リバプール在籍中にイングランド代表「背番号10」をつけた6選手
2023年6月21日(水)18時0分 FOOTBALL TRIBE

背番号10は、世界共通でサッカー選手が憧れる特別な番号であり、攻撃の要となるエースナンバーとして知られる。1958年FIFAワールドカップスウェーデン大会で、サッカーの神様こと当時17歳だったブラジル代表FWペレ(2022年没)が母国を初優勝に導いた時、たまたま割り振られた背番号が10番だったことに始まる。
最近では、日本時間6月17日に行われたユーロ2024予選グループC第3節のイングランド代表対マルタ代表戦(4-0)で、プレミアリーグのリバプールに所属するイングランド代表DFトレント・アレクサンダー=アーノルドが、通常サイドバックながら背番号10で起用されたことが話題になった。アーノルドは同試合で中盤の一角としてプレーし、1ゴールを含めた素晴らしい活躍でマン・オブ・ザ・マッチ(MOM)を獲得した。
特にサッカーの母国と呼ばれるイングランド代表の背番号10を託される選手は、これまでも時代の象徴を意味してきた。ここでは、上述のアーノルドの活躍をきっかけに、同選手と同じリバプール在籍中にイングランド代表で10番を着用してきた6選手を紹介する。

ジョン・バーンズ(1987-1997)
1987年にワトフォードからリバプールに加入したMFジョン・バーンズは、チーム初の黒人選手だ。同クラブで通算407試合に出場し108ゴール101アシストを記録し、1997/98シーズン途中までプレー。1992/93シーズンに、イングランド代表の10番を着用した。
リバプールの初年度である1987/88シーズンは、ホームデビュー戦でゴールを決めると、リーグ戦15ゴール14アシストの活躍でFWA年間最優秀選手賞を受賞。その後も活躍を続け、1989/90シーズンにはリーグ戦22ゴール12アシストで得点王、2度目のFWA年間最優秀選手賞とPFA年間最優秀選手賞をW受賞し、リバプールのリーグ優勝に貢献した。
同シーズン含めて2度のリーグ優勝(1987/88、1989/90)、2度のFAカップ優勝(1988/89、1991/92)、リーグカップ優勝(1994/95)でタイトルを手にしている。

ロビー・ファウラー(1993-2001、2006-2007)
リバプールの下部組織で育ったFWロビー・ファウラーは、同クラブで通算369試合に出場し183ゴール49アシストを記録。1998/99シーズンに、イングランド代表の10番を着用した。
リーグデビューした1993/94シーズンに公式戦18ゴールを決めて注目を集めると、翌1994/95シーズンから3年連続でチーム内得点王を獲得し、エースとして地位を確立。低迷していたチームで得点を量産した。リバプールはファウラーの活躍もあり、2000/01に3冠(UEFAカップ、FAカップ、リーグカップ)を達成。翌2001/02シーズンリーグ開幕前のUEFAスーパーカップと、FAコミュニティ・シールドの2タイトルも獲得し、歴史的なシーズンに貢献した。
さらに個人では、1996/97にUEFAカップウィナーズカップ(1999年に現ELと統合)で得点王、2度のPFA年間最優秀若手選手賞(1994/95、1995/96)。チームでは、1994/95のリーグカップも獲得している。

マイケル・オーウェン(1996-2004)
リバプールの下部組織で育ったFWマイケル・オーウェンは、17歳の誕生日(1996年12月14日)にプロ契約を締結し、同クラブで2004年までプレーした。通算297試合に出場し、158ゴール41アシストを記録。1999年から2006年に、イングランド代表の10番を着用した。
1997年5月6日のトップチームデビュー戦で初ゴールを記録。これにより当時のクラブ史上最年少ゴール記録(17歳と143日)を更新すると、翌1997/98シーズンにはPFA年間最優秀若手選手賞とプレミアリーグ年間最優秀選手をW受賞。デビューシーズンは2試合1ゴールにとどまったものの、それ以降はリバプールを去るまでの全7シーズンでチーム内得点王であり続けた。
多くのゴールでチームを牽引したオーウェンは、2度のリーグ得点王(1997/98、1998/99)に輝き、2000/01シーズンの3冠(UEFAカップ、FAカップ、リーグカップ)と翌UEFAスーパーカップ、FAコミュニティ・シールドの計5タイトルも獲得。さらに2001年には世界で最も優れた選手に与えられるバロンドール(年間最優秀選手賞)をリバプール所属選手として初受賞した。

