ブラジルで「失ったものを取り戻す」岡崎慎司は6年前と同じ覚悟だった

6月27日(木)17時17分 Sportiva

 コパ・アメリカ・グループステージ最終戦、エクアドル戦の会場となるベロオリゾンテのミネイロン・スタジアムは、岡崎慎司(レスター・シティ)にとって縁起のいい場所である。

 2013年6月、コンフェデレーションズカップのメキシコ戦で2試合連続ゴールを記録し、マインツからのオファーを掴み取ったのだ。シュツットガルトではサイドで起用されて不遇をかこっていたが、国際舞台でストライカーとしての能力を証明し、キャリアを切り開いたのである。


若手主体で臨んだコパ・アメリカで2試合先発した岡崎慎司

 その後、マインツで2シーズン連続ふたケタゴールを達成した岡崎は、憧れだったプレミアリーグの舞台へとたどり着く。

 あれから6年——。

 岡崎はあの時と同じように、覚悟を持ってブラジルにやって来た。

「今回、経験を求められて呼ばれたけれど、自分自身を取り戻さないといけないと思っていて。練習からそのつもりで取り組んできた。ちょうどレスターとの契約も切れて、まっさらな気持ちで代表に入れた。今回の招集は自分にとってプラスでしかないですね」

 2015年夏から始まった岡崎とレスターとの蜜月は今夏、終わりを告げた。

 これまで日本人FWがイングランドで成功した例がないなかで、4シーズンも在籍し、加入1年目にプレミア制覇を成し遂げたのだから、その足跡は称賛に値する。

 決して大柄ではない岡崎が屈強な猛者たちの集うプレミアでなぜ、生き残ることができたのか。その答えが、これだった。

 セカンドトップのポジションで、全部やる——。

 ゴールを目指しながら守備のスイッチを入れ、中盤とジェイミー・バーディーのつなぎ役を果たし、サイドにも顔を出す。奇跡の優勝は、岡崎の貢献なくしてあり得なかった。

 もっとも、プレミアで生き残る術(すべ)を見つけた一方で、失ったものもある。

 ストライカーとしてのスタイル、である。

「レスターで中盤のようなポジションをやっている時は、ボールを失うことが許されない部分があった。でも、FWは本来イチかバチかで狙うことも大事。マインツではそれができていたし、自分にはFWとして怖さがあったと思う。

 そういう意味では、この4年間で失ったものもある。プレミアでの経験が染みついていると思うから、次の段階としてゴール。FWとして、再び危険な選手になっていかないといけない」

 岡崎が日本代表に招集されるのは、昨年のロシア・ワールドカップ以来、実に1年ぶりのことである。しかも、コパ・アメリカに臨むのは、22歳以下のメンバーを中心にした若いチーム。ストライカーとしてリスタートを切る覚悟の岡崎にとって、若い選手たちと切磋琢磨できる今回の招集は願ってもないチャンスだったという。

「これまで代表で百何十試合に出ているけど、そういうのは関係なくて。若手と一緒に、1戦目というくらいの気持ちで勝負したいと思っていた。

 森保さんと話した時から、1トップで勝負することを目指してきたし、頭のなかの準備もしてきた。これまで自分がどんなプレーをしてきたのかを振り返りながら。自分のなかでやるべきことが固まっていたから、今回、目安となるものがほしかった」

 チリ戦で途中出場した岡崎は、ウルグアイ戦で1トップとして先発出場を果たす。この試合で2本の決定的なシュートを放ってフル出場すると、勝利が求められたエクアドルとの第3戦でもスタメンに指名された。66分に途中交代したものの、中島翔哉の先制ゴールにつながる裏への飛び出しなど、随所に”かつての岡崎らしさ”を表現した。

 その試合後、岡崎はこう言った。

「2試合も先発で出られるとは、大会前には思っていなかった」

 若手主体の今大会は、1年後に迫った東京五輪への強化の一環。しかも、レスターではリーグ戦ノーゴールに終わっていた。ロシア・ワールドカップ以来となる代表復帰は当初、若手に経験を伝えることを期待されてのものだと考えられていた。

 しかし、岡崎はピッチ内外の振る舞いで2試合のスタメン出場を掴み取った。森保一監督が称賛する。

「このチームでやっていくことを真摯に受け止め、練習中からトライする姿勢を見せてくれた。経験が豊富な選手たちが、口先だけではなくプレーで示してくれた。ピッチ外の言動にしても、若い選手たちの指針となるような姿勢を見せてくれたと思います」

 勝負のかかったゲームで岡崎を外すという選択肢はなかったのだろう。岡崎が再び今大会を振り返る。

「自分がFWとしてどれくらいのレベルでやれるかっていう点で、試金石になったのは本当によかった。自分のサッカー人生で、FWとして、もう1年も無駄にできないんで。ゴールって、奇跡的に今日獲れたとかじゃなくて、毎試合獲っている選手が獲れるものだと思うんです。クラブで20点くらい獲っている選手が代表でも獲れる。そういう感覚を自分も持っておきたい」

 ストライカーとしての動き方、感覚、怖さは間違いなく取り戻した。あとは、ゴールがついて来さえすれば——。

 今の岡崎なら、「ほしい」と手を挙げるクラブは数多くあるだろう。そして、9月からスタートするカタール・ワールドカップ・アジア予選の日本代表のメンバーに、岡崎の名前があってもおかしくない。

 6年前と同じように、まぎれもなく岡崎はコパ・アメリカで自身のキャリアを切り開いたのだ。

Sportiva

「岡崎慎司」をもっと詳しく

「岡崎慎司」のニュース

トピックス

BIGLOBE
トップへ