一口馬主 儲けたいと考えての出資ならやめたほうがいい

7月7日(日)16時0分 NEWSポストセブン

500人の会員のよって支えられているアーモンドアイの口取りは壮観(2018年JC)

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 6月23日(日)に行なわれた宝塚記念を勝ったのはまたしてもクラブ法人馬主(一口馬主)のリスグラシューだった。1口7万5000円で400口。総額3000万円の馬がすでに7億円近くも稼いでいる。競馬歴40年のライター・東田和美氏が、「一口馬主は儲かるのですか?」という、よく訊かれる質問への答えを考えた。


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 一口馬主を続けていてよく訊かれるのは「儲かるのですか?」。


 たしかにリスグラシューのような馬だけに出資していれば、維持費や税金を差し引いてもかなりの配当を手にすることができる。毎年のようにGI馬に出資しているという会員もいないわけではない。


 しかし、それ以上に「儲からないなあ」と頭をかいている会員が多いはず。そして「それでもやめられない」という会員も同じぐらいいる。


 1歳春に実際に馬体を見て出資を決め、その後は成長や馴致・調教の過程を逐一チェック、時には牧場に会いに行くこともある。2歳春になって馬名が決まり、トレセンに入厩してゲート試験に合格してデビュー戦を迎える。函館・札幌だろうが、小倉だろうが、何を差し置いても応援に出かけ、運良く勝てば、大観衆の前で愛馬や騎手とウィナーズサークルで記念の口取り写真撮影。一口馬主の口取り参加は、ある時期行なわれていなかったが、平成16(2004)年から人数などの条件付きで許可されるようになった。


 みな馬券も的中しているはずで、同じ馬に出資する者同士が喜びを分かち合う一時は、なんともいえない幸福な時間となる。しばらくたつと口数に応じて賞金の入金があり、馬は昇級して次のステージへ。最終的に目指すのはGI勝利……この楽しみは何物にも代えがたいが、そもそも「勝つ」ことは容易ではない。


 たとえば一口クラブ獲得賞金ナンバーワンのサンデーサラブレッドクラブには昨年282頭の馬が所属。骨折などで長期休養している馬もいるため、実際に出走したのは261頭で計1002回。単純に計算しても1頭あたり4回も走っていないことになる。152勝はダントツだが、実頭数は110頭で総頭数の4割ほど。強い馬は2勝も3勝もするが、年間1つも勝てない馬の方が多いのが現実だ。


 馬の募集価格はさまざまだが、いい(と思える)馬を買おうと思えば、それ相応に高くなる。総額5000万円以上となると、勝ち上がってGⅢを1つ勝ったぐらいでは元が取れない。


 一口馬主というシステムは「金融商品取引法」の規制下にある金融商品。元本の保証がないことはきっちり明記されている。大枚出資したものの、ケガや気性難のために一度もレースに出ることなく引退なんてことも、珍しいことではない。首尾よく勝ち星を重ねても、クラシックを目前にして骨折したり、屈腱炎で引退したりすることも覚悟していなければならない。出走するときは愛馬がらみの馬券も買うだろうが、複勝率でさえ4割に届かないので、赤字になることが多いし、競馬場へ行く交通費もバカにならない。ましてや一口馬主には個人馬主のような「ステイタス」もない。


 そんなことで、冒頭のような質問を受けたときは「“儲けたい”と考えて出資しようとするのなら、やらないほうがいい」と答えている。


●ひがしだ・かずみ/今年還暦。伝説の競馬雑誌「プーサン」などで数々のレポートを発表していた競馬歴40年、一口馬主歴30年、地方馬主歴20年のライター


※週刊ポスト2019年7月12日号

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