期限付き移籍先での活躍がめざましい選手5選【J2リーグ2023】

2023年7月6日(木)18時0分 FOOTBALL TRIBE

写真:Getty Images

全22クラブがしのぎを削る2023明治安田生命J2リーグ。約9ヶ月にわたって繰り広げられるシーズンも、7月5日の第24節を終えて折り返し地点を過ぎた。


前年同様、上位2クラブがJ1自動昇格となることに加え、3位から6位間のプレーオフ優勝クラブも入れ替え戦なしで昇格できるレギュレーション。開幕から声出し応援が解禁となったことも相まって、例年以上に白熱した試合の多い前半戦となった印象だ。


そんな熱戦続きのJ2リーグでひときわ輝きを放っていたのが、期限付き移籍で今季加入した選手たちだ。ここでは、2023シーズン前半戦で存在感を見せた期限付き移籍中の選手たちを5名紹介していく。




徳島ヴォルティス FW森海渡(柏レイソル所属時)写真:Getty Images

森海渡(徳島ヴォルティス)


開幕から11戦勝ち無しと、大幅に遅れをとった2023シーズン前半戦の徳島ヴォルティス。しかし、第12節以降は5勝5分3敗と建て直しに成功しており、後半戦に向けて望みをつないだ。そんなチーム復調の立役者となったのが、J1柏レイソルから期限付き移籍中のFW森海渡だ。


開幕戦から試合に絡めてはいたものの、ノーゴールの試合が続いていた森。だが、第12節のジュビロ磐田戦(4月29日)で先制ゴールをマーク。その後この磐田戦を含め、5試合で6ゴールと驚異的な得点力を見せて徳島の危機を救った。5月にはJ2の月間MVPにも選ばれ、徳島にとって必要不可欠な選手となった。


一番の魅力はもちろん高い決定力にあるが、その裏付けになっているのが身長185cmの恵まれた高さとシュート精度、そしてその威力だ。隣にFW柿谷曜一朗がいることもあってか、ものの見事に自身の良さを発揮できている。所属元である柏は、今季J1でワースト2位の得点数に苦しんでおり、今すぐにでも帰ってきてほしい存在だろう。


徳島にとっても、後半戦の追い上げに森は欠かせないピースとなる。一体どこまで得点数を伸ばすことができるのか、そして徳島の順位(現時点18位)をどこまで引き上げられるのか。後半戦も最注目のストライカーだ。




町田ゼルビア FW荒木駿太 写真:Getty Images

荒木駿太(町田ゼルビア)


監督交代、スタッフの大幅入れ替え、新戦力多数と、昨年とは別チームと呼べるほどの大改革を行った町田ゼルビア。2023シーズン前半折り返しのここまでは、J2で首位を走るほどすべてが上手く回っており、思い切った改革は成功したと言える。


なかでも目立つのが最前線で躍動する選手だ。1人はかつて横浜F・マリノスで優勝にも貢献したFWエリキ。もう1人は清水エスパルス(2015-2019)ファジアーノ岡山(2021-2022)に続き、町田でJリーグ3クラブ目となったオーストラリア代表FWミッチェル・デューク。さらにもう1人、得点源として輝きを放つのが、J1サガン鳥栖から期限付き移籍中のFW荒木駿太である。


前線にタレント選手がいることもあり左サイドでの出場も多いが、ここまで5ゴールをマーク。うち3ゴールは途中出場からと、改めて得点力の高さを証明した前半戦となっている。セットプレーをはじめ、ゴール前でのボールへの反応スピードはまさに圧巻。シュート精度も高く、ここまで好調なチームを支える働きを見せている。


荒木の今季の活躍と成長が、鳥栖の将来に大きな影響を及ぼすと言っても過言ではない。もちろん、このまま町田に残る可能性もあるが、いずれにしても厳しい序列争いの中でどこまで結果を残せるか。新体制の町田で開花しつつある点取り屋に引き続き注目だ。


V・ファーレン長崎 GK波多野豪(FC東京所属時)写真:Getty Images

波多野豪(V・ファーレン長崎)


