大阪桐蔭歴代イチのミート力。森友哉は低身長、短い腕でもカッコええ

6月20日(木)7時17分 Sportiva

あの時もキミはすごかった〜西武・森友哉

 プロ6年目の今シーズン、森友哉(西武)のバットが好調だ。まさに糸を引くようなライナー性の打球を左右に打ち分け、甘い球がくればスタンドイン。6月19日現在、打率.342は堂々のパ・リーグトップである。

 森の変幻自在のバッティングを見ていると、大阪桐蔭時代に目の当たりにした快打の記憶がよみがえってくる。


高校時代、4度甲子園に出場し、打率.473、5本塁打、11打点の活躍を見せた森友哉

 以前、大阪桐蔭で1年秋からレギュラーになった森が出場した4度の甲子園と、甲子園出場がかかった夏と秋の公式戦の打撃成績を調べたことがあった。以下が森の成績である。

1年秋(大阪大会、近畿大会)/35打数20安打/打率.571/3本塁打/10打点

2年春(甲子園)/18打数8安打/打率.444/1本塁打/2打点

2年夏(大阪大会)/27打数15安打/打率.556/1本塁打/5打点

2年夏(甲子園)/20打数8安打/打率.400/2本塁打/2打点

2年秋(大阪大会、近畿大会)/35打数16安打・打率.45711打点

3年春(甲子園)/5打数4安打/打率.800/3打点

3年夏(大阪大会)/25打数10安打/打率.400/1本塁打、9打点

3年夏(甲子園)/12打数6安打/打率.500/2本塁打/4打点

 通算すると、177打数87安打/打率.49210本塁打/46打点。ちなみに、愛工大名電時代のイチローの公式戦(春季大会を含む)の成績は、220打数101安打/打率.459/4本塁打/75打点。単純比較はできないが、数字を見る限り、森が”稀代の安打製造機”と肩を並べるクラスの打者であることは間違いない。

 さらに言えば、金属バットを使用する高校野球では、芯を外されたり、体勢を崩されたりしてもヒットになることがある。しかし森の安打は、10点満点で言うなら常に8点以上。きっちりとらえてのヒットがほとんどだった。

 高校時代の3年間で、森の試合は練習試合も含めて50試合以上は見たが、ある時から打つことが当たり前となり、どんな打球が飛ぼうが驚かなくなってしまった。逆に、関心が高まったのが凡打で、いま思い出しても形を崩されて打ち取られたという記憶がない。こんな高校生を見たのは、もちろん初めてだ。

 森のバッティングを見るたび、将来への期待が大きく膨らみ、「将来はプロで三冠王を獲れる」「4割、通算3000本安打も……」「トップモデルは小笠原道大か門田博光」と、多くの雑誌で書いたことがある。普段は誇張した表現をすることはほとんどないのだが、森は格別だった。

 そして森の打撃力の高さを誰よりも実感していたのは、大阪桐蔭の西谷浩一監督だ。これまで名だたるスラッガーをプロの世界へ送り出してきた西谷監督は、2年の夏前の段階でこう断言していた。

「コーチ時代から含めると、大阪桐蔭で指導して20年になりますが、とらえる能力は間違いなく歴代ナンバーワンです」

 ドラフト指名後森の未来図について話した時も、「1年目から使ってもらえれば3割、20本も……森友哉、中村剛也、浅村栄斗の”大阪桐蔭クリーンアップ”が1年目から実現するかもしれませんね」と向けると、普段なら慎重に言葉を選ぶ西谷監督がこう語った。

「1年目に、もし守備もなにも関係なく、年間を通して打席に立ったらどれぐらい打つのか。いち野球ファンとして単純に見てみたいです。もちろん、プロのピッチャーは甘くないでしょうが、『森なら……』とい思いはあります」

 そしてこう続けた。

西岡剛が首位打者を獲って、『じゃあ森と比べて、高校時代にどっちがとらえる能力が高かった?』と聞かれれば、間違いなく森と答えます。中村剛也、平田良介、浅村栄斗、中田翔……誰と比べても森が上です。この先、森がどれくらい打つかと考えれば、当然、期待は高くなります」

