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磐田・松浦拓弥、浦和撃破の立役者に。名波浩監督の“秘蔵っ子”が示した「反発力」

フットボールチャンネル6月20日(火)11時44分
画像:磐田・松浦拓弥、浦和撃破の立役者に。名波浩監督の“秘蔵っ子”が示した「反発力」
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途中出場でチームのギアを挙げた背番号11

 18日、明治安田生命J1リーグ第15節が行われ、ジュビロ磐田は浦和レッズを相手に4-2で勝利した。敵地・埼玉スタジアム2002へ乗り込んでの一戦となったが、リーグ屈指の強敵を相手に積極的な戦いを見せたサックスブルー。名波浩監督率いるチームのなかでひときわ存在感を放ったのは、途中出場の背番号11、指揮官の“秘蔵っ子”とも言える選手だった。(取材・文:青木務)

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 先制しながらも前半終了間際に追いつかれ、後半には逆転ゴールを浴びた。下を向いてもおかしくない状況にもかかわらず、ジュビロ磐田の選手たちはそこからギアをもう一段階上げた。チームを躍動させたのは、名波浩監督の“秘蔵っ子”だ。

 明治安田生命J1リーグ第15節。磐田は浦和レッズを4−2で下し、リーグ戦2連勝を果たした。昨シーズンに引き続き、埼玉スタジアム2002で歓喜の輪を作ったのは赤いユニフォームではなくサックスブルーだった。

「(中村)俊輔というエースをけがで欠いているので、浦和の選手、もしかしたらサポーターにも『磐田には2〜3点差で勝つだろう』という空気が流れていたんじゃないかなと思う。我々は、それをひっくり返そうということで臨んだ。選手たちが勝つ道筋をピッチの中でしっかりと示して、前節の勝利を活かしてやってくれたと思う。非常にありがたい」

 試合後、名波監督はイレブンの反発力を誇った。

 ガンバ大阪戦と同様、優勝候補から勝ち点3を奪って見せたサックスブルー。浦和にトドメを刺したのは、前節はベンチ外だったアタッカーである。68分からピッチに立った松浦拓弥は、別格の輝きを放っている。

 名波監督は、所属選手たちを「息子」と表現することがある。そんな“磐田の父”にとっての松浦は、こんな存在ではないだろうか。

『手はかかるけれど、だからこそ可愛い』

ピカイチの攻撃センス。だがG大阪戦はベンチ外に

 攻撃センスはピカイチで、相手の嫌な位置でボールを受けては前を向き、最善の選択でチャンスを演出する。指揮官の意図を汲み取り、実践することで味方を活かすだけでなく自身も力を発揮する。試合の流れを変えたい時、誰よりも頼りになるのが松浦だ。

 今シーズンはスタメンとしても活躍している。第5節・清水エスパルスとの静岡ダービーで勝利に貢献すると、7試合連続でスタートからピッチに立った。昨シーズンの先発が2試合だったことを思えば、序盤戦は上々の出来だろう。

「より長い時間で使ってもらえるように、とは思っている。もっともっと試合に出て結果を残したい。それがあまり表に見えないタイプだと思うけど」

 松浦は照れくさそうに話したことがあるが、コンディションが万全であれば毎試合スタメンでもおかしくない選手である。

 ところが、第12節・柏レイソル戦以降はベンチスタートとなり、前節のG大阪戦は18人のメンバーに入ることもできなかった。類まれな能力を有しながらパフォーマンスに波があるのは事実で、試合を壊すような失態は演じないが、持ち味を発揮できずに出番を終えることもある。

 彼が頻繁にボールを受けるからこそ攻撃は円滑に動き出すが、スタメン出場を続けるうちに持ち味が薄れていった。そのことは本人も認めている。

「ゲームを見直しても『ここ行けたかな』というシーンがあった。気持ち的に弱気ではないけど、ボールロストを少なくしたいとか、セーフティになっていた部分が多かったかな」

「彼に対しての想いが強すぎたがために、色々な仕打ちをした」(名波監督)

 それでも、ロシアW杯アジア最終予選による中断期間を経て迎えた浦和戦で、チームを勝利に導いたのは背番号11だった。“親友”アダイウトンとのコンビネーションから奪った1点目、素早い動き出しからオフサイドラインを攻略した2点目と、それぞれ異なる形からゴールを陥れた。どちらもキレのあるプレーで、状態の良さを感じさせた。もちろん、ただ漫然と日々を過ごしていたらあの活躍はなかっただろう。

 ここ最近、磐田の練習場ではある光景が見られていた。

「2ヶ月、3ヶ月プレーヤーというのは彼の悪い癖というか特徴の一つで、その後ちょっと休養しないと1シーズン通してハイパフォーマンスは出せない。その中でベンチからも外して、トレーニング後に罰走ではなくコンディションを上げるために外周を走らせるようなことをやらせた」

 浦和を4−2で下した後、名波監督は松浦に“特別メニュー”を与えていたことを明かした。

 全体練習後に一度クラブハウスへと引き揚げるも、すぐにグラウンドへ下りてくる。足元を見ると、スパイクではなくランニングシューズを履いている。そして、フィジカルコーチと共にグラウンドの周りを走り始めた。

 練習で手を抜くことはないが、この走りのメニューをこなす中で、それまで以上に自身を追い込めたのは確かだろう。動きに鋭さが戻ると消極的なプレーは消え、果敢に相手の懐へ侵入するなど持ち味が復活した。浦和戦での爆発は、突然変異的に起こったものではないのだ。

「今日の(松浦の)2ゴールは、僕自身は何というか……」

 数秒の沈黙の後、名波監督の口から出てきたのは松浦へのねぎらいの言葉だった。

「彼に対しての想いが強すぎたがために、色々な仕打ちをしたんですけど、よく跳ね返してこういうパフォーマンスをしてくれたなと」

走り込みに付き合ってくれた菅野フィジコへの感謝

 松浦自身、「チームが勝つために使ってくれたし、起用してくれたことにゴールという形で応えられてすごく良かった」と言う。彼はきっと、指揮官から課されたものを“仕打ち”ではなく愛情の裏返しと捉え、黙々と走り込んだに違いない。

 そして、菅野淳フィジカルコーチへの想いも口にした。

「それ(ランニング)に付き合ってくれた菅野さん。一番感謝したい」

 ゴールを決めた松浦は、チームメイトの手荒い祝福を受けてもみくちゃにされた後、菅野フィジカルコーチと満面の笑みでハイタッチを交わしている。その場面について話を向けると、こんな言葉が返ってきた。

「俺、話していたんですよ。得点を取ったら『菅野さんのおかげ』って言いますねって。本当にそれができて良かったなと」

 他の誰にも劣らない高い能力を考えれば、浦和を相手に2ゴールを奪う活躍も驚くようなことではない。プレーに波があるのなら、なくせばいい。簡単なことではないが、あのパフォーマンスを見せられたら期待せずにはいられないだろう。

 何より、松浦自身が次のチャンスに飢えている。浦和戦の翌日、背番号11は約1時間半の全体練習を終えるとシューズを履き替え、菅野フィジカルコーチと共に走り始めたのだから。

 この光景は、練習場の“日常”となりそうだ。

(取材・文:青木務)

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