スタートで同士討ちを演じるも、最終スティントでは首位争い。戦略でワン・ツー達成のJOTA/WEC第2戦LMP2

2021年6月16日(水)17時18分 AUTOSPORT web

 WEC世界耐久選手権のLMP2クラスにJOTA38号車オレカ07・ギブソンで参戦するアントニオ・フェリックス・ダ・コスタは、第2戦ポルティマオ8時間レースの1周目にチームメイトである28号車オレカのトム・ブロンクビストと接触した件について「とても後悔している」と感じるとともに、2台のマシンがともにLMP2クラスの優勝を争う「素晴らしく、公正な戦い」をできたことを、嬉しく思ったと語っている。


 クラス2番手からダ・コスタがスタートを務めた38号車は、オープニングラップの3コーナーでPPスタートだったブロンクビストのインを突く形で接触。スピンしたブロンクビストの28号車は、LMP2の最後尾まで順位を落とした。


 しかし28号車のブロンクビスト/シーン・ゲラエル/ストフェル・バンドーンは続く数スティントをかけて順位をリカバーし、レース7時間目にはユナイテッド・オートスポーツUSAの22号車オレカからリードを奪った。


 38号車のダ・コスタ/アンソニー・デビッドソン/ロベルト・ゴンザレスも、ドラゴンスピードUSAの22号車オレカとの接触によるスピンから復活したあと、力強い走りを楽しんでいた。


 JOTAの2台は、最後の燃料補給を避けるよう、ライバルよりも長いスティントを刻むことができていた。


 ABB FIAフォーミュラEチャンピオンであるダ・コスタは、同時となったJOTAの最終ピットストップから、ブロンクビストの背後8秒のところでコースに復帰するとどんどんギャップを詰めていき、オーバーテイクポイントである5コーナーで決定的な追い越しに至った。


「1周目のトムとの接触は、本当に悪いと感じていた」とダ・コスタはSportscar365に対し語っている。


「彼をスピンさせてしまったのは僕だ。僕が彼のインに飛び込んでしまったのは、ちょっと奇妙な状況だった。彼が僕の方を見ようとしていないことは分かったので、僕はちょっと引いたんだ。その時彼が切り込んできて、僕はぶつかってしまった」


「28号車のクルー全員に謝罪した。そのようなことが起こってしまい、とても後悔している」


「最後に、素晴らしく、公正な戦いで物事を解決するための、とてもクリーンなスティントを手に入れられたことを嬉しく思う」


「僕はちょっと速かったけど、トムもミスなく、とてもいいドライビングをしていた。トラフィックが出現しなければ、彼を追い抜こうとはしなかった。ここでは(オーバーテイクは)難しすぎる」


「2台のGTカーが見えたので、そのラップでギャップを埋めることにした」


「彼はターン4でGTカーに詰まったので、僕は5コーナーにかけて彼にチャージし、追い抜くのに充分なスピードを得た」


 ダ・コスタとブロンクビストはワン・ツーをクリーンに保ちながら、勝利のためにお互いと戦うことができた。


 JOTAのワン・ツーは、2019/20シーズン最終戦のバーレーンで、JOTAがオペレートするジャッキー・チェンDCレーシングが優勝し、現在の38号車のクルーが続いて以来のものとなった。

1周目に同士討ちから順位を下げたものの、一時トップを走行するまで挽回したJOTAの28号車オレカ07・ギブソン


■勝利のカギとなった序盤からの燃料節約


 3位となったユナイテッド・オートスポーツUSA22号車は最後の1時間になって燃料補給が必要となり、レース中のピット回数が10回に達したのに対し、JOTAは2台ともに9回のピットストップで済んでいた。ダ・コスタは、燃料の節約がポルティマオでの勝利には不可欠だった、と付け加える。


「チームとして、他のどのライバルよりも長く走った」と地元ポルトガルで優勝を手にしたダ・コスタ。


「僕らは少し燃料を節約していて、1回分のストップを省くことができた。それが(チーム)WRTとユナイテッドを逆転できた理由だ。すべてのスティントでより長く走ることができ、スプラッシュを回避できた」


「同じクルマ(オレカ07・ギブソン)だから、彼らの状態は分かっていた。長所と短所も知っているし、それがうまくいって嬉しいよ」


「彼らは(1スティント)29周か30周、僕らは常に31周を走っていた。最終的に10周ぶんのスプラッシュが必要になるはずだったが、10スティントのなかで周回数を伸ばしていけば、スプラッシュの必要はなくなる。それが僕らのやったことだ」


「スプラッシュを短くするという意味でセーフティカーは彼ら(ユナイテッド)を少し助けたと思うけど、それでも僕らにアドバンテージはあった」


「燃費走法をすることはコクピットのなかでは非常に苦痛だったけど、チームのプロセスを信頼していたんだ」

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