 高校時代の森は、思ったことは素直に口にするタイプだったが、バッティングに関しては感覚派で、あまり多くを語らなかった。だから、森のバッティングのすごさをどう表現すればいいのか難しかった。

 技術的には、ギリギリまで体を開かず、そこからでも十分間に合うスイングスピード。なにより、押してもビクともしない安定感抜群の下半身だ。この森のバッティングのルーツを辿っていくと、小学1年から中学2年まで、毎晩、父と励んだティーバッティングに行き着く。振る力、とらえる技術、バランス……すべてを身につけていった。

 そしてある時、森が備えている”ならでは”の大きな武器に気づいた。取材資料として、森の打席を真横から撮った連続写真を見る機会があった。構えから打球をとらえるインパクトまで、目線の高さがまったく変わらないのだ。よく打撃指導のなかで目線が上下しないことが大事という教えを聞くが、まさにその模範のようなバッティングだった。好打者と言われる選手でも、足を上げてからステップしてスイングに移るなかで目線は多少なりとも上下するもの。しかし森の目線は、本当に一定だった。

 写真のなかの森の顔の位置は、捕球体勢を取るキャッチャーのうしろで目を凝らす審判とほぼ同じ高さにあった。つまり、最もボールをよく見ようとする審判と同じ位置から投手のボールを見ているということだ。だからこそ、打つべき球の選別もしっかりできるのだろう。

 そもそも森の身長は、高校時代の資料には170センチと記されている。だが森は「一応、170センチってなっているんですけど、実際は168ぐらいですね。たぶん」と言って笑った。森は”170センチ”の体を、ハーフスクワットのような形でひざを曲げて重心を落とし、そこから打ちにいく。

 ストライクゾーンは、ルールブックではひざの上から脇の下までとなっている。森の場合、この幅自体が長身の選手と比べて狭い。そのなかでストライクゾーン上限近くに目線を置き、投球を見ることができる。170センチの低さゆえの大きなメリットだ。

 高校時代。森と身長とバッティングの関係について話をしたことがあった。森の主張はこうだ。

「同じように体を使えるなら絶対に大きい方が有利。でも背が大きい分、思うように使うのが難しいというのがあるのでしょうね」

 そして、理想体型のプロ野球選手として挙げたのが、当時まだ現役だった井口資仁(現・ロッテ監督)だった。ちなみに当時の井口のサイズは178センチ、91キロ。その理由を、森はこう語っていた。

「身長もですけど、僕がバッティングとの関係でとくに感じているのが腕の長さです。自分は背も低いですけど、腕がかなり短い。だからバットをコントロールしやすいというのがあると思うんです」

 手足の長さは、身長に比例することが多いのだろう。たしかに、森の腕は長くない。それどころか「普通より短いです」と強調してきた。

「ある時、ボーっと腕を見ていて『うわっ、短かっ!』って気づいたんです。とくにひじから先がめっちゃ短いんです」

 だが、とくにひじから先が短いゆえ、ボールと近いところに目線を置いても、たとえば高めの球に対してもスムーズにバットが出る。逆に、腕が長ければボールとの距離が取りにくくず、バットの扱いが窮屈になる。

 そして森には「もう少し身長があれば……」という話がついて回ったが、この低さ、この短さだからこそできるバッティングである。西谷監督に森の身長について聞いた時も、まったく意に介していなかった。

「この先という意味も含め、身長のことを言う人がいますが、マイナスに感じることはまったくありません。むしろ今の体型だからこそ、攻撃時の安心感などプラス面が目につきます。森にも『この身長で活躍するからカッコええんや』と話したことがありましたが、本人もそんな気持ちじゃないですか」

 まさに今、森はカッコいいことになっている。

 大谷翔平(エンゼルス)の大きさも武器なら、森低さもま武器であるように、バッティングは奥深い。

 ある時、森は「大きくなりたいですよ。中田(翔)さんとかを見ていてもカッコいいじゃないですか」と、男としての憧れを熱っぽく語ったことがあったが、変わらぬシルエットからの快打連発に、やっぱり森友哉にしかできないバッティングがあるのだとあらためて思ったものだ。

つづく

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