WTCRポルトガル:ホンダのモンテイロが怪我から復帰後初優勝「最後の1周半は感情が揺さぶられた」

2019年7月8日(月)15時21分 AUTOSPORT web

 2019年のWTCR世界ツーリングカー・カップは7月5〜7日、ポルトガルのビジャ・レアルで第6大会が行われ、レース3でティアゴ・モンテイロ(ホンダ・シビック・タイプR TCR)が怪我から復帰後初となるシリーズ初優勝を母国ラウンドで飾った。レース1はノルベルト・ミケリス(ヒュンダイi30 N TCR)が、レース2はマイケル・アスコナ(セアト・クプラTCR)が制している。


 ビジャ・レアルの市街地サーキットを舞台に争われたWTCR第6大会。このコースでは、途中にあるラウンドアバウトに遠回りセクション“ジョーカーラップ”が設定され、各ドライバーにはレース中1度の通過義務が課されている。

ビジャ・レアルの市街地サーキットには遠回りセクション“ジョーカーラップ”が設けられた。写真右側、青いラインが引かれたルートがそれだ


 大会前の7月4日にはTCRを統括するWSCグループから最新のBoP(バランス・オブ・パフォーマンス/性能調整)テーブルが発表され、Lynk&Co 03 TCRの最低重量が1305kgとなったほか、シビック・タイプR TCRとi30 N TCRが1285kg、アルファロメオ・ジュリエッタTCRが1225kg、オペル・アストラTCRが1245kgとなった。


■レース1はヒュンダイのミケリスが独走


 現地6日の午前に行われたレース1予選では、ミケリスが従来のコースレコードを0.4秒ほど上回る1分59秒498でポールポジションを奪うと、2番手にアウグスト・ファーフス(ヒュンダイi30 N TCR)が続き、ヒュンダイ勢がフロントロウを独占する。

レース1はポールスタートのノルベルト・ミケリス(ヒュンダイi30 N TCR)が独走


 同日の現地15時15分にスタートした11周の決勝では、ポールスタートのミケリスが一度もトップを譲らない完璧なレース運びでポール・トゥ・ウィンを達成。


 シリーズチャンピオンを争うエステバン・グエリエリ(ホンダ・シビック・タイプR TCR)がエンジントラブルで24位と低迷したこともあり、ミケリスはランキングでの得点差を15ポイントまで縮めてみせた。


■セアト操るアスコナ、レース2でWTCR初優勝


 翌7日には、午前中にノックアウト方式の予選、午後に11周のレース2、13周のレース3が行われた。


 先に行われた予選ではKCMGのシビック・タイプR TCRをドライブするアッティラ・タッシが、前日塗り替えられたレコードタイムをQ2で更新したほか、Q1〜3の全セッションで最速となるなど圧倒的な速さでポールを奪った。リバースグリッドとなるレース2ではマ・キンファ(アルファロメオ・ジュリエッタTCR)がポールにつけた。


 そのレース2では7周目までキンファがレースをリードしたものの、ジョーカーラップ通過時、ライン取りに失敗。大きくタイムロスした間に2番手につけていたアスコナにトップを奪われてしまう。


 これで首位に浮上したアスコナは、最終的に4.832秒までリードを広げてトップチェッカー、自身と所属するPWRレーシングにとっての初優勝を掴み取った。


 また、このレース2ではランキング2位のミケリスが接触からリタイアしたため、3位表彰台に食い込んだグエリエリが31ポイントまでリードを広げている。

レース2で初優勝したPWRレーシングのマイケル・アスコナ(セアト・クプラTCR)


■モンテイロ、母国ポルトガルで怪我から復帰後初優勝


 迎えた最終レース3では、ポールシッターのタッシ、フロントロウのモンテイロを先頭に1コーナーをクリアしていくが、その後方でニッキー・キャッツバーグ(ヒュンダイi30 N TCR)とグエリエリが接触。キャッツバーグ車を回収するためセーフティカーが出動した。


 レースは3周目から再開されると、今度はトップを走るタッシのペースが上がらず。モンテイロ、イバン・ミューラー(Lynk & Co 03 TCR)に相次いで交わされてしまった。その後、タッシは11番手まで後退した後、リタイアしている。

ティアゴ・モンテイロ(ホンダ・シビック・タイプR TCR)


 これで首位に浮上したモンテイロは、2番手ミューラーを寄せ付けずにトップチェッカー。およそ2年前、WTCC世界ツーリングカー選手権時代に起こした大クラッシュからの復帰後、初めてとなる勝利を母国ポルトガルで掴んでみせた。


「今回ばかりは集中力を維持するのが大変だった」とモンテイロ。

大勢のファンが見守るまで優勝したティアゴ・モンテイロ(ホンダ・シビック・タイプR TCR)


「いつもは残り数コーナーになるまで(勝利を)意識しないけど、今回は残り2周くらいから意識し始めた。『本当に勝てるんだろうか?』とね」


「そして一度集中力が弱まると、コースサイドでファンが振っている旗や立ち上がっている姿が目に映るようになってきた。眼の前のコースに集中しなくてはいけないのにね」


「チームメイトがメカニカルトラブルでリタイアしていたから、なおのこと集中するのが難しかった。僕も最初の2周はマシンに違和感を感じていたんだ」


「いろいろなことが頭をよぎったけど、とにかく自分の仕事をこなした。それでも最後の1周半は感情が揺さぶられる状況だったことは確かだよ」


 2位はミューラー、3位はミューラーの甥であるヤン・エルラシェール(Lynk & Co 03 TCR)が獲得。ミューラーは「甥と表彰台に上がったこともうれしいが、今回の勝利は土曜日の夜に亡くなったチームメカニックへ捧げたい」と述べた。チームのメカニックは現地6日夕方に体調を崩して病院へ搬送されたが、治療の甲斐なく亡くなった。


「(土曜の)深夜、僕たちは日曜日のレースに出場するかどうかもわからなかったが、亡くなったメカニックの家族がレースを戦ってほしいと言ってくれた。そして僕たちは表彰台を手にできたんだ」


「今回の勝利は彼に捧げたい」


 ポイントランキングではレース3でリタイアしたグエリエリが231ポイントで首位を維持。2位にはレース3で9位に入ったミケリスが207ポイントで続いている。


 2019年のWTCRは、このポルトガルラウンドを終えてサマーブレイクに突入。第7大会は9月13〜15日に中国・寧波で行われる。その後に控える第8大会は10月25〜27日に鈴鹿サーキットで行われる日本ラウンドだ。







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