ゴール直後にガス欠のマツダが辛勝。小林可夢偉は最終周の接触でペナルティ/IMSAワトキンス・グレン6時間

2021年6月28日(月)13時25分 AUTOSPORT web

 アメリカ・ニューヨーク州のワトキンス・グレン・インターナショナルで6月27日に決勝が行なわれたIMSAウェザーテック・スポーツカー選手権第5戦『セーレン・6アワーズ・オブ・ザ・グレン(ワトキンス・グレン6時間レース)』では、マツダ・モータースポーツの55号車マツダRT24-P(オリバー・ジャービス/ハリー・ティンクネル/ジョナサン・ボマリト)が、2番手に0.9秒という僅差で優勝。コロナ禍で開催が見送られた昨年を挟み、2019年の同レースに続くワトキンス・グレンの”連勝”を達成した。


 IMSAの長距離耐久戦で構成される『ミシュラン・エンデュランス・カップ』の第3ラウンドともなる第5戦は、第2戦セブリング以来となるDPi、LMP2、LMP3、GTLM、GTDの全5クラスが参加するイベントとなった。


 今季、エンデュランス・カップ全戦への出場を表明しているアリー・キャデラック・レーシングの48号車キャデラックDPi-V.R(ジミー・ジョンソン/小林可夢偉/シモン・パジェノー)も、DPiクラスのエントリーリストに復帰。さらに長距離戦とあって、レギュラードライバー2名に“助っ人”を加えた編成で臨むチームも多く見られた。

デイトナ、セブリングに続き今季3度目のIMSA参戦となった小林可夢偉


 決勝前日に行なわれた予選では、ウェイン・テイラー・レーシング(WTR)10号車アキュラARX-05(リッキー・テイラー/フィリペ・アルバカーキ/アレクサンダー・ロッシ)のテイラーがポールポジションを獲得。これに続いたのはマイヤー・シャンク・レーシングの60号車アキュラ(デイン・キャメロン/オリビエ・プラ)のキャメロンで、アキュラ勢がフロントロウを独占する形に。


 以下、3番手にはキャデラック・チップ・ガナッシ・レーシングの01号車キャデラック(レンガー・バン・デル・ザンデ/ケビン・マグヌッセン)のバン・デル・ザンデ、4番手に48号車キャデラックの可夢偉、5番手にウェーレン・エンジニアリング・レーシングの31号車(フェリペ・ナッセ/マイク・コンウェイ/ピポ・デラーニ)と続いた。


 55号車マツダは予選後のエンジン交換により、決勝はDPiクラス最下位、7番グリッドからのスタートとなった。


 現地時間27日午前10時40分にスタートした6時間の決勝レースでは、オープニングラップで60号車アキュラのキャメロンがトップへと浮上。2番手にはPPスタートの10号車アキュラが続き、順位を入れ替えてアキュラのワン・ツー体制を構築した。48号車では可夢偉がスタートドライバーを務めた。

予選でPPを獲得したウェイン・テイラー・レーシングの10号車アキュラARX-05

スタート直後にLMP2車両がクラッシュ、またGTLMのポルシェから出火したことで、早々にイエローが導入された


 しかし3回目のフルコース・イエローで各車がピット作業を終えたあとのレース折り返しでは、31号車キャデラック陣営がいったんはトップへと浮上する。1.5秒差で60号車アキュラ、さらに1秒後方に10号車アキュラ、そこから1.6秒後ろに55号車マツダと01号車キャデラックが続く展開となった。


 レースが後半に入ると、再び60号車アキュラがリードを奪う。最後の1時間に突入する直前、トップは60号車アキュラで、2番手に01号車キャデラック、以下55号車マツダ、10号車アキュラ、48号車キャデラックと続いていた。

序盤から終盤に入るまで、レースの主導権を握っていたマイヤー・シャンク・レーシングの60号車アキュラARX-05


■残り1時間のピットで逆転


 60号車が2番手以下との差を15秒ほどとしていた残り1時間3分、LMP2車両のクラッシュによりフルコース・イエローが導入されると、残り53分の時点で各車が一斉にピットイン。ここで55号車マツダがタイヤ1本交換を選択し、トップに立つことに成功する。イエローのおかげで最後の1時間もスプリント的様相を呈すなか、フィニッシュまでの燃料も各車ギリギリもつかどうかどいう状況でリスタートを迎えた。


