最下位脱出のガンバ大阪。勝因はセットプレーのデザイン力【J1リーグ2023】
2023年6月5日(月)12時30分 FOOTBALL TRIBE
2023明治安田生命J1リーグ第16節の各試合が、6月3、4日に開催された。今節の結果による上位3チームの変動はなし。今節延期となったヴィッセル神戸が首位をキープ(勝ち点33)、2位にはFC東京に3-2で勝利した横浜F・マリノス(勝ち点33)、3位はセレッソ大阪に3-2で勝利した名古屋グランパス(勝ち点32)と続いている。
ここでは、連勝で最下位から脱したガンバ大阪(15位、勝ち点13)に注目しよう。J1第16節でアビスパ福岡に2-1で勝利した要因を解析し、活躍した選手に焦点を当てていきたい。
G大阪VS福岡:試合ハイライト
J1第16節、アビスパ福岡VSガンバ大阪の試合は、福岡のホーム「ベスト電器スタジアム」で行われた。福岡は直近4試合勝ちがなくホームで勝ち点3を狙う。アウェイのG大阪は最下位脱出に向け連勝を飾りたいところ。
試合は立ち上がりからハイテンポで進み、両チームともに手数をかけずに縦へのスピードを速めながらゴールを目指した。前半17分、福岡が右コーナーキックからFW山岸祐也のヘディングで先制する。
G大阪も前半24分に反撃の狼煙を上げる同点弾。縦パスを受けたFW倉田秋がワンタッチで抜け出したFWイッサム・ジェバリへ。ジェバリがクロスを上げ、一旦は福岡GK永石拓海がはじくも、こぼれ球をMFファン・アラーノが左足一閃。早い時間で試合は振り出しに戻った。
前半32分、勝ち越しはG大阪。右からのフリーキックをMF山本悠樹がゴールファーサイドへ。回り込んだMFダワンが頭で折り返し、中央で待っていたDF三浦弦太が左足で流し込む。完璧にデザインされたセットプレーで逆転に成功した。
後半8分、決定機がG大阪に。セカンドボールを拾ったファン・アラーノからダワン、山本とつないで、左サイドを抜け出した倉田へ。そのまま仕掛けシュートするもGK永石のセーブにあう。ジェバリが詰めるも再び永石のナイスセーブで追加点にならず。
福岡の決定機は後半19分、MF井手口陽介の縦パスを受けたMFルキアンが山岸へ。GK東口順昭と1対1になるも、シュートはゴール右へ外れる。さらに後半28分、左コーナーキックをMF紺野和也から中央で山岸がヘディングシュートで狙うも、ゴールラインぎりぎりでDF佐藤瑶大がクリアした。
結果、後半はスコアが動くことなく2-1でG大阪の勝利となった。G大阪は連勝で最下位脱出。一方福岡は、連敗で5試合勝利無し(11位、勝ち点20)となった。
ポイントはセットプレーのデザイン力
セットプレーが試合の勝敗を分けることはある一定の割合で存在する。同試合はまさしくセットプレーによって勝敗が分かれたと言っていい。両チームの総得点「3」のうち、2得点がセットプレーから生まれたものだった。セットプレーは、シチュエーション別で事前に準備することが可能だ。
福岡はコーナーキック時のG大阪の弱点を見抜いていた。ゾーンマークをメインとし、一部にマンマークを付けるG大阪。マンマークさえ外すことができればフリーでシュートを打つことができる。そのパターンで先制点を挙げた福岡。後半も山岸がフリーになるシーンが2度あり、そこを決めきれていれば試合結果は変わっていただろう。
一方、G大阪はコーナーキック以外にフリーキックもデザインしていた。逆転シーンがそれを象徴する。当初中で構えていたダワンは、山本が助走に入ると一気に大外へ。これでフリーとなり、ヘディングが強い三浦をあえて遅らせて入ることで、シュートを打つことができた。
フリーキックまでもデザインするのは労力がかかり、選手の負担も大きい。そこを惜しまず準備してきたG大阪が、今節の勝利に繋げたと言える。
MOMはGK東口順昭
同試合のマン・オブ・ザ・マッチ(MOM)にはG大阪のGK東口順昭を選出する。福岡にコーナーキックからの決定機を何度も作られるも、阻止した東口。後半28分のコーナーキックは佐藤がなんとかクリアしたが、佐藤がいなくても東口が阻止していただろう。
また、後半最大の福岡の決定機であった山岸との1対1のシーン。東口は一度右足を半歩ステップすることで、山岸のシュートコースを消した。この半歩で山岸は左のシュートコースを切られ、右しかシュートする選択がなくなる。左右からG大阪ディフェンスが来ているため、強いシュートは打てず。結果、山岸はコントロールシュートしかできず、枠外へ外すことになった。東口の半歩足を運ぶ技術が、失点を防いだのだ。