ル・マン公式車検がスタート。初日はバトンや注目LMP1プライベーターマシンが登場

2018年6月11日(月)12時5分 AUTOSPORT web

 6月10日、水曜日からの走行に先駆け、ル・マン市内のリパブリック広場で第86回ル・マン24時間レースの公開車検が始まった。LMP1クラスのSMPレーシングからル・マン/WEC世界耐久選手権に初参戦するジェンソン・バトンをはじめ、LM-GTEアマクラスに参戦するふたりの日本人ドライバーら、注目のドライバーとマシンが車検場に姿を見せた。


 朝方は霧に覆われ、昼過ぎには本降りの雨に見舞われた日曜日のル・マン市内だったが、車検開始時刻の14時すぎには雨は上がった。曇り空のもと、予め発表されたタイムスケジュールどおり、パニス・バルテズ・コンペティションの23号車リジェJS P217・ギブソンを皮切りに、22台のマシンが次々とサーキットから運ばれてくる。
 
 ドライバーたちも順次姿を見せ、参加受付、メディアのインタビュー、トークショーをこなし、最後に車検を終えたマシンとお決まりの記念撮影をしていくプログラムだ。
 
 当初は悪天候もあって客足も心配されたが、雨が止んで車検のプログラムが始まると多くの観客が姿を見せ、やがて例年と変わらぬ人出となった。


 この日最初に大きな注目を集めたのは、LMP1に参戦するCEFC TRSMレーシングのジネッタ2台。ブルーメタリックのマシンがローディングエリアに降ろされると、多くのファンがカメラのシャターを切っていく。初日唯一のLM-GTEプロクラス車両となったイエロー鮮やかなコルベットの2台にも熱い視線が注がれた。


 やがてクリアウォーター・レーシング、続いてMRレーシングのフェラーリ2台が連続して姿を表す。GTEアマクラスに参戦する澤圭太と石川資章が所属するチームだ。この頃には日差しも戻り湿度、気温ともに上昇し、汗ばむ陽気となっていた。


 3度目のル・マンに挑むクリアウォーター・レーシングの澤はテストデーのあと、一度日本に帰国していたといい、この日の朝フランスに戻ったのだという。

クリアウォーター・レーシングの澤圭太とオーナードライバーのウェン-サン・モク
ル・マンの公式車検は例年同様、パブリック広場で行われている
ジェンソン・バトンはル・マン24時間でWECデビューを飾る予定だ
クリアウォーター・レーシングの61号車フェラーリ488 GTE


 クラス3番手となったテストデーについては、「乗っている感触はスパと変わらずですが、BoP(バランス・オブ・パフォーマンス)がフェラーリにとってはいい方向に働いているのかな、と。もともとフェラーリはローダウンフォースでも他のクルマよりはタイヤのもちもよくて、メカニカルグリップも高いと思うんです。決勝に向けて、あとは路面ができあがっていた時にどう(アジャスト)していくか。それが今週やるべきことですね」と語る。


「毎年、これが最初で最後だと思ってやっています。1年目は“無欲”で自分を殺してやって結果が出て、2年目はやっぱり欲が出て、決勝中珍しく接触してしまってパンクして、1周遅れになったのが最後まで響いた」と澤。


「あれには責任を感じていて、この1年WECを戦いながらチームのなかでの自分の存在意義を考えながらやってきて。今年は開幕もうまくいって、流れはできていると思います。今年は(1年目の)無欲に戻るんじゃなくて、“欲を出して結果を出せる年”にしたいと思っています」


 続いてインタビューエリアには、自チームを率いて初めてのル・マンに挑む石川が登場。テストデーではセーフティカーシミュレーションや赤旗、そしてドライブシャフトのトラブルなどの影響で満足に走れなかったという。
 
 実際にコースを走ってみた印象をきくと、「シミュレーターだとブレーキングのGを感じられないから、実際に走った方がブレーキングは楽ですね。ただポルシェコーナーとか、“攻めるコーナー”はまだ探りながらいってます。テストデーでは6〜7割くらいしかカリキュラムがこなせていないので、ソフトのニュータイヤを履くみたいなことは、水曜日からやる」という。


「この1週間はトレーニングをしていました。アルコールも長い間飲んでないし、食事にも気をつけています。そうやって追い込んでいかないと24時間を走る体力と集中力を保てない。でも、ミスもなく、ピットストップもうまくいけば、結構なとこにいけると思う」と石川は展望を語る。


 ちなみに「老眼で、夜は見えないんで」という石川は、夜間の走行は避ける方向のようだ。


 このあと、LMP1クラスでは2車種目となるSMPレーシングのBRエンジニアリングBR1・AERが姿を現し、ローディングエリアでは車検を終えたジネッタG60-LT-P1・メカクロームと肩を並べるシーンも見られた。
 
 ほどなくして、注目のバトンも登場。スーパーGTのレースウイークよりもさらににこやかな表情でインタビュー、トークショーをこなし、記念撮影に臨んでいたのが印象的だった。


 SMPレーシングの記念撮影の頃からふたたび雲が広がり始めたが、この日最後の車検順となったバイコレスのENSO CLM P1/01・ニスモが車検場を後にするまで、雨は降ることはなく持ちこたえた。


 車検二日目となる11日(月)は午前中から残る38台のマシンが一挙に登場する。新規参戦となるBMWを含めたGTEプロクラスの残る5メーカー、LMP1クラスのレベリオン・レーシング、そして夕方には悲願の初優勝への挑戦に注目が集まるTOYOTA GAZOO Racingも姿を見せる予定となっている。

ジェンソン・バトンもドライブするSMPレーシングの11号車BR1
笑顔でインタビューに応えるジェンソン・バトン
MRレーシングのエドワード・チーバー、石川資章、オリビエ・ベレッタ
車検場に到着したENSO CLM P1/01・ニスモ
バイコレス・レーシング・チームに所属するトム・ディルマン
SMPレーシングのBRエンジニアリングBR1・AER
ジネッタG60-LT-P1・メカクローム(左)とBRエンジニアリングBR1・AER(右)


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