予選トップ3を狙ったハミルトン&ラッセルが相次いでクラッシュ。メルセデスは修復に懸念も、ミスを責めず/F1第11戦

2022年7月9日(土)16時31分 AUTOSPORT web

 2022年F1オーストリアGPの金曜予選で、メルセデスのルイス・ハミルトンは9番手、ジョージ・ラッセルは4番手を獲得した。ハミルトンは、Q3での最初のタイヤセットで走行中、本格的なタイムを出す前に、ターン7入口で体勢を崩し、コースオフしてバリアにクラッシュした。セッションは赤旗中断となり、ハミルトンは幸い身体的に問題なかったものの、それ以降は走れず、トップ10中、最下位となった。その後、予選4番手タイムを出したセルジオ・ペレス(レッドブル)のタイム抹消により、ハミルトンの順位は9番手に繰り上がった。


 ハミルトンが赤旗を出した時点で、ラッセルは5番手。セッション再開後にタイム更新を狙うが、ターン9出口の縁石に乗った後、ターン10入口でリヤのコントロールを失い、コースオフし、バリアに衝突した。ラッセルも怪我はないものの、その時点で予選を終えることとなった。しかし5番手のポジションは守り切り、ペレスのタイム抹消によって4番手に昇格されている。なお、ラッセルはクラッシュで赤旗を出した後、マーシャルからの許可なくコースを歩いて横断し、ピットレーンに向かったことで、スチュワードから警告を受けた。

2022年F1第11戦オーストリアGP ジョージ・ラッセル(メルセデス)が金曜予選でクラッシュ

 トラックサイド・エンジニアリング・ディレクターのアンドリュー・ショブリンは、2台のクラッシュの影響について、次のようにコメントしている。


「2台を明日の(スプリントの)グリッドにつかせるために、必死になって働く必要がある。まだ(ダメージの)範囲がどれぐらいか評価を行っているところだが、2台の事故は、いくつかの同じコンポーネントへのダメージをもたらしているため、スペアパーツの面で極めて難しい状況だ。2台を走らせるためにできる限りのことをする。この困難な状況のなかで良い要素があるとすれば、それはスプリントにより、メインレースへのグリッドを上げるチャンスを得られることだ。それを目標に作業に取り組んでいく」


 チーム代表トト・ウォルフは、クラッシュしたふたりのドライバーをかばう発言をしている。


「クラッシュして予選を終えることになったからといって、ふたりは自分を責めるべきではない。我々は、10戦にわたって彼らにふさわしいマシンを与えていなかった。だが今は、状況を整理し始めて、上位で走ることができるようになってきた。そんなときには、(プッシュして)マシンのコントロールを失うという出来事は起こり得ることだ。私にとっては、マシンにトップ4に入れる速さがないよりは、マシンが速くてこういう予選になった方がいい」

2022年F1第11戦オーストリアGP ジョージ・ラッセル(メルセデス)が金曜予選でクラッシュ

■ルイス・ハミルトン(メルセデス-AMG・ペトロナス・フォーミュラワン・チーム)
FP1 5番手(1分06秒909:ソフトタイヤ/31周)
予選 9番手(Q1=5番手1分06秒079:ソフトタイヤ/Q2=3番手1分05秒475:ソフトタイヤ/:Q3=9番手(セルジオ・ペレスのタイム抹消前は10番手)1分13秒151:ソフトタイヤ)


 自分自身にものすごくがっかりしているし、チームには本当に申し訳なく思う。マシンを仕上げるために全員が懸命に作業に取り組んでくれたのに、そのマシンを壊れた状態で戻すなんてことは嫌に決まっている。


 今は何が起きたのかに対する答えはない。ターン7でバックエンドを失い、ああなった。それでもマシンのパフォーマンスを見て、勇気づけられたよ。トップ3をかけて戦っていたんだ。これほど上位に近づけるとは思っていなかった。それはチームにとってかなりポジティブなことだ。


 かなり後方からのスタートとなり、そこから何ができるかは分からない。明日はスプリントがあって、日曜にはレースがある。今日タイムを失った分を、明日取り戻したいと思っている。

2022年F1第11戦オーストリアGP ルイス・ハミルトン(メルセデス)


■ジョージ・ラッセル(メルセデス-AMG・ペトロナス・フォーミュラワン・チーム)
FP1 3番手(1分06秒702:ソフトタイヤ/32周)
予選 4番手(Q1=7番手1分06秒235:ソフトタイヤ/Q2=5番手1分05秒697:ソフトタイヤ/:Q3=4番手(セルジオ・ペレスのタイム抹消前は5番手)1分05秒431:ソフトタイヤ)

2022年F1第11戦オーストリアGP ジョージ・ラッセル(メルセデス)

 純粋にペースだけを見れば今年最高の予選セッションだったと思う。でも結果は最悪だ。レースの世界では時にこういったことが起こり得る。予選では4番手タイムを出すことが可能だったと思う。(最後のラップでは)コンマ1秒縮めており、3番手のチャンスもあると考えて全力で狙いに行った。


 身体は大丈夫。でも、マシンが心配だ。修復できるといいんだけどね。パフォーマンスに関してはポジティブな兆候がある。マシンにいくつかのものを持ち込んでおり、自分たちに有利に働くようなルールの解釈もいくつかあったと思う。


 ルイスは信じられない走りをしていた。今日はまさに飛ぶように走っていたよ。僕の方は、予選に向けてのセットアップの方向性を少し間違ったかもしれない。でもそれがレースで良い効果をみせることに期待している。通常、僕らはシングルラップよりレースペースの方が優れているから、明日、今日の分を取り戻せるといいね。


(予選後の会見で語り)クラッシュのダメージをチェックする必要がある。ああいうミスにはラッキーな要素などはない。チームとガレージで作業してくれる皆に申し訳なく思う。



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