光明が見えた牧野と未だ戦えぬ福住。一方でマシンの信頼性に不満噴出/FIA F2イギリス

2018年7月10日(火)15時16分 AUTOSPORT web

 2018年のFIA F2はF1と同様に3連戦でレッドブルリンクからシルバーストンへと移動し、ここでシーズンの折り返し地点を過ぎた。


 参戦する日本人ドライバー2人は依然として厳しい戦いを強いられているが、ロシアンタイムの牧野任祐はシルバーストンで光明を掴んだ。


 予選ではダウンシフトがスムーズにできなくなるトラブルで「ほぼ全てのコーナーをオーバーシュートしながらアタックした」ため1.504秒遅れの18位。しかし土曜のレース1ではほぼ全車がオプションタイヤ(ソフト)でスタートする中でプライム(ハード)を選び、前走車たちが早々にピットインしたところで前が開けると、好ペースで首位走行を続けた。


 今年がピレリタイヤ初体験とあって、これまでレースでのタイヤマネージメントが課題だった牧野だが、このシルバーストンでは明らかに成長が見られたのだ。


「クリーンエアで自分のペースで走れる状況だったということもあったと思いますけど、今回は良かったですね。でも特別(ドライビングやセットアップで)何かを変えたわけでもないんですが……」


 レース中のVSCでは走行位置とLEDパネルのタイミングが悪く、稼ぎすぎた分を戻そうとして4秒ほどのギャップを失ってしまった。2回目のVSCでは稼ぎすぎと判断され5秒加算ペナルティを科され、9位フィニッシュだったが12位に降格となってしまった。


「上手くいっていれば(8位以内で)リバースグリッド獲得もあったと思います。1回目のVSCで3〜4秒失っていて、争っていたマキシミリアン・ギュンターが8位フィニッシュですからね」

牧野任祐(ロシアンタイム)


 日曜のレース2では中団の混戦の中でなかなか本来のペースで走ることができなかったが、前がクリアになってからのペースは良かった。もし上位グリッドからスタートできていれば、ペースの遅い中団勢に付き合わされることなく良いレースができそうな手応えが見えてきたのだ。


「あまりペースが良くない集団に付き合わされて、こっちはダウンフォースも抜けてタイヤを傷めてしまうし。今週末はそういうのに付き合わされていたところはかなりありました」


「昨日も上手く戦えていればリバースグリッドが獲れたと思いますし、今日も普通に1人で走っていればペースは良かったと思うので、レースペースに関しては良くなってきたかなという手応えはあります。予選で前の方に行けるようになればレース展開はガラッと変わってくるかもしれません」


「今シーズンの中でレースペースは一番良かったと思うので、そういうポジティブなところもあったし、確実に良くなってきていますね」


 一方で、福住仁嶺は低迷している今シーズンの中でもワーストという週末になってしまった。


 金曜の走り始めからマシンに違和感があり、それを拭い切れないまま走った予選はトップから2.092秒も離されて最下位の19位。GP3やスーパーフォーミュラで上位で戦える実績を残している福住がワンメイクでこれほどに差を付けられるとは考えにくく、チーム内でもさすがに「モノコックか何かが根本的におかしいんじゃないか」という声が出始めているという。


 土曜のレース1でもフィーリングが掴みきれないままもがいていたというが、最後は電気系のトラブルで突然電源がシャットダウンしリタイアとなった。


「フリー走行の走り始めからクルマのフィーリングが僕が思っているのと全然違っていて、クルマのバランスがレッドブルリンクの時とは全然違ったんです。それが今日のレースでも変わっていませんでした」


「僕のあまり好きじゃないフィーリングだったので最初は戸惑っていて、ピットインしてタイヤをプライムに換えてから自分なりにプッシュしていましたけど、やっぱり明らかにクルマに何か足りない部分が響いていてレースペースも厳しいなと思っていたところで電気系のトラブルが出て、突然全てオフになってしまったんです」


 そして最後尾グリッドから臨んだ日曜のレース2では、グリッドに向かうラップで冷却系に異常が出てしまい、グリッド上でメカニックが修復を試みたがスタートはできなかった。後で確認したところ、飛び石でラジエターに穴が空いていたという。

ラジエターに穴があいた福住のマシン


「今週はマトモにレースができていないし、すごくフラストレーションが溜まる。僕もこんなふうにシーズンを棒に振るのは嫌だし、キャリアの中で重要な1年を終わらせたくないです」


 アーデンはDAMSからさらに新たにデータエンジニアを引き抜くなど体制強化を進めているが、エンジニアやメカニックの技量やチーム運営まで含めて客観的に見ると、もう何年もF2やGP3で低迷している理由が分かる。


 それに加えてFIA F2のパドックで不満が噴出しているのが、エンジンとクラッチの問題だ。


 クラッチの不安定な動作のためスタートでストールするクルマが続出し、チーム側からのクレームを受けるかたちでFIA F2オーガナイザーはクラッチ改良に向けて技術調査を開始。ひとまずレッドブルリンクとシルバーストンではセーフティカー先導からのローリングスタートとすることでストール対策とした。


 エンジンに関しても明らかにパワーの差があると不満が出ている。GP2開始当初もそうだったが、新仕様のエンジンで多少のバラツキがあるにしても、その差が大きすぎるというものだ。


 もちろんメカクロームはベンチテストでその性能差を把握しているはずで、建前上はリビルドされたエンジンがプールされそこからランダムに各マシンに割り振られることになっているが、何度交換してもFIA F2オーガナイザーの一押しであったジョージ・ラッセルやランド・ノリスのエンジンが明らかに速いとなると疑惑の声も強まってくる。


「とにかく抜けないです。コースレイアウト的に基本的に抜きにくいコースだというのもありますけど、何回かチャンスはあってDRSを使って横に並ぶんですけど、ならんでもそこからもうひと伸びがないんで、そこから先がないんです」


「レース後の映像を見ると、ジョージ(・ラッセル)とか(ランド・)ノリスみたいにバンバン抜いて行っている一部の人たちのエンジンは明らかに速いですね。なんであんな抜き方ができるのか、僕らのエンジンでは理解できませんから」(牧野)


「予選では(マキシミリアン・)ギュンターと全く同じ空力セットアップにしても彼に比べてエンジンだけで0.7〜0.8秒くらい失っているんです。同じカテゴリーで戦っているという感じがしません」(福住)

「同じカテゴリーで戦っているという感じがしない」と語る福住


 F2オーガナイザーは次のハンガロリンクまでの2週間で各マシンのエンジンをベンチにかけて性能測定を行ない公平化を図るというが、すでにシーズンは半分が終わってしまっている。


 果たして次のハンガロリンクでエンジンパワーが公平になるのか? それによって勢力図が変わるのか? ある意味ではFIA F2自体の存在意義とそこに関わる人々のモラルと能力が問われるターニングポイントになりそうだ。


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