U-17アジア杯連覇!日本サッカーは次なるステージへ

2023年7月4日(火)12時0分 FOOTBALL TRIBE

写真:Getty Images

アジアサッカー連盟(AFC)が主催するU17アジアカップ2023が、6月15日〜7月2日にタイで開催された。16ヶ国が出場する中、大会史上初の連覇を目指すU-17日本代表は決勝で韓国と対戦。3-0で優勝を飾った。


2年に1度行われる同大会は、国際サッカー連盟(FIFA)が主催するU-17ワールドカップ(W杯)アジア予選も兼ねている。日本も韓国もすでにU-17W杯への出場権を獲得しており、タイトなスケジュールで迎えた大会6試合目だったが、優勝を懸けて序盤からハイレベルな試合を展開した。


ここでは、U17アジア杯2023決勝の様子を振り返り、またこの優勝が意味する日本サッカーの現在地について考察しよう。




U-17日本代表 FW名和田我空 写真:Getty Images

U-17アジア杯決勝ハイライト


準決勝からスタメン5人を入れ替えて、2日のU-17アジア杯決勝に臨んだU-17日本代表。やや苦戦した時間がありつつもサイドを起点にチャンスを生み出し、韓国にチャンスを作られてもDF土屋櫂大(川崎フロンターレU-18)とDF本多康太郎(湘南ベルマーレU-18)のセンターバック陣が堅実に対応した。


前半終了間際、ロングボールに反応したFW道脇豊(ロアッソ熊本)が、韓国のDFコ・ジョンヒョンに倒される。ジョンヒョンはこの試合2枚目の警告を受けて退場。日本が数的優位になり、この場面で得たフリーキック。FW名和田我空(神村学園)がスピード、コースともに申し分ないキックでねじ込み、最高の形で先制した。


リードして迎えた後半、日本は落ち着いてボールを回しながら好機を伺い、21分には追加点を奪うことに成功する。背番号10を背負ったMF佐藤龍之介(FC東京U-18)からの中央への縦パスを受けたMF望月耕平(横浜F・マリノスユース)が、絶妙のトラップ。そこから裏に抜けた名和田へとスルーパスが送られると、名和田がGKの動きを見ながら落ち着いて流し込み、この試合2点目となるゴールを決めた。


さらに後半終了間際には終始貪欲な姿勢をみせていた道脇が裏に抜け、冷静にDFをかわしてシュート。ニアサイドを打ち抜き、試合を決定づける3点目を挙げた。


日本は3-0の完勝で大会2連覇を達成し、フェアプレー賞も受賞。名和田は大会通算5得点で、得点王とMVPをダブル受賞した。大会を通して、これまでにないほどの強さを見せた日本。準々決勝ではオーストラリアに3-1、準決勝ではイランに3-0、そして決勝では韓国に3-0。さまざまな選手を起用しながらアジアの強豪を倒し、圧倒的な優勝を飾ったと言える。




EAFF E-1サッカー選手権2022で優勝した日本代表 写真:Getty Images

「最大のライバル=韓国」から次の時代へ


この試合を含め、日本代表の各年代での対韓国戦スコアが、なんと5試合続けて「3-0」となった。


2021年3月に行われた国際親善試合日韓戦(A代表)で3-0。2022年6月に行われたU-23アジアカップの準々決勝(U-21日本vsU-23韓国)で3-0。同月U-16インターナショナルドリームカップ2022(U-16日本vsU-16韓国)で3-0。さらに2022年7月には、E-1サッカー選手権2022でA代表が3-0。そして今回のU-17アジア杯決勝での3-0である。


長い間「最大のライバルは韓国」と言われてきた日本サッカー界。球際で上回られ勝てそうで勝てなかった時代は終わったと言っていいだろう。


2022年のカタールW杯でドイツやスペインを破った日本が目指すのは、2050年までのW杯優勝。そのための新たなステージに踏み出すべく、ライバル関係もアップデートすべきではないか。


FIFAワールドカップフランス大会(1998年)の日本代表 写真:Getty Images

世界に羽ばたく日本代表選手たち


ヨーロッパでプレーするいわゆる「欧州組」の日本人選手も増え続けており、A代表のほとんどを占めるまでになっている。日本が初めて出場した1998年のフランスW杯では、全員がJリーグ所属選手であったことを考えると隔世の感がある。


欧州の第一線で活躍する日本人選手も世界で取り上げられ、高校卒業とともにすぐに海外へ旅立つ選手もさほど珍しくなくなった。欧州でプレーする選手たちのバックアップを考え、日本サッカー協会はドイツのデュッセルドルフにも拠点を構えているほどだ。


A代表は、今2023年9月に国際親善試合でドイツ、トルコと対戦予定。時期的に欧州サッカー連盟(UEFA)加盟国すべてが参加するUEFAネーションズリーグが開催されており、欧州各国と頻繁に親善試合を行うことは難しいなか、このような好カードを組めている。日本サッカーが国際的に一定の評価を受けていることの表れと言えるだろう。




FIFAワールドユース選手権(1999年)の日本代表 写真:Getty Images

今年11月、U-17W杯で成功体験を


今回のU-17アジア杯で優勝した日本、準優勝の韓国、3位となったウズベキスタンとイランは、今年11月にインドネシアで開催されるU-17W杯に出場する。元々ペルーで開催予定だったが、インフラ整備の遅れなどを理由に返上され、インドネシアで開催されることになった同大会。開催国インドネシアを含め24か国が出場し優勝を争う。


前2019年大会ではグループリーグを首位で通過したものの、決勝トーナメント1回戦でメキシコに敗退しているU-17日本代表。日本サッカーの歴史において、女子は各年代のW杯で優勝経験があるのに対し、男子は1999年にナイジェリアで開催されたU-20W杯(当時FIFAワールドユース選手権)で準優勝の経験はあるが、優勝経験はゼロだ。


継続的な努力が一定の成果となりつつある日本サッカー界の成長速度をさらに上げるためにも、明確な成功体験が欲しいところ。育成の手腕に長け、選手との関係性も良好な森山佳郎監督に率いられたU-17日本代表が、今年のU-17W杯で成功例となることを期待したい。そして「優勝トロフィーが持ち上がらない」という森山監督の“小ボケ”を再び見たいものである。

FOOTBALL TRIBE

「U-17」をもっと詳しく

タグ

「U-17」のニュース

「U-17」のニュース

トピックス

x
BIGLOBE
トップへ