IMSA:コロナ禍でのレース再開に向け“特認”でアメリカ入国。隔離中ドライバーの意外な暮らしぶり

2020年6月25日(木)18時5分 AUTOSPORT web

 7月3〜4日にフロリダ州のデイトナ・インターナショナル・スピードウェイでシリーズが再開されるIMSAウェザーテック・スポーツカー選手権。レースに先立ち、アメリカ合衆国が推奨する隔離(検疫)期間を満たすため、アメリカ国外に拠点を置く多数のドライバーとスタッフが、すでにアメリカ・フロリダ州に到着し始めている。


 IMSAは6月24日、新型コロナウイルスの影響で変更されたスケジュールにおいて今季第2戦となる「ウェザーテック240 at デイトナ」のエントリーリストを発表。26台のマシンが名を連ねている。


 当初、IMSAのレース再開にあたってはアメリカ国外を拠点とするドライバーや関係者の入国がネックになるかと思われたが、5月下旬に交わされたIMSAとアメリカ国土安全保障省間の合意により、レース関係者の入国制限が免除されることになった。


 今回発表された第2戦のエントリーリスト上には、この措置を受けているドライバーが14名、存在する。


 GTLMクラスにコルベット・レーシングからエントリーするオリバー・ギャビン(イギリス)とアントニオ・ガルシア(スペイン)、そしてGTDクラスのアキュラMSX GT3を駆るマリオ・ファーンバッハー(ドイツ)はいずれも、国土安全保障省からヨーロッパ=アメリカ間の移動制限規定の免除を受けているドライバーだ。


 これらヨーロッパを拠点とするIMSA出場ドライバーの多くは、7月3日にデイトナ・インターナショナル・スピードウェイでレースが再開される前に、米国疾病対策予防センターの推奨する14日間の検疫隔離期間を遵守することを選択。早期にアメリカ入りを果たし、レース再開の日を待っている。


 6月18日にフロリダに到着したギャビンとガルシアは、コルベット・レーシングが借りたフロリダ州クリアウォーターの家をシェアしている。またファーンバッハーは現在、フロリダ州パームビーチのホテルに滞在し、サーキットに入るまでの残り9日間を過ごしている。


「IMSAはとても一生懸命にやってくれた」とギャビンは言う。


「ベン・ジョンソン(チームマネジャー)とコルベット・レーシングのスタッフたちは、国土安全保障省の人々との間で何が起こっているのか、アントニオと私が理解するために一生懸命働いてきた」


「そこにはたくさんの質問やら何やらのやりとりがあったんだ。僕らのスタッフたちは、この措置を実現するために、とてつもない量の事務処理をする必要があったはずだ」


「不安も少しはあったと思う。(3月に予定されていた)セブリング12時間が延期されると聞いてすぐに次は何が起こるのか、いつ僕らはレースを再開できるのか……ってこの数カ月はずっと考えてきたし。何週間も何週間も家にいれば、『この先、どうなるんだろう』って不安になる時期もあるよ」


 外国人アスリートのP1ビザを保持しているギャビンは、ロンドン・ヒースロー空港発、フロリダ州・マイアミ着の便でアメリカ入りしたが、そのアメリカン航空のフライトにはIMSAが承認した他の11名のスタッフも搭乗しており、彼らで全乗客の「約半数」を占めていたという。


「空港に到着するまでの、アメリカへの移動は比較的簡単で順調だった」とギャビンは語る。


■暑さを避け早朝に運動。ゲームでツインリンクもてぎも攻める?


「検温や書類の記入、そして検疫に関するアドバイスなどは簡単だった」


「隔離は推奨事項だから、僕らが規則を遵守していることを監視している人がいるわけではない。あくまでもチームが望んだことだけど、これは正しい判断だ」


 ガルシアは、8月2日のロード・アメリカ戦まで、ギャビンとともにアメリカに留まると語る。だが、この先の検疫と移動制限次第ではそれが延長される可能性もあるという。


 ファーンバッハーも、ギャビンやガルシアと同じように、ソーシャルディスタンスの保持やマスク着用など、米国疾病対策予防センターのガイドラインに従って生活しているという。


「レースに戻ることができて本当にうれしい。とても感謝しているよ」とファーンバッハー。


「これを可能にしたのは、IMSAとダスティン・ヘッセルティン(モータースポーツ弁護士)だ。彼らなしでは、僕たちはここにいなかったと思う。これは多大な努力であり、アメリカ国外からやってきたすべての関係者が、彼らに感謝をしているだろう」

2020デイトナ24時間でマリオ・ファーンバッハー、マット・マクマリー、道見真也、ジュール・グーノンが乗り込んだアキュラNSX GT3 Evo


 コルベット・レーシングのふたりは、早朝にロードバイクに乗ったり、ランニングをしたりと忙しい日々を送っている。日中は気温35度を超えるクリアウォーターで、料理やゲームをして過ごしているという。


「アントニオの料理の腕前は、なかなかのものだよ。僕はあまり料理は得意じゃないんだ」とギャビン。


「僕は買い物をしたり、少し片付けをしたり、食洗機の出し入れをしたりと、まぁいろいろやっているよ」


「アントニオがプレイステーションを持ってきたので、ゲームも少しやっている。コルベットC7.Rではバサーストと(ツインリンク)もてぎでレースをした。とても楽しかったね」


「僕らは、この日々を埋めようとしてきた。順応しようとしているだけなんだ。ビーチにいるから、海に歩いて出られるのは素晴らしいことだね」


「家の外はすごく暑い。それはいいことばかりじゃないけど、次のふたつのレースはとても暑くなるだろうから、暑さに慣れるのは良いことだよね」



オリバー・ギャビンのツイート。シボレーからフロリダでの移動用にクルマを手配してもらったよう。


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