ロッテの強さは本物か? レジェンドOBが分析も「予感はまったくなかった」

7月4日(土)11時30分 Sportiva

佐々木朗希の163キロを捕った男の真実。 指が裂けたのはフェイクニュース

 ロッテが開幕から好調を続けている。開幕戦はソフトバンクに敗れたものの、2戦目以降は破竹の8連勝を達成。現在(7月3日終了時点)楽天とともに首位に立つなど、パ・リーグの台風の目になりつつある。ストーブリーグでは福田秀平、美馬学のふたりをFAで獲得するなど、大型補強を敢行。ドラフトでも4球団競合の末に佐々木朗希を引き当て、例年以上に注目を集めているロッテだが、はたして今シーズンの強さは本物なのか──? 球団歴代最多の228セーブを誇り、”幕張の防波堤”の異名をとった小林雅英氏に聞いた。

試合後、ハイタッチをかわす益田直也(写真左)とレアード
—— 今シーズン、ロッテは8連勝して首位に立つなど、好調を続けています。シーズン前に予感はありましたか。
「それがまったくないんです(笑)。大型補強をしたとはいえ、昨シーズンの上位3球団(西武、ソフトバンク、楽天)との差があると考えていたので……」
—— あらためて開幕ダッシュを決めた要因はどこにあるのでしょうか?
「NPBで実績のある(ジェイ・)ジャクソン、(フランク・)ハーマンが加入し、抑えの益田直也と7、8、9回の”勝利の方程式”が確立したことだと思います。今のところ、投げているボールの質もいい。私が投手コーチをしていた2015〜2018年は、なかなかうしろが固定できずに苦しみました。今年はうしろ3枚が安定していることで、チームとしてプランが立てやすくなったことが好循環につながっています」

—— 優勝した2005年も、薮田安彦さん、藤田宗一さん、そして小林さんの”YFK”と呼ばれたリリーフ陣がフル稼働しました。
「今の野球は、セットアッパーとクローザーに好投手を擁するチームが優勝争いをしていますよね。とくに近年はその傾向がより強くなっています。2005年の時は役割分担がしっかりできていたので、登板前の準備がしやすかった。だから、いいパフォーマンスが発揮しやすい。そういう一人ひとりの役割がはっきりしているチームは強いですよ。

 欲をいえば、この3人に左投手がひとりでも絡んでくるとよりいっそう強力になるでしょうね。パ・リーグは左の好打者が多いですから、彼らに対して勝ちゲームのワンポイントで投げてくれるような……。松永(昂大)あたりがその役割をやってくれると、もっと楽になる」
—— 小林さんから見て、クローザーの益田投手はどのように映っていますか。
「チームの中心であるという自覚が出てきたと感じていますね。オフに残留を決めて、今シーズンにかける思いも強い。オリックス戦ではジャクソンがクローザーを務めた試合がありましたが、個人的には抑えは日本人のほうがいいと思っています。将来的なチーム編成を考えても、益田で固定できたら大きい。立場を任されることで選手は成長しますし、益田にはクローザーを任されるだけの能力があるので期待しています」

—— ここまで13試合消化しましたが、接戦でのゲームをしっかり勝ちにつなげています。
「投手陣の頑張りもあり、チーム全体として粘り強さが出てきた。ただ、シーズン序盤にも関わらず、リリーフ陣が登板過多気味なのは気になっています。やはり先発陣が6、7回ぐらいまで投げてくれる試合が増えないと……必ずシーズン途中でバテがきますから。
 とくに今シーズンは6連戦が続き、ビジターチームは調整の難しさとも戦わないといけないので、例年よりも負担は大きくなる。石川(歩)、美馬といった中心となるべき投手がイニング数を稼ぎ、貯金をつくっていけるかで投手の運用も変わってくる。先発陣は若手が多いので、石川、美馬のふたりが成績を残すことで若手投手への負担が軽くなれば、自ずと優勝争いに加わるチームになっていると思います」
—— 種市(篤暉)投手、小島(和哉)投手、岩下(大輝)投手といった若手がローテーション入りしましたが、シーズンを通して計算……という意味では読みにくい部分があるかと思います。
「彼らがシーズンを通してどれだけ投げられるかは、たしかに重要です。若い投手はひとつのきっかけで化けたりするので……。ただ、個人的には二木(康太)がもう一皮むけてくれると先発陣の厚みが出てくると思っています。二木にとっては飛躍の年になるかもしれません。あと今年は西野(勇士)がやってくれると思っていたので、ケガでの離脱(トミー・ジョン手術)は非常に残念です。
 そしてもうひとつ大事なことは、ビハインド時に出てくる投手が試合を壊さないこと。これはリリーフの視点からいうと、非常に難しいことなんです。今の打線なら3、4点のビハインドであればひっくり返す力がありますから、とにかく相手に追加点を取られないことが重要になります。僕らの時は、そのポジションに小宮山(悟)さん、高木(晃次)さんといった先輩方が担ってくれていました。とくにリリーフは年間を通して同じ顔ぶれで回すというのは無理なので、大谷(智久)や内(竜也)といったベテラン勢の奮起に期待したいですね」

