今季は史上最大の”混セ”か 上位4球団が1差となる中、抜け出すのはどこ?「強み」「ウイークポイント」とは
2024年7月10日(水)10時58分 ココカラネクスト

4季ぶりのV奪回を目指す巨人、阿部監督のタクトにも注目が高まる(C)TakamotoTOKUHARA
ペナントレース争い、パ・リーグはソフトバンクが独走しているが、セ・リーグは首位の巨人から1ゲーム差以内で4位のDeNAまで4球団がひしめく超混セの様相となっている。上位4球団の戦いぶりから「強み」「課題」を考察していく。
【動画】値千金の一打!近本がヤクルト守護神の田口からサヨナラ打を放ったシーン
【巨人】
まずこのタイミングで首位に立ったのは巨人だ。7月9日の広島戦では鬼門としていたマツダスタジアムでの戦いに5−3と今季初勝利を飾った。
主砲、岡本和真が1点を追う4回に逆転の15号3ランをマーク。終盤には失点したものの、門脇誠の適時打などダメ押しの得点も加え、首位攻防の初戦を取った。
これで5連勝、セ・リーグ40勝1番乗りと勢いをつけてきた裏には打線が安定してきたことも大きい。
主砲の岡本を固定させないためにも前後を打つ打者の重要性が指摘されていたが、この試合でも3番に入るエリエ・ヘルナンデスが1点を追う4回一死一塁の場面で森下暢仁のカットボールを右前に運びチャンスメイク。一死一、三塁の形を作り、岡本の逆転3ランに結びつけた。ヘルナンデスは8回にもヒットを放ち、その後の岡本の犠飛につなげるなど、しっかり役目を果たしている。この試合では9回に登板した大勢がわずか7球で抑えるなど救援陣の安定運用も目指すV奪回には欠かせないピースとなる。
【広島】
一方、2位転落となった広島はこれで今季3度目の4連敗。救援陣の疲れが目立ち始めた。9日の試合では8回から登板した島内颯太郎が巨人打線につかまった。3−3と同点で登板したが、岡本の犠飛で逆転を許すと、続く門脇誠にも適時打を許すなど、傷口を拡げた。昨年最優秀中継ぎ賞にも輝いた右腕が今季はこれで早くも6敗目、中継ぎ整備が求められている。
【阪神】
9日のヤクルト戦(甲子園)に2−1と2試合連続で逆転サヨナラ勝ちを収め、3連勝をマークと勢いをつけてきた。
0−1で迎えた最終回、相手失策などもあり二死満塁の好機にまわってきたのは近本光司。相手守護神の田口麗斗のスライダーを捉えると右へ運んだ。値千金の一打でヒーローとなった。
6月は9勝12敗1分けとなかなか勝ち星が奪えない中苦しんだチームも、7月に入っては5勝2敗と状態を上げてきた。
一方、指揮官の岡田彰布監督は勝負の夏を見据え、着々と手を打っている。打撃不振が目立っていた森下翔太を二軍で調整させるなど、戦力を整えている。9日の試合も9回一死から野口恭佑、渡辺諒、原口文仁、坂本誠志郎と異例の4連続代打を投入。執念で勝利をもぎ取った。
さらに上位を目指すための課題はやはり打線か。昨年日本一の象徴となった1番・近本、2番・中野拓夢の1、2番打者がいかにチャンスメイクできるか、中軸を打つ大山悠輔、佐藤輝明の一発も大きな要素となりそうだ。
【DeNA】
阪神と同じく9日の試合で劇的なサヨナラ勝利を収めたのが4位のDeNAだった。延長11回二死の場面、打席に入ったタイラー・オースティンはフェリスの内角150キロ直球を捉えて、バックスクリーン右に飛び込む確信の10号サヨナラアーチ。首位巨人と1ゲーム差に迫る値千金のホームランとなった。
ここから勝ち上がっていくためにはまずチームの持ち味である強打が注目される。投高打低のシーズンとなっている今季、リーグで唯一チーム打率が2割5分超えの「.251」をマーク(9日現在)。クリーンアップにオースティン、牧秀悟、宮崎敏郎といずれも1発がある強力打線。ほかにも佐野恵太、「打てる捕手」の山本祐大と相手投手からしたら何とも嫌なラインアップとなっている。
ただここから98年以来の悲願の優勝を目指すためには、ミスを減らすことも求められそうだ。7日に行われた阪神戦(甲子園)ではルーキーの度会隆輝の送球がサヨナラ負けにつながったことも話題を呼んだ。1球の重みが勝負を分ける場面も増えるとあって、より細心のプレーが求められる。
近年まれに見る混セということは裏を返せば、どのチームも抜け出せるチャンスがあるということ。6位のヤクルトまで8ゲーム差とあって、各球団のファンにとっては手に汗にぎる、何とも熱い夏となりそうだ。
[文/構成:ココカラネクスト編集部]