横転、パンク、シマウマ激突にアーム破損。波乱続きのサファリで4位入賞の勝田貴元「本当にチームに感謝」

2023年6月29日(木)17時0分 AUTOSPORT web

 TOYOTA GAZOO Racingワールドラリーチーム(TGR-WRT)から、6月22〜25日にケニアで開催されたWRC世界ラリー選手権第7戦『サファリ・ラリー・ケニア』に参戦し、総合4位フィニッシュを果たした勝田貴元。コドライバのアーロン・ジョンストンとともに『トヨタGRヤリス・ラリー1』を駆り、波乱に満ちたサファリ・ラリーを戦い抜いた日本人唯一のWRCフル参戦ドライバーは、今大会を振り返るオンライン取材会の場で「とにかくチームに感謝したい。その気持ちでいっぱいです」と語った。


 サファリ・ラリーの過去2大会で総合2位、3位表彰台を獲得している勝田。当然、周囲からとくに日本のファンからは3年連続となるポディウムフィニッシュを期待された。


 勝田はその期待に応えるべくラリー序盤のデイ2から総合4番手争いに絡み、土曜日のデイ3ではチームメイトのエルフィン・エバンス(トヨタGRヤリス・ラリー1)と3番手を争うなかでステージベストを記録。SS12終了時点で総合3番手に浮上した。


 しかし、直後の3日目最後のSSでは、スコールに見舞われるなか“攻めの姿勢”が裏目に出てしまい2度のコースアウトと2度のスピンでタイムロス。順位を4番手に下げてしまう。最終日も僚友と表彰台を争ったものの、午前中2本目のSS15で発生したハイブリッドシステムの不具合によって最大100kW(約135ps)のハイブリッドブーストが得られず、ふたたびタイムを失ってしまい事実上の終戦に。


 ラリーの最終盤はエンジンのオーバーヒートやラジエーターの破損による“リタイアの危機”を乗り越え、困難なラリーでTGR-WRTによる1-2-3-4フィニッシュの一翼を担う4位のポジションを掴み取った。


 勝田は自身3度目のサファリを「今までのラリーキャリアの中で一番波乱の多い週末だったように思います」と振り返った。そのなかで2023年シーズンの自己最高位となる総合4位入賞を果たせた要因を問われると、彼は「チームのサポートだったと思っています」と即答した。


 この“波乱”の中には前述のトラブルやアクシデントのほか、シェイクダウンでのロールをはじめ、金曜日の午前中に起きたフロントアームの破損、同日午後1本目の再走ステージ(SS5)でのシマウマとの衝突、デイ2最後のSS7での右フロントパンクによるフェンダー損傷、およびコースオフによるフロントウインドウとリヤウイングの破損などが含まれている。


「状況としては150mほど続く非常に狭いセクションがあり、コーナーから立ち上がってきて(アクセル)全開で直線を走っているときに木の隙間から急に出てきたので避けられず、そのまま当たった感じです」と、シマウマとの遭遇を振り返った勝田。


「避けるに避けられない状況でした。衝突によってフロントの左部分が大きく壊れてしまいましたが、幸いメカニカル的な部分では大きな問題はなく走行を継続することができました」

シマウマの群れと勝田貴元駆るトヨタGRヤリス・ラリー1 2023年WRC第7戦サファリ・ラリー・ケニア
左フロントのダメージはSS5でシマウマと衝突したときのもの。 2023年WRC第7戦サファリ・ラリー・ケニア
3日目最後のSS7では前半区間のバンプで跳ね上げられた際に茂みに接触し、窓ガラスとリヤウイングを破損した。ラスト10km地点では右フロントタイヤがパンク。その後壊れたタイヤによってフェンダーにダメージを負った。


■全スタッフの協力なくして成し得なかった4位入賞


 アップダウンの激しかった今回のサファリ・ラリーを振り返ったとき、やはり表彰台に届かなった悔しさはあると語った勝田だが、それ以上にシェイクダウンから何度もマシンを修復してくれたチームへの感謝の気持ちが強いことが彼のコメントから伝わってきた。


「シェイクダウンから横転があったり本当にたくさんのことが週末の間に起きて、今までのラリーキャリアの中でも一番波乱が多かった週末だったと思います」


「結果的には、またトヨタの強さを発揮できて非常にポジティブな結果で終えられたラリーだったと思いますが、個人的な気持ちとしては、やはりポディウムを獲得できなかった部分で悔しい思いもあります。一方でしっかりとクルマを最後まで運べたことに安堵したというか、その部分はすごく良かったかなと思っています」


「本当にシェイクダウンからいろんなことがあったので、チームのメカニックやエンジニアもそうですが、TGR-WRT全スタッフの協力なくしてフィニッシュすることは間違いなくできなかったはずです。とくにこの週末においては、とにかく『チームに感謝したい』その気持ちでいっぱいです」


「結果として1-2-3-4で、参加したすべてのGRヤリスがフィニッシュしたというのは、本当にすごいことだと思います。現地にいたチームスタッフはもちろんですが、フィンランドのファクトリーだったり、ドイツの工場だったり、いろいろなところでこのラリーの準備をしてくれたチームのみんなに感謝してます」

シェイクダウンで横方向に2回転するクラッシュを喫した勝田貴元/アーロン・ジョンストン組のトヨタGRヤリス・ラリー1 2023年WRC第7戦ケニア
チームメカニックに状況を説明する勝田貴元(中央) 2023年WRC第7戦サファリ・ラリー・ケニア
2023年シーズンベストリザルトの総合4位でフィニッシュした勝田貴元/アーロン・ジョンストン組(トヨタGRヤリス・ラリー1) 2023年WRC第7戦サファリ・ラリー・ケニア

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