—— 好調の理由を野手の点から挙げるならどんな点でしょうか。
「(ブランドン・)レアード、(レオネス・)マーティンの外国人ふたりが結果を残しているのは大きい。一発のある中軸が好調なことで、アジャ(井上晴哉)を下位に置けるようになった。アジャがクリーンアップではなく下位にいる意味は大きいですよ。下位にいる(藤岡)裕大もバッティング面で成長し、どこからでも点が取れる打線になってきた。打線の力という意味では、ソフトバンクや楽天にも負けていないと思います」
—— 大型補強の一方で、涌井秀章選手、鈴木大地選手というチームの顔であったふたりが移籍しました。
「もうひとつ好調の要因を挙げると、ふたりの移籍によりチームが活性化した面もあると考えているんです。というのも、涌井と大地はチームのリーダーであり、その影響力は非常に大きかった。本来であればチームを引っ張っていかなきゃいけない立場の選手が、彼らに甘えていた面もあったと思うんです。少し大げさにいえば、涌井、大地に依存してしまっていた。
 打者でいえば、(藤岡)裕大と(中村)奨吾。投手なら石川と益田ですね。彼らが、涌井と大地がチームを離れたことでリーダーとしての意識が芽生えてきた。そのことによって、チームが生まれ変わりつつあります」

—— 絶対的な存在がいなくなったことで、チーム内の競争も激しくなってきた?
「そう思います。ここ数年、とくに野手はレギュラー陣を脅かす選手が育っていませんでしたが、今年は違う。FAで福田も加入し、安田(尚憲)、藤原(恭大)といった勢いある若手も出てきた。期待されて入団した平沢(大河)も内野陣の争いに加わってほしい。田村(龍弘)にしても、打てる捕手の佐藤(都志也)が加入し、柿沼(友哉)の存在もあり、危機感を感じているだろうし、それが成長にもつながる。
 また、今年は球界の宝になるであろう、佐々木(朗希)が入団したことで例年以上にチームが注目され、キャンプからマスコミも多かった。普段、ロッテのキャンプにあんなに人はいませんから(笑)。ただ、そうやって多くの人から見られるというのはモチベーションになるし、高いレベルの競争力が生まれているのは強いチームの条件でもありますから」
—— 井口(資仁)監督の采配については、どう見られていますか。
「采配というより、就任3年目となって”井口野球”がチームに浸透し、選手それぞれの理解力がついてきたことが好結果につながっていると見ています。1年目は盗塁の意識を持たせ、機動力野球がテーマでした。それは、当時のロッテは盗塁の意識が希薄で、先を見据えて機動力という意識を植えつける必要性を感じていたからです。

 それが2年目に結果として表れるようになって、今は監督がこの場面でなぜサインを出すのか、という”意図”を理解できる選手が増えてきた。もちろん、走ることやエンドランなどでチームを動かすことは手段のひとつで、相手が嫌がる野球をするのが井口イズムなのかなと思いますね」

—— 井口監督は機動力を随所で使い、守りに重点を置いた野球を目指している印象を受けます。
「たしかに、守備面からチームを考えているというのはあると思います。攻撃では、どちらかといえば仕掛けていきたい性格なのかなと。井口監督はあまり一箇所でじっとしていられないタイプで、空港で会ったとしても気がつけば走って先にいっちゃうような人ですから(笑)」
—— まだ気の早いですが、優勝争いをしていくには何が大事だと思いますか。
「疲労具合を考慮したリリーフ陣の起用がポイントになってくると思います。井口監督もその点は十分に理解しているはずなので、リリーフ陣の起用法には注目していきたいです」

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