エミール・ヘスキー(2000-2004)
2000年にレスターからリバプールに加入したFWエミール・ヘスキーは、同クラブで通算223試合に出場し60ゴール26アシストを記録。2002/03シーズンに、イングランド代表の10番を着用した。
フィジカルに優位性を持っていたヘスキーは、将来有望なストライカーとしてリバプールに加入。クラブが歴史的な3冠(UEFAカップ、FAカップ、リーグカップ)と2つのタイトル(翌UEFAスーパーカップ、FAコミュニティ・シールド)を獲得した2000/21シーズンには、56試合出場で22ゴールを決め、期待値を超える活躍でチームの勝利に貢献した。
上述の5タイトルの他に、2003年にもリーグカップ優勝を果たしている。

スティーブン・ジェラード(1998-2015)
幼少期からリバプールのアカデミーで育ったMFスティーブン・ジェラードは、同クラブで通算710試合で186ゴール145アシストを記録。2007年と2009年に、イングランド代表の10番を着用した。
リバプールにとって歴史的なシーズンとなった2000/01シーズンにレギュラーとして活躍し始め、2003/04シーズン途中からキャプテンに就任。サポーターからも愛されたジェラードは、在籍した17シーズンで17個の個人タイトルと9つのチームタイトルを獲得した。
ジェラードの功績を示すものとして最もふさわしいのが、イングランドサッカー殿堂(2017年)とプレミアリーグ殿堂(2021年)の受賞だ。前者はイングランドサッカーにおいて顕著な活躍が認められた選手および指導者を表彰するものであり、後者はプレミアリーグが個人に与える栄誉で最高峰の賞であり、並外れた成功を収めて多大な貢献をしたことを意味する。

トレント・アレクサンダー=アーノルド(2023)
最後に冒頭で紹介したDFトレント・アレクサンダー=アーノルドである。6歳からリバプールに所属し、18歳の2016年10月にトップチームデビューしたアーノルドは、同クラブで通算273試合で16ゴール71アシストを記録。2023年に、イングランド代表の10番を着用した。
2017/18シーズンから徐々に出場機会を増やしたアーノルドは、同シーズンにリバプールの最優秀若手選手に選ばれた。翌2018/19シーズンには12アシストを記録し、プレミアリーグ所属ディフェンダーにおけるシーズン歴代最多アシスト記録を更新。
さらに同シーズンCL準決勝2ndレグのバルセロナ戦(2019年5月7日)で、相手の意表をついたコーナーキックでアシストを記録。チームを2年連続の決勝進出に導くと、その決勝トッテナム・ホットスパー戦(2019年6月1日)では攻守において存在感を発揮し、14年ぶりの優勝に大きく貢献した。
翌2019/20シーズンには13アシストで、自身が持つプレミアリーグ所属ディフェンダーにおけるシーズン歴代最多アシスト記録を更新し、プレミアリーグ、FIFAクラブワールドカップ、UEFAスーパーカップのタイトルを獲得。同シーズンのPFA年間最優秀若手選手賞を受賞した。
翌2020/21シーズンは、CLグループステージ最終節のミッティラン戦(2020年12月10日)でリバプールにおけるCL史上最年少キャプテン記録(21歳63日)を更新。地元リバプールで生まれ、U-16やU-18チームで主将を務めてきた経歴から、将来のキャプテンとして期待されている。
上述したタイトルに加え、UEFAスーパーカップ(2019)、リーグカップ(2021-22)、FAカップ(2021-22)、FAコミュニティ・シールド(2022)を獲得している。