2度の雨で荒れ模様。フェラーリ、トヨタ、ポルシェが上位を形成/2024WEC第4戦ル・マン決勝6時間後

2024年6月16日(日)5時30分 AUTOSPORT web

 6月15日現地時刻16時にスタートした2024年WEC世界耐久選手権第4戦・第92回ル・マン24時間レースは、22時を迎えレースの4分の1を終了した。6時間経過時点では、ロバート・クビサ/ロバート・シュワルツマン/イーフェイ・イェ組の83号車フェラーリ499P(AFコルセ)が総合首位に立ち、レースを進めている。


■1度目の雨はステイアウト組が“正解”


 正午からのウォームアップ走行直後にはまとまった雨に見舞われたル・マンだが、スタート時点では雨は上がって路面も乾き、コース一部区間では晴れ、ホームストレート上は薄曇りというコンディションに。気温18度、路面温度20度、南からの風が強く吹くなか、1周のフォーメーションラップののち、16時すぎに名誉スターター、ジネディーヌ・ジダンの合図の下でレースは始まった。


 日本勢では、11番グリッドのトヨタGAZOO Racingの8号車トヨタGR010ハイブリッドがセバスチャン・ブエミ、23番手の7号車トヨタはニック・デ・フリース、宮田莉朋組のクール・レーシング37号車オレカ07・ギブソンはマルテ・ヤコブセンがLMP2クラスの6番手からレースをスタート。


 LMGT3クラスでは、6番手の星野敏組Dステーション・レーシング777号車アストンマーティン・バンテージAMR GT3がマルコ・ソーレンセン、7番手の小泉洋史組TFスポーツ82号車シボレー・コルベットZ06 GT3.Rがダニエル・ジュンカデラ、10番手の木村武史組アコーディスASPチーム87号車レクサスRC F GT3がジャック・ホークスワース、19番手の濱口弘・佐藤万璃音組ユナイテッド・オートスポーツ95号車マクラーレン720S GT3 Evoは佐藤で、レースをスタートさせた。


 オープニングラップでは、4番手スタートだった50号車フェラーリ499P(フェラーリAFコルセ)のニクラス・ニールセンが一閃。2番手へと浮上すると、さらにインディアナポリスの進入ではポールスタートだった6号車ポルシェ963(ポルシェ・ペンスキー・モータースポーツ)のローレンス・ファントールもパスし、首位へと躍り出る。僚友51号車のアントニオ・ジョビナッツィも4周目には2番手へとポジションを上げ、序盤にしてフェラーリのワン・ツー体勢となった。


 11番手スタートの8号車トヨタも4周目までに6番手へ浮上。18分が経過するころ、森のS出口で15号車BMW Mハイブリッド V8(BMW Mチーム WRT)のマルコ・ウィットマンがスピンするが、すぐにコースに復帰した。


 30分がすぎるとトップ2台のフェラーリが接近。50号車がミュルサンヌでリヤをスライドさせたことで、51号車が一時前に出るが、サイド・バイ・サイドののち50号車が首位を奪い返した。


 40分が経過しハイパーカーの最初のルーティンピットが始まると、上位勢が同時ピットとなったタイミングで、6号車ポルシェが首位を奪い返す。50号車フェラーリはここで3号車キャデラックVシリーズ.R(キャデラック・レーシング)の鼻先に割り込む形でピットアウトでしまい、アンセーフリリースとの判定で次のピットストップで10秒加算のペナルティを受けることに。


 それでもコース上では僅差の接戦が続き、1時間経過を前に、ユノディエールの第2シケイン先で50号車フェラーリは6号車ポルシェから首位を奪い返した。


 1時間20分すぎから始まった2度目のルーティンピット後には、51号車フェラーリのジョビナッツィがトップに立ち、ブエミの8号車トヨタが約7秒の差でこれを追う展開に。ペナルティを消化した50号車フェラーリは3番手に順位を下げる。


 1時間半を過ぎたところでウエット宣言が出され、サーキット北西部で雨が降り出す。すると2番手の8号車トヨタをはじめ、3号車キャデラック、35号車アルピーヌA424(アルピーヌ・エンデュランス・チーム)らがピットに向かい、ウエットタイヤへと交換。次の周にはさらに雨量が増え、首位51号車フェラーリらもピットへと向かう。


 しかしながら雨は短時間で止んだことで、83号車フェラーリを先頭に、50号車フェラーリ、12号車ポルシェ963(ハーツ・チーム・JOTA)、19号車ランボルギーニSC63(ランボルギーニ・アイアン・リンクス)、5号車ポルシェ、63号車ランボルギーニのステイアウト組6台が優位な状況に立つ。反対に8号車トヨタらレインへの交換を選択した陣営は、2時間経過を前にスリックへと再交換するためにピットへと戻り、さらに後退を強いられていった。


 2時間10分が経過する頃、LMGT3の54号車フェラーリ296 GT3がダンロップシケイン進入で右側のバリアにクラッシュ。スローゾーンが導入されると、各車は続々とピットへ。その数分後、BMW Mハイブリッド V8の“アートカー”20号車のロビン・フラインスがフォードシケインでクラッシュ。コースへは復帰できたものの、ダメージを負ったマシンでほぼ1周を走行してピットへと戻ることとなった。




