東京五輪まで1年。なでしこがW杯での敗戦から学ぶべきこと

7月4日(木)18時17分 Sportiva

 なでしこジャパンがラウンド16で姿を消したFIFA女子ワールドカップは、終盤に差し掛かっている。決勝はアメリカ対オランダで、3位決定戦はイングランド対スウェーデンに決まった。日本が直接戦ったイングランド、オランダもここまで駒を進めてきた。上位進出国にあって、日本に足りなかったものは何だったのだろうか。


三浦成美(左)と杉田妃和(右)の今後の成長に期待

 やはり、ケガ人の多さがチームの戦い方に多大な影響を及ぼしたことは言うまでもない。阪口夢穂(日テレ・ベレーザ)の調整が遅れていることは、高倉麻子監督も百も承知で、それでもチームに不可欠という判断での招集だった。

 しかし、大会前には植木理子(日テレ・ベレーザ)が離脱、岩渕真奈(INAC神戸)は調整が必要になり、小林里歌子、籾木結花(ともに日テレ・ベレーザ)は、徐々に回復をしていったが、好調を取り戻すまでには至らなかった。

 大会期間中には、宇津木瑠美(シアトル・レインFC)、長谷川唯(日テレ・ベレーザ)と、スタメン起用が視野に入っている選手が次々と故障。”誰が出ても戦力が落ちない”チームを目指していたとはいえ、これだけ主力が欠ければ、練習で紅白戦を組むことすらできない。高倉監督は、さまざまなケースを想定していたはずだが、予想をはるかに超える厳しい現状であったことは事実だ。

 そんななか戦った4試合では、勝利につながる決定機も幾度かあった。しかし、それをモノにできたのは唯一勝利したグループステージ第2戦のスコットランド戦のみ。負けが許されないラウンド16でも、オランダを相手に岩渕をはじめ、菅澤優衣香(浦和レッズレディース)、長谷川、籾木結花(日テレ・ベレーザ)、杉田妃和(INAC神戸)と、チャンスはあった。

 それでもその決定機を逃し続けたことで、最終的にはオランダが勝利を引き寄せた。決定力で、世界との差を見せつけられた格好だ。

 世界大会では、簡単にシュートを打たせてもらえない。なでしこリーグで世界レベルを意識せずにゴールを目指していては、この球際の感覚はなかなか養えないだろう。日々の習で、どれだけ海外選手を相手にプレーする感覚を落とし込めるか、そこは選手次第だ。

 また、上位進出をかけたゲームになればなるほど、セットプレーでの得点失点が勝敗を分ける。今回の日本は、セットプレーからの得点はゼロで、兼ねてからの課題ではあるが、克服するまでには至っていない。大会中もかなり力を注いでいたが形にはならなかった。セットプレーの得点が見込めないのは圧倒的に不利で、重要課題がそのまま残ってしまった。

 明るい話題があるとすれば、この苦しい選手層のなかで若手の成長もあったことだ。展開をいち早く読み、試合をコントロールする目が必要なボランチでは、杉田&三浦成美(日テレ・ベレーザ)のふたりが飛躍の可能性を示した。

 経験の少なさが大舞台で響いたことは否めないが、今年に入ってからチャンスを掴んだ杉田は、スピードや間合いに慣れてくると、得意のしなやかなターンや前線へ絡む攻撃参加など”らしさ”が出てきた。今後は、ポジショニングの精度とパススピードの向上が課題だろう。

 小柄な三浦は、そのハンデを的確な判断力と豊富な運動量でカバーしてきたが、今大会でさらにレベルアップしたように感じる。オランダ戦では、ずっと取り組んでいた相手アンカーのケアもイメージどおり。攻撃面でも、機を見て前線まで上がっていくシーンがあった。

「相手はひとりでこちらのマークを剥がすことができる」と世界との差を語った三浦。一瞬でも判断が遅れれば致命傷になってしまうが、この感覚を持っていれば、まだ伸びしろがありそうだ。課題はあるが、この2人ならあと一年でさらに成長してくるはずだ。

 攻撃面では、オランダ戦で同点ゴールを決めた長谷川、闘志全開でゴールを狙い続けた籾木らがアクセントを加えていた。ワンタッチプレーやダイレクトパスが絡んで生まれたチャンスも多く、収穫のひとつと言える。相手にスピードがある分、日本はパス展開で隙を突く形で崩すしかない。

 パスワークを極めるのであれば、パススピードを数段階上げる必要がある。スピードがない弱いパスはすぐに奪われ、次の瞬間にはカウンターを受ける。今大会は、このパターンを嫌というほど目にした。ボールの出所を押さえる守備が効果を見せていただけに、こうした失い方は最低限にとどめたいところだ。

 高倉監督は、「まだ引き出しすら開けていない」とオランダ戦の前に現状を表現していた。その言葉通り、W杯では一度も狙い通りの試合ができずに終わってしまった印象がある。

 実際、日本はオランダ戦を乗り越えれば、そのあとのイタリア、スウェーデンという相手とは十分に戦える算段はあったといえる。ただ、オランダ戦を乗り越えていくことでしか掴めないものもあった。それは”勝負強さ”だ。

 たしかに、なでしこたちにもゴールへの執念、最後に体を投げ出す粘りと闘志があった。しかし、頂に立つにはそのすべてに”世界レベル以上”が求められる。今大会での日本代表には、そこまでに至っていなかったと言わざるを得ない。

 東京五輪まであと1年。この先、なでしこジャパンに求められるのは”強さ”だろう。W杯をただの経験で終わらせてはいけない。勝たなくてはいけないプレッシャーと、ケガが多いなかでの戦いに難しさを認めながらも「日本のサッカーで、世界に挑んでいけるという想いもある」と、指揮官は語った。

 この大会を受けて、高倉監督が今後どのように舵取りをしていくのか——。なでしこジャパンの行く末を左右する判断になることは間違いない。

Sportiva

「なでしこ」をもっと詳しく

「なでしこ」のニュース

トピックス

BIGLOBE
トップへ