山口俊はムネリン級の人気者になれるか。活躍のカギを握る球種がある

6月8日(月)11時20分 Sportiva

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 新型コロナウイルス感染拡大の影響で延期となっているメジャーリーグの開幕に向けて、オーナー側と選手会との交渉が難航しています。報酬を巡って、両者の意見が対立。6月中旬にはキャンプを再開したい意向ですが、時間は刻々と過ぎるばかりです。

海を渡ってブルージェイズの一員となった山口俊
 そんななか、たとえ労使双方が合意して開幕できたとしても、本拠地での試合開催が難しいチームもあります。それはメジャー30球団中で唯一、カナダに本拠を置くトロント・ブルージェイズです。
 ブルージェイズは今季、巨人から初のポスティングシステムで山口俊投手を獲得しました。彼がブルージェイズを選んだ理由も、「メジャーで唯一のカナダのチーム」が決め手となったようです。
 ただ、それが裏目に出たかもしれません。カナダは3月、自国民・永住者以外の入国を原則禁止すると発表。山口投手はキャンプ地のフロリダから行き先がなくなり、一時帰国を余儀なくされました。
 そんなコロナ対策の今後の動きも気になりますが、2015年にア・リーグ東地区を制して以来、最近のブルージェイズは3年連続4位と低迷しています。とくに昨年は、先発投手陣が崩壊。実に21人もの投手を先発に起用しましたが、リーグ9位の防御率5.25と散々な成績に終わりました。


 昨年のチーム最多勝は、トレント・ソーントンの6勝(9敗)。メジャーデビューを果たしたルーキーが勝ち頭となるほど、先発陣の駒不足が低迷した原因であることは間違いありません。
 そこで今年、ブルージェイズはロサンゼルス・ドジャースからFAとなった韓国出身左腕の柳賢振(リュ・ヒョンジン)と4年8000万ドル(約88億円)で契約。投手としてチーム史上最高額で獲得し、新たなエースとして迎え入れました。
 さらに、オークランド・アスレチックスからタナー・ロアーク、ミルウォーキー・ブルワーズからチェイス・アンダーソンを獲得。ロアークは過去4度ふたケタ勝利を上げており、チェイスはメジャー6年間で通算53勝をマークするなど、ともに安定したベテラン右腕です。
 このように一新されたブルージェイズ先発陣のなかに、山口投手も加わることになりました。昨年はセ・リーグ最多の15勝、188奪三振、最高勝率.789と投手三冠の大活躍。2年635万ドル(約7億円)の契約で32歳にしてメジャー挑戦を決めました。


 山口投手は先発4番手、5番手の座を争うことになるでしょう。ライバルは前出のソーントンと、故障明けのマット・シューメイカーのふたりだと思います。ただ、今季は変則シーズンによる過密日程に対処するため、チャーリー・モントーヨ監督は先発を6人に増やす考えも持っているようです。
 ただ、6人でローテーションを回すからといって、先発の座が確約されたというわけではありません。時速100マイル(約161キロ)の剛速球を誇る大型新人ネイト・ピアーソンを筆頭に、若手が徐々に台頭してきているからです。
 若手が急激に成長すれば、山口投手がリリーフにまわる可能性も十分にあります。マーク・シャパイロ球団社長兼CEOは「ヤマグチは万能性があるので、先発でもリリーフでも使える」と評価しており、先発とリリーフ両方を補える「スイングマン」という重要な役割を与えられるかもしれません。
 今春のキャンプで、モントーヨ監督はこう語っていました。


「フォークとも呼ばれる時速80マイル台半ば(約136キロ)のスプリットは一級品。まるでタナカのようだ。これは大きな武器になる」
 ニューヨーク・ヤンキースの田中将大投手を引き合いに出して、山口投手を絶賛していました。
 田中投手以外にも、ボストン・レッドソックスのクローザーとして世界一に貢献した上原浩治氏など、スプリットを武器にした日本人投手は大勢います。それだけメジャーではスプリットを操れる投手が少ないので、スプリットを生かせれば先発でもリリーフでも臨機応変に対応できると思います。
 ブルージェイズの本拠地トロントは、北米五大湖のひとつ、オンタリオ湖に面したカナダ最大の都市。トロントは、北アメリカの先住民族ヒューロン族の言葉で「集まる場所」という意味があります。その言葉どおり、この街には多様な国の人々が集まり、アジア系の人々も多く住んでいます。
 各国の出身者ごとに形成されたコミュニティが数多くあり、トロントは別名「エスニックタウン」とも呼ばれています。その国際色の豊かな本拠地の特性を表すように、ブルージェイズには昔から多様な国籍の選手たちがプレーしてきました。


 1977年、ア・リーグの新興球団として誕生したブルージェイズは、一流選手のいない状況でチームの骨格を作るところからスタートしました。そこで見出したのは、ドミニカ共和国での人材発掘です。結果、カリブ海の小さな島からジョージ・ベル(1987年ア・リーグMVP)やトニー・フェルナンデス(元西武ライオンズ)といったスター選手が次々と生まれ、チームも強豪へと伸し上がりました。
 1992年と1993年にワールドシリーズ2連覇を達成した時はプエルトリコ出身のロベルト・アロマー、その後も2003年に打点王に輝いた同国出身のカルロス・デルガドなど、中南米出身の選手たちが主軸として活躍してきた歴史があります。
 過去に日本人選手では、大家友和投手、五十嵐亮太投手、川崎宗則選手、青木宣親選手の4人が在籍しました。その中でも一番の人気者は、やはり「ムネリン」こと川崎選手でしょう。
 ブルージェイズでは控え内野手でしたが、常に全力プレーでファンを熱狂させて「ミスターエナジー」と呼ばれました。また、底抜けに明るいキャラクターでもファンを沸かせて、試合後のインタビューなど様々なパフォーマンスで話題を独占。主力選手たちを上回るほどの人気者となりました。


 ムードメイカーとして2015年の地区優勝に貢献し、当時のジョン・ギボンズ監督は「彼がいるだけで、何もかもよく思える」とコメント。いまだに「川崎ロス」がいるほど、トロントでは根強い人気があります。
 今年1月、本拠地ロジャーズセンターで山口投手が入団会見に臨んだ時、記者から「元幕内力士を父に持ちながら、なぜ野球を選んだ?」という質問を受けました。すると、山口投手は「お尻を出すのが恥ずかしくなった」と真顔でジョークを飛ばし、地元メディアの大爆笑を誘いました。
 トロントは日本人にとっても適応しやすい環境なので、山口投手の大和魂あふれるピッチングを見せれば、おのずと川崎選手のように人気も出てくると思います。本拠地で山口投手が投げる勇姿を一刻も早く見たいものです。

Sportiva

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