 雨とスローゾーンのタイミングにより、各車のピットシーケンスは分かれていくが、83号車フェラーリが首位をキープし、レースは3時間が経過。その背後では、5号車ポルシェ、50号車フェラーリが、実質の2番手を争う展開となっていく。


 さらにその背後では、50号車フェラーリ、12号車ポルシェ、7号車トヨタの小林可夢偉による接近戦の4番手争いも展開された。可夢偉は前方の2台を一気に抜き去ると、そのまま6回目のピットへと飛び込んだ。


■参戦初年度のアルピーヌ2台がリタイア


 3時間7分経過時点で、8号車のブエミはデイトナシケイン進入で83号車のロバート・シュワルツマンをパスし、暫定トップへ。直後に8号車はピットへと向かい、スタートからドライブを続けていたブエミからブレンドン・ハートレーへとドライバー交代を行う。ここから、ピットタイミングの違いにより83号車フェラーリと8号車トヨタが首位を入れ替えながらレースを進めていく。上位数台はルーティンピット1回分のギャップしかなく、フェラーリ、トヨタ、ポルシェによる三つ巴の上位争いという構図が徐々に明確になっていった。


 やがて2番手の5号車ポルシェを50号車フェラーリのアントニオ・フォコがパス。これで、レースは83号車、50号車というフェラーリのワン・ツー体勢となる。


 その背後では8号車トヨタのハートレーが4号車ポルシェのニック・タンディを、7号車トヨタのホセ・マリア・ロペスは12号車ポルシェのカラム・アイロットの背後に、それぞれつくことに。ロペスは4時間30分経過を前に、アイロット攻略に成功し、暫定6番手にポジションを上げた。


 4時間45分経過時点、フェルディナンド・ハプスブルクのドライブする35号車アルピーヌがマシン後部から白煙を上げ、アルナージュにストップ。参戦初年度のアルピーヌは、ここで1台を失うこととなった。




 5時間経過時点で5番手走行中の7号車トヨタらに、スローゾーンの手順違反のためドライブスルーペナルティが科せられるとの判定が下る。これで7号車はポジションを下げることとなった。また、36号車アルピーヌはマシンをガレージへと入れ、エンジンカウルを開けて作業へと入ったが、のちにリタイアを選択している。


 5時間50分を経過する頃、インディアナポリス〜アルナージュ〜ポルシェコーナー方面からやや強い雨がサーキットを襲う。ここで8番手以下の2号車キャデラック、6号車ポルシェ、12号車ポルシェからレインタイヤへの交換が始まり、上位勢も続々とピットへ向かう。


 ここでレースはスタートから6時間が経過。83号車フェラーリが首位、以下5号車ポルシェ、平川亮へと変わった8号車トヨタ、50号車フェラーリ、51号車フェラーリ、6号車ポルシェというトップ6のオーダーで、レースは7時間目に突入していった。


■LMP2は宮田莉朋組がクラストップを走行


 LMP2クラスは1時間半が経過し3スティント目に入ると、宮田組の37号車が暫定トップへと躍り出る。その後、マルテ・ヤコブセンから宮田へとバトンが渡されると、引き続き2番手を走行した。


 このクラスをリードしたのは、ベクター・スポーツの10号車。序盤の雨の際にスリックでステイアウトすることを選択したため、大量リードにつながった。これに37号車が続き、その後ろにはAFコルセの183号車、ユナイテッド・オートスポーツの22号車らがつける展開に。


 6時間経過時点ではピットタイミングの関係もあり、ロレンツォ・フルクサがステアリングを握るクールの37号車が首位、ベクターの10号車、ユナイテッドの22号車が続いている。


 LMGT3では序盤、クラスポールスタートの70号車マクラーレン720S GT3エボ(インセプション・レーシング)がレースをリードしたが、4スティント目に入る頃には木村組87号車レクサスのエステバン・マッソンが首位へと躍り出る。時間を迎えるところで、木村へとドライバー交代を行った。


 その後、46号車BMW M4 GT3(チームWRT)、66号車フェラーリ296 GT3(JMWモータースポーツ)、86号車フェラーリ296 LMGT3(GRレーシング)らが上位へ進出。やがてサラ・ボビーの駆る85号車ランボルギーニ・ウラカンGT3エボ2(アイアン・デイムス)や、マンタイの2台のポルシェ911 GT3 Rもポジションを上げてくる。


 ボビーの85号車ランボルギーニは、4号車ポルシェ963(ポルシェ・ペンスキー・モータースポーツ)からヒットされたことで一時コースオフ、順位を落としてしまう。


 46号車BMWはバレンティーノ・ロッシへと交代してからも首位の座をキープするが、やがて92号車ポルシェ911 GT3 Rとピットタイミングごとに順位を入れ替えながらの走行となり、6時間経過時点では92号車ポルシェがクラス首位に立ち、46号車BMW、91号車ポルシェと続いている。


 日本勢では木村組87号車レクサスが7番手、濱口弘・佐藤万璃音組95号車マクラーレンが12番手、小泉組82号車コルベットが18番手、星野組777号車アストンマーティンが21番手でレースの4分の1を終えた。


 ル・マンは雨の降り出すなか、22時前に日没を迎えた。このあとはいよいよ夜の走行へと突入していく。日曜にかけても雨がらみの予報は続いており、引き続き目が離せない展開が予想される。

2024年ル・マン24時間レース スタートシーン

スターティンググリッドでの宮田莉朋と小林可夢偉


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