長き伝統と未来の融合。ピット&ホスピに見るポルシェ70周年【ル・マン24時間連載企画5回目】

2018年6月16日(土)20時30分 AUTOSPORT web

 6月16日、いよいよ決勝レースがスタートする第86回ル・マン24時間耐久レース。ポルシェは創業から70周年にあたる記念のこの年、4台の911 RSRをレースに投じている。そのうち91号車、92号車は往年のマシンカラーリングを施しているが、それだけではない。今季のポルシェは70年の伝統と、未来に向けたイメージを巧みに演出している。


 今季、ポルシェGTチームはWEC世界耐久選手権に参戦する91号車が、1980年代のル・マンを席巻したポルシェ956/962Cに採用されたロスマンズカラーを、92号車1971年のポルシェ917/20を模した“ピンク・ピッグ”のカラーリングを採用。一方、93号車、94号車の2台はふだん北米のIMSAウェザーテック・スポーツカー・チャンピオンシップで戦う車両だが、こちらはふだんどおりの最新のカラーリングとなっている。


 しかし、70年の歴史を表しているのは車両のカラーリングだけではない。91号車/92号車のピットをはじめ、グランドスタンドの一部等は往年のピットを思わせるレンガ模様に。ロゴの周辺にも独特の時代を感じさせる“錆び”のイメージを施している。


 ピット内には、かつてポルシェ本社があった住所が書かれていたり、メカニックの工具をしまうツールボックスも木目調が施されていたりというこだわりようだ。一方でアメリカチームは、最新のイメージをそのまま反映。同じピットの作りながら、大きくイメージが変わっているのが面白い。


 また、サルト・サーキットのなかでも最大級の規模を誇るポルシェのホスピタリティもル・マン24時間の名物のひとつだ。ゲストをもてなすのはもちろん、メディアの立ち入りも非常にオープンで(他メーカーは決してそんなことはない)、ドイツ料理やカフェを楽しめるほか、スタッフもいつも笑顔で対応してくれる。日本人メディアを含め「ポルシェのホスピタリティがいちばん」という声も多い。


 もちろん清潔感あふれる装飾、広々とした室内、ちょっとした遊び心など、来場したゲストを満足させる点に、ポルシェのクルマに対する情熱が見え隠れする。もちろんこのホスピタリティ内ではドライバーの取材を行うチャンスとなる“ミート・ザ・チーム”も行われるが、その姿勢はドライバー全員も理解しており、非常にフレンドリーに取材に対応してくれる。


 ル・マン24時間に参加することを通じて何をアピールするのか、そしてそのために何をするべきか。ル・マンでその歴史を築いてきたポルシェは、すべてを理解している。

ピットインする91号車ポルシェ911 RSR。ピット内の雰囲気を含め、伝統と未来が融合される。
ヘルメット置き場もご覧の雰囲気。ドライバーもピンクのヘルメットを装着するが、赤いステッチが微妙に異なる。
91号車/92号車のピット内には、レンガ模様にドライバーの写真が飾られる。
91号車/92号車のピット内には、レンガ模様にドライバーの写真が飾られる。
ピット入口にあるスポンサーロゴも、独特の時代を感じさせるイメージに。
91/92号車のピット裏には、『zuffenhausen, werk1』の標識が。
レースコントロールを行うデスクも木目調に。ポルシェGTチームのこだわりぶりが感じられる。
ピットの後方には、91号車に施されるロスマンズカラーのベースとなる956、92号車に施されるピンクの917/20が飾られる。
93号車のピット。最新のカラーリングスキームをまとう。
93号車/94号車のピットは、最新のポルシェカラーリングが施される。
94号車のピット。92号車との違いが分かる。ふだんIMSAで戦うチームだけに、アメリカ国旗を掲げる。
ドライバーのスーツも現在のスタイルと伝統を融合させたものだ。
ポルシェGTチームのピット裏。反対側はスタッフスペースだ。うまくレンガ模様が取り入れられている。
ホスピタリティの最も奥には、ピットクルーのマネキンに『PIT STOP』の文字。行き先はお手洗いだ。
清潔で広々としたポルシェのホスピタリティ。チームやドライバーも使うため、ゲストとコミュニケーションを取ることもしばしば。
非常に美味なドイツ料理が楽しめる。タイミングによっては焼きたてのお肉をサーブしてくれるし、スイーツまで楽しめる。
清潔で広々としたポルシェのホスピタリティ。席に着けばすぐに「飲み物はいかが?」と尋ねてくれる。
ポルシェホスピタリティ内にあるジェットヘルメット型のチェアと、タイヤで作られたテーブル。
ファンエリアには、“Pink Pig”の911 RSRとポルシェグッズのオフィシャルショップがあるが、今季は“Pink Pig”と“ロスマンズ”の記念Tシャツを求める人で列ができている。
グランドスタンド裏側の様子。ポルシェ70年ロゴと911 RSRによって、伝統と先進さが融合する。
グランドスタンド一部は、レンガ模様とポルシェのロゴがつけられる。70年の伝統が感じられる装飾だ。


AUTOSPORT web

「ポルシェ」をもっと詳しく

「ポルシェ」のニュース

「ポルシェ」のニュース

トピックス

x
BIGLOBE
トップへ