一昨年の2021シーズン、22歳の若さで開幕からFC東京の正GKを任され、31試合でゴールマウスを守ったGK波多野豪。しかし昨2022シーズン、ベガルタ仙台から移籍してきたGKヤクブ・スウォビィクの存在で序列が一変。出場はリーグ戦で1試合のみにとどまる不本意なシーズンを過ごした。


しかし今季、環境を変えるためJ2のV・ファーレン長崎へ期限付き移籍した波多野は、ここまで24試合すべてに出場。安定したパフォーマンスで長崎の前半戦における好調要因の1つとなっている。ハイボール処理やセービング技術の高さに加え、高精度のパントキックも見せるなど、GKとしての総合力の高さを発揮。他J1クラブのベテランGKと同等と言えるほど、頼りになる姿を見せている。


長崎加入はあくまでも期限付きであり、通常であれば満了に伴い復帰する前提だろう。しかし波多野の場合、長崎で結果が残せなければ、FC東京でのスウォビィクからのポジション奪取は叶わない。それだけに、技術面での成長もさることながら、長崎が目標としている「J1昇格」の立役者となる活躍が求められている。




ファジアーノ岡山 FW櫻川ソロモン(ジェフユナイテッド市原・千葉所属時)写真:Getty Images

櫻川ソロモン(ファジアーノ岡山)


同じJ2に属するジェフユナイテッド市原・千葉から、今季期限付きでファジアーノ岡山にやってきたFW櫻川ソロモン。パリ五輪代表候補の1人でもあり、191cm、94kgという屈強なフィジカルが武器の選手だ。


昨2022シーズン、千葉でも36試合と多くの出場機会を得て、7ゴール3アシストと数字を残していた櫻川。10位でフィニッシュした千葉よりもJ1昇格に近かった岡山(3位)では、ここまで22試合に出場し、4ゴール2アシストと前線の主軸として活躍を見せている。


期限付きとはいえ、千葉にとっては大きな戦力を手放してしまったと言えよう。一方の岡山からすれば、同カテゴリー内からの的確な補強で、冬に町田ゼルビアへ移籍した長身のFWミッチェル・デュークの穴埋めに成功したと言える。もちろん、櫻川の持ち味はフィジカルのみではない。足元も非常に柔らかく、収めて落とすだけでなく時間を作れることで、味方の上りを待てる点も大きな強みだ。


現在9位でプレーオフ圏外の岡山だが、まだまだ後半戦で十分に巻き返しは可能だ。そして、その巻き返しには櫻川の活躍と成長が一層不可欠であることも間違いない。




阿部海大(ブラウブリッツ秋田)


開幕直後は6戦負けなしと、昨2022シーズンの順位(12位)を考えれば十分台風の目となり得る成績を残してきたブラウブリッツ秋田。第8節(4月8日)町田ゼルビアとの対決で、ロングスローの流れから見事なボレーで貴重な先制点をマークし、チームに勝利を呼び込んだのがファジアーノ岡山から秋田へ期限付き移籍中のDF阿部海大だった。


現在秋田は得点の少なさから14位と順位は落としてはいるが、阿部を中心とした守備陣は固くここまで27失点。プレーオフ圏内にいる上位クラブと比較しても遜色はない。直近の第24節(7月5日)ヴァンフォーレ甲府戦では5失点と大敗を喫したが、阿部の出場がなかったため、むしろその必要性を再認識させたと言えよう。


そんな阿部の魅力は、選手としての総合力だ。高さ、強さ、スピードを併せ持ち、J2の強力なFW陣を相手にしても安定感抜群の対応力で抑え込む姿を見せている。得点が少なくとも失点を許さなければ勝ち点を積み上げるのは可能。クラブ史上最高順位となった昨季を上回るべく、阿部の守備力がますます不可欠となるだろう。

FOOTBALL TRIBE

「移籍」をもっと詳しく

「移籍」のニュース

「移籍」のニュース

トピックス

x
BIGLOBE
トップへ