アジアン・ル・マン・シリーズにハイパーカークラス導入か。ACOの考えと各メーカーの反応
2024年6月20日(木)12時0分 AUTOSPORT web

ACOフランス西部自動車クラブのピエール・フィヨン会長は、将来的にAsLMSアジアン・ル・マンシリーズにハイパーカークラスが追加される可能性があり、プライベーター主導のフラッグシップカテゴリーの可能性について話し合いが行われていることを明らかにした。
現在、ル・マン・ハイパーカー(LMH)とLMDh仕様のプロトタイプカーはWEC世界耐久選手権とIMSAウエザーテック・スポーツカー選手権にしか参戦できないが、フィヨンは6月15〜16日に行われたル・マン24時間レースの現場で記者団に対し、ACOが運営するAsLMSにも拡大する可能性があると述べた。
「これは我々が考えていることだが、ハイパーカーを運用するには大きなチームが必要であり、非常に難しい。しかし、これはまだ将来に向けた取り組みの段階であり、まだ未完成だ」
この動きはFIA国際自動車連盟とACO、そしてIMSAが共同でウエザーテック・スポーツカー選手権のトップクラスについてのレギュレーションを2029年シーズン終了まで延長することを決定したなかでの展開だ。
Sportscar365からAsLMSへのハイパーカークラス導入時期を問われたフィヨンは「可能な限り早く」と答えた。
「いつ可能になるかを話すのは早すぎる。今の時点では確実に、できるだけ早く、という他ない」と同氏。
フィヨンはアジアでこのクラスが実現するとしても、それはプライベーター・チームだけのもになると強調した。現在LMDhマシンを顧客に販売しているメーカーはポルシェだけだが、BMWなど他のメーカーも将来的な可能性は否定していない。
「我々は(ハイパーカーメーカーと)どのようにマネジメントができるかを話し合っているところだ。しかしこれは、現時点ではコンセプトにすぎない」とフィヨンは語る。
将来的にこのプラットフォームがAsLMSに追加されたとしても、ACOはハイパーカーがELMSヨーロピアン・ル・マン・シリーズに参戦する予定はないとフィヨンは強調した。
「ELMSのトップカテゴリーはLMP2であり、それは今後も変わらないだろう」
「ELMSは大陸選手権だ。我々にはWECがあり、ル・マンにはハイパーカーがある。だから、ELMSにハイパーカーを参戦させる必要はない」
「しかしアジアでは違う。アジアのチームはビッグブランドと一緒に走るのが好きだから、我々はもっと多くのアジアチームを誘致できると考えている。あくまで現時点では単なる“考え”だけどね」
■“ワンメイク”ハイパーカークラスは望まない
ハイパーカー・メーカーの各社がフィヨンの提案に対してさまざまな反応を示すなか、ポルシェ・モータースポーツを率いるトーマス・ローデンバッハは慎重な姿勢を見せた。
「もしポルシェ963がアジアでレースをするのであれば、我々は喜んで参加するよ。しかし正直なところ、カスタマーチームに限られるのであれば、今のままであればワンメイクのシリーズになる」
Sportscar365から、ポルシェがこの地域で963を走らせるのに充分な顧客を抱えていると思うかと問われたローデンバッハは「たぶん1チームか2チームだろう」と答えた。
「アジアでは、おそらく最初の1年〜3年はより大きなサポートを考慮に入れなければならないだろう。たしかに(JOTAレベルの)チームは多くない。マシンをうまく扱い、成功させるためには、より多くのサポートが必要ということだ」
しかしローデンバッハは、ポルシェがこのコンセプトに賛同するためには、他のメーカーもマシンを顧客に提供する必要があると強調した。
「世界中に35のワンメイク・シリーズがあると思う。我々は963を使用した36番目のそれを探しているわけではないんだ」
「もし競争があり、他のメーカーがそうすることを決めたら、私は疑問符を付けるだろうが、もし彼らがそうすると決めたなら我々は顧客を通じて喜んで参加するつもりだ」
一方、BMW Mモータースポーツ・ディレクターのアンドレアス・ルースは、AsLMSにこのクラスを追加するのは時期尚早だと考えている。
「AsLMSのような選手権で走らせるには、マシンはまだ複雑すぎる」
「今のところ、クルマがそうであるように思えない。2〜3年後にはこのようなことも議論できるかもしれないけどね。でも今のところは、クルマがどれだけ複雑で、複数の選手権で走らせることができるかを考えると・・・」
「間違いなく、(BMW側から)プッシュされることはないだろう」
TOYOTA GAZOO Racingのチームディレクター、ロブ・ロイペンは次のように付け加えた。
「そんなこと初めて聞いたよ。反応のしようがない。どれほどの規模になるのか、どのライバルが関わっているのか、私は何も知らないよ」
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