【あなたは何しに?】日本が大好きすぎて京都に留学予定のメディアセンター受付嬢

2019年6月6日(木)7時30分 AUTOSPORT web

 F1シーズンを転戦していると、いろいろな人との出会いがある。今回はモナコ生まれのメディアセンター受付嬢が大の日本好きということで少し話を聞いてみた。


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 やはり、モナコだからなのか。モナコGPのメディアセンター受付は例年、他のグランプリよりひときわ華やかな女性たちが集まっているように見える。


 そこに3年ほど前から日本語のできる、笑顔の素敵な女性が登場した。何しろグランプリ週末のバタバタした雰囲気でもあり、これまでは挨拶程度しか交わしたことがなかった。


 しかし今年の秋から京都に留学し、尾道の古民家にも住むようなことを伝え聞くに及び、これはしっかりインタビューせねばとお願いし、快諾していただいた。


 彼女の名前は、ファニー・テルノさん。生粋のモナコ生まれ、モナコ育ちである。18歳で芸術関係のバカロレア(大学入学資格試験)に通ると、パリ大学で応用美術、南仏アルルの両大学で写真を学んだ。お父さんもおじいさんも写真が好きで、17歳の時から浴室を改造した現像所でお父さんから現像の手ほどきを受けたそうだ。


 ご覧のような可憐な外観ながら、一般的なフランス人(そしてモナコ人)の例に漏れず、彼女も自分の好きなことに関しては機関銃のようにしゃべりまくる。おまけに哲学者の和辻哲郎とか西田幾多郎とか、普通の日本人ならまず知らないだろうという固有名詞がドサドサ出てくるし、「和辻を通して日本とヨーロッパの風土の比較をしたい」とか、「映像に関する新たな理論を構築したい」とか、普段のF1ではまず出てこない話題をみっちり聴かせてもらった。


 その議論自体は楽しかったけれど、おかげで日本語のできる外国人への定番である「どうして日本語を覚えようと思ったの?」という質問をするのを、すっかり忘れてしまった。とはいえ彼女の日本への情熱はまったく衰えることなく、この9月からは研究生として京都市立大学に留学することになっている。


 博士論文のテーマは、「テクノロジーと美学」だそうな。さらに尾道の空き家再生プロジェクトのメンバーとして、しばらく同市内の古民家にも住むという。


 ちなみに「そもそもF1は好きなんですか」と訊いたところ、少し困った顔をして「これだけの人々が集まって発する巨大なエネルギーには圧倒されます」と、どこまでも哲学的な答えを返してきた。


 普通の言葉に翻訳すると、どうやら自動車レースそのものにはあまり興味はなさそうだ。ちなみにお父さんのオリビエ・テルノ氏はモナコGPを主宰するACM(モナコ自動車クラブ」の主要メンバーの一人で、愛車はスバルGTターボ。彼女が生まれた時から全グランプリを録画して見せてきたそうだが、残念ながらF1のDNAは受け継がなかったようである。


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