森保Jの構造は不安定。見せ場は作っても日本ペースは作れない

6月25日(火)17時17分 Sportiva

 コパ・アメリカ第3戦。日本が準々決勝に駒を進めるためには、このエクアドル戦に勝利する必要があった。試合は前半15分に日本が先制。エクアドルが前半35分に追いつく展開となった。


エクアドル戦で先制ゴールを決めた中島翔哉だが、課題も多い

 岡崎慎司(レスター)に代えて上田綺世(法政大)を投入した最初の選手交代は後半21分。ゴールを欲するチームとして遅い交代とは言えないが、残る2回の交代は問題だった。

 三好康児(横浜F・マリノス)を下げて安部裕葵(鹿島アントラーズ)を入れた2度目の交代は後半37分。板倉滉(フローニンゲン)を下げて前田大然(松本山雅)を投入した3度目の交代は後半43分だった。タイミング的に、それぞれ10分遅い交代と言うべきだろう。その監督の采配から、絶対に勝ちたいという意欲をうかがうことはできなかった。

 意欲はあったのかもしれないが、時間が遅れたのは、投入する選手への期待値がさほど高くなかったからとも考えられる。しかし、仮にそうだとしても、交代は早めに行なわれなければならなかった。可能性を探る努力をしなければ、もし終盤ゴールを奪ってベスト8入りを果たしたとしても、次の試合の目処は立たない。

 試合の数が増えるほど可能性が減るサッカー。森保一監督にはそうした傾向がある。今年1月に行なわれたアジアカップの戦いがまさにそれだった。試合数をこなすほど、選択肢は減っていった。

 今回は3試合が精一杯に見えた。新たな可能性が見えなければ4試合目、5試合目には期待しにくいものだが、その可能性は3戦目の終盤の戦いでほぼ潰えていた。

 森保監督は今回のコパ・アメリカに、最大、何試合を戦うつもりで臨んだのだろうか。ベスト8が目標なら最低4試合を戦うことになる。毎試合、勝利を追求しながら4試合を戦う戦力を同時に発掘していかなければならない。目標値から逆算して目の前の試合を戦う必要があるのだ。

 結局、小島享介(大分トリニータ)、菅大輝(北海道コンサドーレ札幌)、渡辺皓太(東京ヴェルディ)、伊藤達哉(ハンブルガー)、松本泰志(サンフレッチェ広島)の5人には、出場機会が1分も与えられなかった。

 育成カテゴリーであるU‐22チーム主体で臨んだ今回、監督としての使命は、できるだけ多くの選手を使うことと、勝利とを、クルマの両輪の関係で追求することだった。ところが現実は、勝利を収めることができず、出場選手に偏りも目立った。

 コパ・アメリカで一番注目していた点はそこだった。久保建英(レアル・マドリード)をはじめとする選手の動きより、森保監督の采配、選手の起用法だ。今回選出された23人は”正規”の代表ではない。暫定的な、入れ替わる可能性が高いメンバーだ。論じるべきは、代わりそうもない監督の方なのだ。

 ロシアW杯を戦った西野朗監督は、出場選手に偏りのある采配を振るった。可能性を狭めながら決勝トーナメント1回戦を戦った。ベルギー戦。西野監督はメンバー交代を2人しか行なわなかったが、それは選択肢が浮かばなかったからだ。それまでのパターンに従うと、本田圭佑と山口蛍を投入すれば、残る選択肢は岡崎となった。ところが、終盤の戦況は岡崎投入に適していなかった。日本は西野監督が3人目の交代を渋っている間に、ベルギーに逆転弾を叩き込まれることになった。

 こうした短期集中トーナメントでは、絶対に勝たなければならない戦いであっても、メンバーを代えていく必要がある。可能性を最大限まで膨らませながら次戦に向かう勇気が監督には求められる。残念ながら、今回の森保監督の采配には高評価を下すことはできない。

 サッカー的にも問題があった。それはひと言で言えば、4−2−3−1の「3」にお任せするサッカーだった。

 三好、久保、中島翔哉(アル・ドゥハイル)。頼りは彼らの即興的なプレーだった。小さくてうまくて俊敏性にも富む3人は、エクアドルに対しても十分魅力的なプレーを見せた。しかし、チームプレーのなかに組み込まれていたわけではない。出たとこ勝負の感覚的なプレーは、次に何が起こるかわからないので、確かに見ていて楽しい。実際、幾度となくワクワクさせられたが、その割に、試合は日本ペースで進まなかった。

 彼らがいかにいいプレーを見せても、日本はチームとして試合をコントロールすることができなかった。主導権を握れず、半ば撃ち合いの様相を呈しながら、試合が慌ただしく推移していった原因だ。むしろ、エクアドルのパスワークの方が戦略的だった。日本が嫌がりそうな場所にボールを意図的に運ぼうとしていた。

 杉岡大暉(左/湘南ベルマーレ)、岩田智輝(右/大分トリニータ)の両SBと、4−2−3−1の「3」の左右が、連係プレーを発揮するというシーンは少なかった。特に左サイドの杉岡と中島の関係は最悪で、パス交換はもちろん、意思の疎通さえ見て取れなかった。

 4−2−3−1の「3」が、後方の選手を接着していないサッカー。連動していないサッカーだ。ピッチ全体にボールが広く回らないので、遅攻がうまくできない。パス回しの不安定さは目に余った。競り合いの弱さ、球際の弱さを指摘する声もあるが、それはパスワークと展開が乱れていることと大きな関係がある。

 この環境のなかでプレーしていると伸びない。三好、久保、中島には、逆にそう言いたくなる。それぞれ、いるべき場所にいることが少なすぎる。ポジションの概念が不足しているのだ。中島のポジションは左なのに、どうして中にばかり入り込むのか。実際、エクアドルはそこを突いてきた。右SBペドロ・ベラスコが中島の背後に入り込み、数的有利な状況を幾度となく作っていた。そのあたりのポジショニングを改善していかないと、欧州の一流クラブでプレーすることは難しい。

 荒っぽい試合をしたなという印象だ。3戦とも似たようなサッカーをした。4−2−3−1の「3」は確かに日本の生命線かもしれない。だが、チームのなかにその3が、きれいに意図を持って収まっているようには見えない。よくも悪くも”暴れた”状態にある。

 森保監督はそこにどう手を加えるか。日本代表は完成形にはほど遠い。



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