油圧漏れにインフルエンザ。カナダGPでメルセデスF1に降りかかった災難と、レース後も続いた緊迫感

2019年6月12日(水)18時10分 AUTOSPORT web

 メルセデスF1のチーム代表を務めるトト・ウォルフは、F1第7戦カナダGPでの優勝は、マニュファクチャラーとして複数の不安材料を抱えた上で達成されたものだったと明かした。


 土曜日のフリー走行3回目の時から、メルセデスには懸念があった。ランス・ストロール(レーシングポイント)に供給された新品のエンジンから炎が上がったため、このトラブルの原因がアップグレードが施されたメルセデスの“フェーズ2”パワーユニットすべてに広がってしまうのではないかと憂慮されたのだ。


 日曜日には、さらに緊迫した状況となった。ルイス・ハミルトンのマシンに油圧漏れが見つかり、チームのスタッフはレースに間に合うようにシステム全体を入れ替えなければならなかった。


 外部からはすべてが平穏で落ち着いているように見えたが、ウォルフは見た目通りの状況ではなかったと主張した。


「勝利を飾ったものの、チームにとって水面下では非常に厳しい週末だった」とウォルフは語った。


「マシンには油圧漏れが起き、多くの問題を抱えていた」


「レースに出せるかどうか、またレースを完走できるかどうか定かではなかった。そして誰も予想していなかったことだが、チームの半数がインフルエンザにかかってしまった。なんとか切り抜けることが問題だったのだ」


「それから、ランスのエンジンから炎が上がってしまい、我々にも影響があるのかどうかが分からなかった」


「私の記憶にあるなかでも、最も難しいレースウィークのひとつだった。だが、外部からは少しもそのようには見えなかっただろう」


■油圧システムの調査に、レース後も続いたメルセデスの緊張感


 決勝レースの終盤にはセバスチャン・ベッテル(フェラーリ)に5秒のタイムペナルティが科されたが、それでもハミルトンは容赦無くベッテルを追いかけた。そしてその様子を、ウォルフも緊張しながら見守っていた。


「彼は5秒ペナルティのおかげで勝つのではなく、コース上でベッテルをオーバーテイクし、『自分はコース上でレースに勝った』と主張したかったのだと思う」


「それこそ、彼が達成しようとしたことだ。私には分かっていた。(ハミルトンの)ブレーキはオーバーヒートしていて、私は安心してはいられなかった。でもそれがレーサーとしての行動であり、選択だったのだと思う」


 だが最終的には、レース後にも緊張が走った。FIAの技術担当スチュワードが、ハミルトンのマシンに搭載された油圧システムの適合性を評価することにしたのだ。油圧システムは、この日の早い時間に急遽セットアップが行われていた。


 F1の技術ルールでは、交換するパーツは元のパーツと同様の仕様でなければならないと定められており、いかなる形でもこのルールに違反するとレース後に失格となってしまう。


 ドイツの『Auto Motor und Sport』誌によると、メルセデスがレース前にハミルトンのマシンに取り付けた油圧システムは、元のシステムと100パーセント一致していなかったという。しかしながら、技術担当スチュワードは新しいシステムが異なる動作をすることを証明できず、メルセデスは承認を受けることができたのだった。


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