 残り10分を切り、トップの55号車マツダをドライブするティンクネルは、60号車アキュラのプラに背後へと迫られる。攻防は最終ラップまで続いたが、トラフィックも絡めてなんとかティンクネルが0.9秒差で逃げ切り、マツダが今季初優勝を遂げた。


 なお、ティンクネルの55号車はチェッカー後のクールダウンラップ中にガス欠に見舞われている。3位にはWTRの10号車アキュラが入り、4位は31号車キャデラックとなった。


 48号車キャデラックは、可夢偉がスタートしたあと、ジョンソン→パジェノー→可夢偉→パジェノー→可夢偉とつないで6時間レースのチェッカーを目指した。


 最終盤は可夢偉が01号車マグヌッセン、31号車デラーニに迫ったが、最終ラップで01号車との接触があり、マグヌッセンはサンドトラップへ。この接触で非があったとして、可夢偉の48号車にはドライブスルー相当となる35秒のタイム加算というペナルティが課せられ、暫定リザルト上では5位となっている。

2019年に続きワトキンス・グレンにおける連勝を飾ったマツダRT24-P

ジミー・ジョンソン/小林可夢偉/シモン・パジェノーがドライブしたアリー・キャデラック・レーシングの48号車キャデラックDPi-V.R。次回の参戦は最終戦のプチ・ル・マンとなる。


 LMP2クラスは、WINオートスポーツの11号車オレカ07とPR1マティアセン・モータースポーツ52号車オレカの間で長いトップ争いが繰り広げられたが、1.1秒差で11号車オレカ(スティーブン・トーマス/トリスタン・ヌネス/トーマス・メリル)が優勝を飾っている。


 LPM3クラスは、ライリー・モータースポーツの74号車リジェ・JS P320(ガー・ロビンソン/フェリペ・フラガ/スコット・アンドリュース)が、こちらも1.6秒という僅差で勝利を遂げた。


 GTLMクラスでは、スタート直後にクーパー・マクニールの駆るウェザーテック・レーシングの79号車ポルシェ911 RSR-19が出火により早々にリタイアを喫したことで、コルベット・レーシングのシボレー・コルベットC.8Rの2台、そしてBMWチームRLLの2台のBMW M8 GTEによる争いとなった。


 残り30分のところで、チームメイトの4号車からリードを奪った3号車コルベット(アントニオ・ガルシア/ジョーダン・テイラー)が、2番手の24号車BMWに0.845秒差でトップチェッカーを受けている。3番手には25号車BMWが続いた。


 GT3車両で争われるGTDクラスには、14台の車両が参戦。ターナー・モータースポーツの96号車BMW M6 GT3(ビル・オーバーレン/ロビー・フォリー/エイドリアン・リード)がイエロー導入前にピットを済ませたことでトップへと浮上、そのままクラス優勝を飾っている。


 GTDのクラス2位はポール・ミラー・レーシングの1号車ランボルギーニ・ウラカンGT3、3位にはハート・オブ・レーシングチームの23号車アストンマーティン・バンテージGT3が続いている。


 IMSAの次戦第6戦は、ワトキンス・グレンでの連戦となる。これはカナディアン・タイヤ・モスポート・パーク戦がキャンセルされたことによる代替レースで、7月1〜2日に開催。現地時間金曜夜18時10分にスタートとなる決勝レースは、2時間40分で争われる。第5戦と同様5クラスすべてが出走可能だが、GTDクラスではIMSAウェザーテック・スプリントカップのポイントのみが付与されることとなっている。

GTLMクラス、GTDクラスのスタートシーン

GTLMクラスを制した3号車コルベットC8.R

LMP2クラス優勝のWINオートスポーツ11号車オレカ07

LMP3クラスを制したライリー・モータースポーツの74号車リジェJS P320

ターナー・モータースポーツの96号車BMW M6 GT3がGTDクラスで勝利を挙げた

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