「彼は二軍に落としちゃいけない」阪神の新ロマン砲、前川右京への評価が高まる理由

岡田監督も前川の才能を高く評価している(C)KentaHARADA/CoCoKARAnext

　阪神は２８日の中日戦（甲子園）に延長戦の末に２−４と敗れ、連勝はならなかった。

　打線は好投手、中日・高橋宏斗の前に６回まで無失点と封じ込められた。７回にリードオフマン、近本光司の適時打で２−２の同点とするも、延長１０回に出た島本浩也が二死二塁から岡林勇希に適時三塁打を浴び、勝ち越しを許した。代わった加治屋蓮もビシエドに適時打を浴び、この回２失点。無敗記録がひそかな注目を集めていた左腕島本だったが、通算１２８試合目でプロ初黒星を喫した試合となった。

【動画】阪神は７回に一時同点となる適時打を近本が放ったシーン

　敗れはしたものの、存在感を示したのは若武者、高卒プロ２年目の前川右京にもあった。「３番・右翼」で先発出場し、マルチ安打をマーク。球界屈指の好投手、高橋宏相手に初回二死から１５４キロの外角直球を捉えて、中前打とすると、２点を追う６回一死一、二塁の場面では高め１５２キロを中前へと運んだ。前日の猛打賞から引き続き、打棒が止まらない。

　快進撃を続ける前川には球界内からも様々な考察の声が出ている。

　現役時代は大洋（現ＤｅＮＡ）で活躍。引退後は日本代表コーチも務めた野球解説者の高木豊氏は２８日に更新した自身のユーチューブチャンネルで前川について触れている。

　以前から潜在能力の高さは認めていたが、６月は打率・３５６と絶好調な前川の好調な要因について、まずは「あの若さであの打ち方ができるのがすごい」と話した。

　具体的には「体が開かない」ことで様々な球種にも対応できていることが大きいとした。「体が開かないためには体のどこを使えばいいのか彼はよく知っている」と非常にクレバーさを感じさせる選手だとした。

　さらに注目したのは「スイングの速さ」。相当振り込んできているとして、豊富な練習量が現在の結果につながっていると分析する。

　今季のチームでは開幕スタメンで起用したドラフト１位ルーキーの森下翔太、スケールの大きさを感じさせるプロ４年目の井上広大など、この先が楽しみな野手も多い。そんな中で存在感を高めている前川に関しては、高木氏はこの先たとえ調子が崩しても「彼は二軍に落としちゃいけない」と力説。根拠としては「彼は何かを感じながらやっていける選手」として、一軍の舞台で常に学びながらシーズンを送るべきだとした。

　さらなる大暴れも期待される前川が今後し烈さを増すペナント争いでも大事なキーマンとなりそうだ。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]