アルピーヌLMDhは「計画どおり」開発中。北米でのカスタマー参戦に向けアンドレッティとの協議も継続

2022年6月23日(木)9時56分 AUTOSPORT web

 アルピーヌのローラン・ロッシCEOは、2024年デビュー予定のLMDh車両をIMSAウェザーテック・スポーツカー選手権で走らせることについて、アンドレッティ・オートスポーツと話し合いを持ったことを認めた。また、エグゼクティブディレクターによれば、アルピーヌLMDh車両の開発は「計画どおりに」進んでいるという。


 現在、特例措置としてLMP1ノンハイブリッド車両『アルピーヌA480』でWEC世界耐久選手権のハイパーカークラスに参戦しているアルピーヌ。2023年はLMP2クラスへと参戦した後、現在開発中の新型LMDh車両では2024年からWECでのファクトリー・プログラムを予定しているが、同時にこの車両をIMSAのGTPクラスへ参戦させることを視野に、ロッシはマイケル・アンドレッティと話し合いを持った。


 以前に報じたように、アンドレッティはF1エンジン供給とスポーツカー参入の可能性についてアルピーヌと予備的な会談を行っていたが、その時点では詳細が明らかにされていなかった。


「実際に(アンドレッティ・オートスポーツに)会いに行って、その可能性について話し合った」とロッシはSportscar365に対し語った。


「なぜなら、彼らはシンプルに興味を持っていただからだ。LMDhをやると発表したとき、彼らは『IMSAや、場合によってはル・マンであなたのクルマを走らせることに興味がある。アメリカ人にとって大きな意味のあることだからだ』と手を挙げてくれた」


「だから我々はそれについて議論した。そしてそれは、我々が検討しているひとつの可能性であり、それによって我々のLMDhプログラムをフルに活用できる可能性を秘めている」


■北米市場に進出すれば、“参戦条件”はクリアに


 アンドレッティとの契約が合意に至れば、オレカをベースシャシーとするアルピーヌLMDh車両が、複数のシリーズへ参戦することが可能となる。ロッシはこの契約について、カスタマー・プログラムを「上回る」ものになるだろうと語っている。


 だが、その車両がIMSAウェザーテック選手権に参戦できるかどうかは、現在のところ明確ではない。


 IMSAは、LMDhまたはル・マン・ハイパーカー(LMH)のマニュファクチャラーに対し、北米市場で自動車を販売していること、そして年間2500台以上のロードカー生産を参戦の条件としている。


 生産台数の面ではA110で満たしているアルピーヌだが、現在のところアメリカ市場には進出していない。だがロッシは、将来的には北米市場へ進出する可能性を否定しなかった。


「正直に言えば、我々はそこに到達したとき、その橋を渡ることになる」

36号車アルピーヌA480・ギブソン 2022年WEC第3戦ル・マンテストデー


 プジョー・スポールの元ディレクターで、アルピーヌ・レーシングのエグゼクティブディレクターに就任したブルーノ・ファミンは、次のように語っている。


「我々の目標は、2024年にファクトリーチームで世界耐久選手権に参戦することだ。これが我々のメインターゲットであり、そこに集中している」


「そして第二の目標は、WECやIMSAに参戦するチームがあれば、カスタマーカーを販売するということだ。彼らは、両選手権に参戦することができる」


■フェラーリ、アキュラとも協業するオレカからの“制約”


 オレカシャシーをベースとするLMDhの開発は、計画通りに進んでおり、ファミンによれば、すでにエンジンの作業も始まっているという。


「エンジンはダイノ上にある」と彼は語っている。


「我々は現在開発に取り組んでおり、適切なレベルのパフォーマンスを発揮できると確信している。今後数週間のうちに、ダイノ上での耐久テストが始まる予定だ」


「我々は、いくつかのF1からの技術的なアイテムなど、すでによく知っているコンポーネントを使用し、要求される高いレベルの性能に達することができるよう、開発に取り組んでいる」


 ファミンはこの車両を2024年にデビューさせるという計画は、シャシーパートナーのオレカが来年実行される他の複数のプログラムに関与していることを念頭に、それら関連する「すべての制約」を考慮し、実行されていると述べた。


 オレカは2023年に向け、アキュラのLMDh車両であるARX-06や、フェラーリの新型296 GT3の生産に取り組んでいる。


「我々はオレカとともに仕事をしているが、彼らはいま、別の自動車メーカーとも仕事をしている」とファミンは言う。


「車両の設計と、エンジンの統合について、我々はオレカとともに作業を始めている。具体的なパーツについては、今後数週間のうちに設計される予定だ」


「オレカの都合により、シャシー側の作業を少し遅らせなければならない。それが、このプログラムの準備が整うのが早くても2024年となる理由だ」


「そして、IMSAに参戦するカスタマーが見つかれば、2024年の1月に向けて準備を整えるだろう」


 ファミンはマシンのロールアウトがいつになる予定かは確約せず、カスタマーがいる可能性のある2024シーズンに向け「準備はできるだろう」と述べるにとどめた。

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