エスプレッソは外せない!? 欧州MotoGPの豪華絢爛なパドック事情。ドイツGPには“Eパドック”も初登場
2019年7月9日(火)12時0分 AUTOSPORT web
MotoGPのパドックに配されるチームトラックとホスピタリティは、ヨーロッパラウンドならではのもの。ヨーロッパラウンドのパドックには、日本GPを含むフライアウェイラウンドとは、また違ったきらびやかさがある。今回は、第9戦ドイツGPのパドックの様子を現地直送でお伝えしよう。
ドイツGPが行われるザクセンリンクは、MotoGP開催サーキットのなかでも特にコンパクトなサーキット。サーキットの全長が3.7kmという短さもさることながら、パドックも広くはないのだそうだ。
こうした事情もあって、パドックはふたつに分かれており、ピットに直結しているのがパドック1。メインストレートを挟んでコースのアウト側に位置しているのがパドック2である。ピットに直結しているエリアはMotoGPクラスと、Moto2クラスやMoto3クラスの有力チームのチームトラックや、ミシュランなどのホスピタリティが並ぶ。
チームトラックがずらりと並んだパドック1の道幅は、広くはない。大型のトラックを停めることを考えれば、狭いくらいだ。よって、水曜日の搬入時には出入りの順番も配置によってきっちり決まっているし、配置が決まったらトラックの運転席部分は外されて別の場所に駐車される。ぴったりとそろっているこのトラックの先頭部分は、ズレの修正を指示する人がいるそうだ。トラックが整然と並ぶ感じはなんとも言えずに格好いい。
ドイツGPでは、木曜日からバレンティーノ・ロッシ(モンスターエナジー・ヤマハMotoGP)の出待ちファンがヤマハのチームトラック周辺に集まっていた。2019年シーズン、ここまで苦戦が続くロッシだが、その人気の高さはドイツでも健在だ。観客席やサーキット内を歩く観客の様子を見ても、ロッシのTシャツやキャップを着用しているお客さんが多かったように思う。次点でマルケスだが、割合としては圧倒的にロッシの方が多かった。ロッシはドイツでかなりの人気を誇っているらしい。
パドック2はパドック1に比べて広め。こちらにはパドック1に入りきらなかったチームトラックとピット、各チームのホスピタリティがある。ホスピタリティは各チームのライダーやクルー、監督などが食事をとったり、ゲストをもてなすときにも使われる。ホンダの場合、食事は1日2食。ランチとディナーが用意されるということだった。一方、ドゥカティのゲスト用ホスピタリティでは朝食が提供されていた。
■ドイツGPには電動バイクレースMotoE専用の『Eパドック』が出現
ザクセンリンクのサーキット周辺は飲食店などがなく、また、時間が遅くなるとレストランがあっても閉まってしまう。そのため、チームクルーのみならず、関係各者にとって、こうしたホスピタリティの食事は重宝されているそうだ。ちなみに、各チーム、ホスピタリティやチームトラック内のリラックスできるような部屋には、必ずエスプレッソマシンが置いてある。コーヒーといえばエスプレッソ、なのだとか。エスプレッソはMotoGPパドックのなかで欠かせないもののひとつ……なのかも?
そして、ドイツGPから登場したのがFIM Enel MotoE World Cup(FIMエネルMotoEワールドカップ)のマシンだけが集結するパドック、Eパドック。18台のMotoEワンメイクマシン、エネルジカ・エゴ・コルセと、予備のマシン5台がこのピットに集結している。Eパドックに隣接するのは、MotoEのトークショーエリア。少し離れて充電エリアがある。
ちなみに2019年ドイツGPの観客動員数は、公式発表によれば3日間で約20万人。過去最高の観客動員数を記録した2018年MotoGP日本GPが約9万6000人ということで、約2倍の観客がザクセンリンクに集まったことになる。ヨーロッパは国が陸続きだからか、観客がドイツ人ばかりではなかった点も興味深い。
MotoGPドイツGPのパドックは、歩くだけでも世界最高峰の二輪ロードレースやヨーロッパの雰囲気を感じることができる場所だった。ヨーロッパでMotoGPを観戦する際は、レースはもちろんのこと、このパドックも一見の価値あり、だ。