DeNAロペス「悪送球されてもいい」。坂本勇人と語り合った守備論

6月8日(土)7時37分 Sportiva

 4月5日に横浜スタジアムで行なわれたDeNA×巨人戦。6回表にゴロをさばいた遊撃手・大和からの送球を無事に捕球したホセ・ロペスは、一塁手の連続守備機会無失策記録を1226とし、巨人時代にイ・スンヨプがつくったセ・リーグ記録を更新した。

 そして5月16日の中日戦では、東京オリオンズ時代に榎本喜八が記録した1516守備機会連続無失策を51年ぶりに塗り替えてみせた。


2013年に来日して、これまで4度ゴールデンクラブ賞を獲得しているホセ・ロペス

 驚くべきことである。

 たしかに無失策記録はすごいことだが、手首の柔軟性に長(た)けたロペスなら、守備がうまいことは十分に納得がいく。だが来日するまでのメジャー9年間で、ロペスはほとんど一塁を守ったことがないのだ。

 シアトル・マリナーズなど5球団でプレーしたロペスは、おもにセカンドとサードを守り、ファーストの経験は51試合だけ。もっと詳しく言えば、守備についた8341イニングのうち、ファーストのポジションについたのは336イニングだけ。これまでほぼ経験のなかったポジションで連続守備機会無失策記録を達成したけでなく、来日してからの7年間でゴールデングラブ賞を4回も受賞している。ロペスは次のように語る。

「2013年のシーズン前に日本からオファーが来た当時、日本ハムなどで活躍したフェルナンド・セギノールがジャイアンツのスカウトをしていました。彼に『ファーストもできるか』と聞かれたので、『もちろん、どこでも守る気がある』と伝えました。アメリカに残ればメジャーでプレーできる保障もないですし、マイナーに行かされたりするのは嫌でした。ジャイアンツだとファーストで出られるチャンスがあると聞き、『じゃあ、ファーストというポジションを自分のものにしよう』と決めました」

 ロペスは続ける。

「一塁手は何が大事かと考えたら、内野ゴロは必ずアウトにすることだと思いました。ゴロを打たせてアウトにならなかったらピッチャーはかわいそうですし、野手がしっかり捕球して送球したのに僕が捕らなかったらチームの迷惑になる。だから、自分の仕事はそういったチームメイトを支えることだと思いました。その役割を果たすことができれば、最高に幸せだと感じるようになりました。だから1年目にゴールデングラブ賞を獲得したことは、とても気持ちよかったです。少しでもチームに貢献できたかなと、満足感がありました」

 ロペスは巨人で2年間プレーしたが、守備に関して影響を受けたのが、ショートを守る坂本勇人だったと言う。

「坂本の守備はすごい。毎日見るのが楽しかったし、刺激になりました。彼とはよく守備について話した覚えがあります。彼も含めて、内野手が『ロペスに送球しやすい』と言ってくれれば、本当にうれしい。言い方は変かもしれませんが、悪送球されてもうれしいんです。だって、それを捕球すればアウトになりますから。チームメイトを支えるのは自分の仕事です」

 2015年にロペスはDeNAへ移籍した。一塁手として試合に出るためには、もっと高い守備力を目指すべきだと、ロペスは感じていた。

「横浜に移籍して、今まで以上にノックを受けるようになりました。毎日ノックを受けたら、守備力がもっとアップすると思ったのです。いい練習をしたら、自信を持って試合に臨むことができます。ジャイアンツの2年目とDeNAの1年目はゴールデングラブ賞が獲れなかったので、もっと努力しないといけないと思いました。2016年から3年連続で獲得していますが、簡単なことではありません。汗を流さなければ受賞できないと思っています」

 ロペスは野球が盛んなベネズエラ出身。しかし、野球を始めたのは9歳とほかの子どもと比べてやや遅かった。しかも、右利きのロペスは最初にグラブを右手にはめようとした。「それぐらい野球のことがわかりませんでした。でも左手に変えて試してみたら、もっといい守備ができるとわかりました」とロペスは笑う。

 大きくなって、ロペスはクリーブランド・インディアンスのファンになった。なかでもベネズエラ出身の遊撃手、オマー・ビスケルとプエルトリコ出身のセカンド、ロベルト・アロマーの名二遊間コンビの守備力に目を奪われた。その時、守備の大切さに目が覚めたとロペスは言う。

 昨シーズン、来日してから4度目のゴールデングラブ賞を獲得した。初めて受賞した時の記念品はベネズエラの実家に飾り、2度目の受賞の品はアリゾナの自宅に飾った。そして3度目に受賞した時の記念品は、まったく別のところに飾ってある。

「アリゾナに、シーズンオフになると練習のお手伝いをしてくれる友人が住んでいます。オマーレ・ムニョスというのですが、野球好きでマリナーズでもコーチをしたことがあります。打撃や走塁など一緒に練習するのですが、守備も一生懸命、僕を鍛えてくれるんです。2017年のクリスマスの時に『ありがとう』の意味を込めてゴールデングラブ賞の記念品をプレゼントしました」

 今シーズンも高い守備力でチームを救ってきたロペスだったが、6月2日のヤクルト戦での初回にウラディミール・バレンティンの打球をはじき、2017年8月31日の中日戦以来の失策。試合後、ロペスは次のように語った。

「残念な気持ちもあるが、日本記録をつくれたということは光栄に思う。これからも同じように同じルーティーンを守って、試合前にたくさん球を受けて準備する。変わらず自分の仕事をやっていきたい」

連続守備機会無失策記録は1632で途切れてしまったが、チームメイトを支える気持ちは変わらない。その積み重ねが大記録となるのだ。

Sportiva

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