグレードが用意されるなど、他社に遅れていた感もあった車載IT機能も強化されている。
ライバル勢に比べると車両価格が比較的安価に設定されている印象。性能と価格のコスパの良さは国内はもとより海外でも高く評価されている。北米ではフォレスターやスバルXV(写真:現地名クロストレック)の人気が高く、コロナ禍の影響を感じさせない過去最高レベルの販売台数を記録している。


■インプレッサ、XV、フォレスター、レヴォーグの購入ガイド


■インプレッサ


スバル・インプレッサスポーツ

■プロフィール


 現行インプレッサ(5代目)は2016年秋にデビュー。ボディ形状はハッチバックとセダンがある。車両価格は両ボディとも200万円台前後からと、スバル車の窓口的な役割も担っている。SGPの採用によって基本性能が底上げされ、走りの質感はCセグメントの中ではトップレベルの実力だ。


 室内空間と荷室も広々。ショートワゴン的な一面を持つため、ユーティリティ面も優秀だ。ナビ&オーディオはオプション設定。全グレードに運転支援機能までカバーする『アイサイト』が標準で装着されるなど、安全運転支援の分野も申し分がない。


 パワートレインは、1.6リッター車と2.0リッター車が選べるほか、ハッチバックの『スポーツ』にはマイルドハイブリッドのe-BOXER車も設定。FF駆動の2WDモデルを選ぶことも可能だ。
 


■購入ガイド


スポーツ:価格帯 200万2000円〜292万6000円
G4:価格帯 200万2000円〜270万6000円


 インプレッサは、ハッチバックの『スポーツ』とセダンの『G4』を選べるが、シャシー性能やサスチューンの味付けに大差はなく、共に走りに軸足を置いたモデルに仕上げられている。


 選ぶ際のポイントは、パワートレインだ。1.6リッター車はリニアトロニックの巧みな制御もあって、低中速域では問題ない動力性能を披露するが、高速域での伸びや余力感は2.0リッター車には及ばない。


 2.0リッター車との価格差は20万円強なので、高速走行が多い向きならば、2.0リッター車を選ぶべきだろう。


 『スポーツ』には、2.0リッターエンジンにモーターが追加されるe-BOXER車が設定されているが、こちらは2.0リッター車の長所がさらに強化される味付け。燃費よりもモアパワーを重視しておりモーターアシストの制御も巧み。加速のピックアップも明らかに滑らかだ。ただし燃費面の恩恵は少なく、さらに30万円強の価格差は少し躊躇してしまうかもしれないが、走りの総合性能はひとクラス上と考えていい。


 インプレッサはスバル車としては珍しくFF車も選べることができる。シビアな路面状況では4WD車の方が安定した走りを披露するが、4WD車の価格差は22万円高。FF車を選んで、ひとクラス上のグレードや装備を充実させるという選択肢もある。


 『スポーツ』には、内外装に専用加飾とサスチューンが変わる『STI Sport』も設定されているが、パワーユニットは純ガソリンの2.0リッターエンジンになる。


 減衰力を自動調整する専用ダンパーを備える『STI Sport』は、よりスポーティな走りを楽しめる最もスバル車らしいグレードだが、標準仕様車の足まわりも優秀。同価格帯で狙えるe-BOXER車の上級の『アドバンス』を選ぶというのもオススメだ。


■スバルXV


スバルXV

■プロフィール


 スバルXVは2010年のデビュー以来、年を重ねるごとに販売台数を伸ばしている。ベース車両はインプレッサ スポーツのため、SUVとしては乗用車的なパッケージングが特徴だ。


 そこに、シンメトリカルAWDに巧みな駆動制御機能(X-MODE)が組み込まれ、ラフロード性能は優秀だ。本格的なレジャーユースに対応できる懐の深さを持つ。


 2017年に登場した現行モデル(3代目)は、SGPの採用によってオンロード性能も強化されている。北米市場ではクロストレックの名称で販売され、高い人気を集めている。


 パワートレインは1.6リッター車と2.0リッターのe-BOXER車のふたつ。インプレッサとは異なり、駆動方式は常時四輪駆動を行う4WDモデルのみとなる。


 デビュー当初は、インプレッサがリフトアップしただけと見られる向きもあったが、2020年秋のマイナーチェンジで内外装のオリジナル化が進んだ。グリル形状の変更やブラックパーツの投入、内装素材が変更されるなど、SUVらしさを強調するスタイリングにリファインされた。


■購入ガイド


スバルXV 価格帯:220万円〜292万6000円


 スバルXVはデビュー当初、モーターなしの2.0リッター車も選べたが、現在は1.6リッター車とe-BOXER車の2本立てになる。1.6リッター車でも悪路走破性能を高めるX-MODEを搭載するグレードを選べるが、動力性能をe-BOXER車と比べると高速域での伸びや余力感に物足りなさを感じるので、e-BOXER車を選んだ方がベターだろう。


 e-BOXER車は3グレード展開。LEDライトやホイールサイズ、内装加飾などで差別化されている。オーディオレスが標準となるため、専用設計のナビをディーラーオプションで選ぶ格好だ。1.6リッター車も含めていずれもツーリングアシスト付きのアイサイトが標準装着されるなど、どのグレードを選んでも実用性能は申し分がない。


 上級『アドバンス』のエクステリアは、アウトドア風味が強くなり装備も豪華だが、車両価格は292万6000円とフォレスターのベーシックグレードとほぼ同価格帯になる。


 スバルXVを賢く堪能したいならば、e-BOXER車のエントリーグレードになる『2.0 e-L EyeSight』がオススメだ。


■フォレスター


スバル・フォレスター

■プロフィール


 ミドルサイズSUVのフォレスターは、国内のスバルのエースとして堅調なセールスを記録している。フォレスターは、代を重ねるごとにボディサイズが拡大され、2018年にデビューした現行モデル(5代目)は、インパネまわりの質感や装備が強化され、車格は先代よりもひとクラス向上した印象だ。


 現行モデルはラフロードを難なくこなす走破性能と広い室内空間、高いユーティリティを持つ万能ぶりが評価され、海外での評価も高い。


 デビュー当時は2.5リッター車も設定されていたが、2020年秋のマイナーチェンジでパワーユニットを再編。2.0リッターのe-BOXER車と1.8リッターターボ車の2タイプを用意。駆動方式は4WDモデルのみ。


■購入ガイド


フォレスター 価格帯:291万5000円〜328万9000円


 フォレスターのe-BOXER車は『ツーリング』『Xブレイク』『アドバンス』の3グレード、1.8リッターターボ車は『スポーツ』の、計4つのグレード構成される。


 最初に検討すべきは、パワートレインの選択だ。e-BOXERは燃費よりもモーターアシストを重視したハイブリッドで、幅広い速度域で扱いやすい出力特性を持つ。


 一方、1.8リッターターボは低中回転から豊かにトルクが盛り上がるダウンサイジングタイプで、ターボといえどもWRXのEJターボのような回して楽しむタイプではない。


 e-BOXERより少しパワフルなユニットというのがしっくりとくる。アクセルレスポンスの良さや高速走行時の余力感はターボが優れるが、e-BOXERも十分な性能を持つだけに、実際に乗り比べてみてほしい。


 ただし、ターボ搭載のスポーツの足まわりは専用設計。他の3グレードよりも少し硬めのサスチューンになっているため、試乗時は乗り心地の違いも確認したい。


 主力のe-BOXERに用意される3グレードの差は、主に内外装の意匠の違いによるもの。『ツーリング』はシンプルなベーシック仕様、『Xブレイク』は内外装をアウトドアギア風に仕立てた仕様、『アドバンス』は利便装備が充実する上級仕様になる。


 価格を含めたコスパ重視ならば『ツーリング』がオススメだが、レジャーなどで徹底的に使い倒したい向きならば荷室が防汚撥水タイプとなる『Xブレイク』が便利だろう。


 唯一ターボを搭載する『スポーツ』もe-BOXER車と価格はさほど変わらないので、好みの乗り味だったら選ぶ価値はあるだろう。


■レヴォーグ


スバル・レヴォーグ

■プロフィール


 レヴォーグは、レガシィツーリングワゴンに変わる存在として登場したスポーツワゴン。2020年秋にデビューした2代目は、大成功を納めた初代のイメージを引き継ぎながらも、ボディ構造やパワートレインは最新設計にアップデートされている。


 プラットフォーム/シャシーはSGPを採用。しかもレヴォーグのSGPには、骨格を組み立ててから外板パネルを溶接するインナーフレーム構造を組み合わせた最新仕様となる。


 インプレッサやフォレスターのSGPを第1世代とするならば、レヴォーグのSGPは、実質的に第2世代とみなせるほど進化している。


 その進化は、動的質感や室内の静粛性の向上など幅広い範囲に及んでいるが、特に高速走行時の安定感はピカイチ。バランスの良いサスチューンやシンメトリカルAWDの恩恵もあって、スバル車の中でもトップクラスの走りが楽しめる。


 搭載エンジンは、新設計された1.8リッターターボのみ。低中速域の応答性を重視した今風のターボのため、先代の2.0リッターターボのようなパワフルな印象はないが、アクセル即応性に優れた万人好みの特性を持っている。


 他にも最新アイサイトXや上質感が高まったインテリア、一新された車載ITなど、スバルのフラッグシップにふさわしいモデルに仕上げられている。


■購入ガイド


レヴォーグ価格帯:310万2000円〜409万2000円


 レヴォーグは『GT』『GT-H』『STI Sport』の3グレード展開。すべてに、車載ITとアイサイトが強化された上級仕様の『EX』を用意し、合計6つから選ぶことができる。


 グレードを選ぶ時の注意点は、標準モデルと上級仕様の『EX』のどちらを選ぶかということ。『EX』モデルには、アイサイトXとタッチ操作&ナビ機能を備える11.6型センターディスプレイ、さらにカラー液晶のスピードメーターが追加されるが、思った以上に違いを感じてしまうのが、センターディスプレイと液晶メーターの有無だ。


 標準モデルにもオプションでナビを装着できるが、コンソール下側に車両情報や動作設定を表示するディスプレイが設置されるので、コンソールにふたつ上下にモニターが設置されることになる。


 センターディスプレイの方が見栄えもさることながら機能面も優れている。実際、標準モデルは自分の好きなメーカーのナビを装着したいユーザーに向けた仕様なので、特にナビにこだわりがなければ『EX』を選ぶのが鉄板だろう。


 3つのグレードは、『GT』と『GT-H』は内装意匠と利便装備の違い程度だが、『STI Sport』には電子制御サスペンション+ドライブモードセレクトという最先端の制御機能が組み合わされる。


 『STI Sport』は『GT』や『GT-H』に比べると価格は一気に上がるが(GT-H比で約60万円増)、バネサス車と比べると乗り心地を含めた性能はひとクラス以上向上している。


 『GT-H EX』でも十分にレヴォーグの走りを楽しめるが、予算が許すのであれば『STI Sport』も選択肢に入れたい。

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