W杯まであと1年…なでしこジャパンの現在地と今後の期待 試金石のE-1選手権へ

2022年7月11日(月)16時2分 サッカーキング

6月の欧州遠征、セルビア戦では5-0と圧勝したなでしこジャパン [写真]=Getty Images

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 2021年の東京オリンピック終了後、なでしこジャパンの監督に池田太氏が就任してから、9カ月が経過した。着任後は『奪う』をテーマに掲げてボール奪取とゴールを奪い切ることにフォーカスしながら、2度の欧州遠征とAFC女子アジアカップインド2022で、合計5勝2分2敗の戦績を残している。

 直近の代表活動である6月の欧州遠征2試合を振り返り、キャプテンのDF熊谷紗希(バイエルン)が「自分たちが次に向かう、次につながるチャレンジができたと思う」と話している通り、少しずつチームの上積みは進んでいるようだ。

 なでしこジャパンは、ちょうど1年後の7月に開幕するFIFA女子ワールドカップオーストラリア&ニュージーランド2023に向けて、チームの強化と選手同士のサバイバルが続いている。

 池田監督就任直後の2021年11月の欧州遠征では、アイスランド女子代表(●0−2)とオランダ女子代表(△0−0)と戦い、無得点未勝利で帰国する苦しい船出となったが、2022年1〜2月の女子アジアカップでは攻撃陣が躍動して多くの得点を決めた。優勝候補の筆頭と目されていた、最大のライバルであるオーストラリア女子代表が準々決勝で敗れたため、なでしこジャパンの大会連覇が現実味を帯びてきたところだったが、準決勝の中国女子代表戦(●2−2 PK3-4)で敗退。W杯への出場権は得たものの、今後なでしこジャパンが取り組むべき課題が見えた大会だった。

 池田監督が「時間帯を考えて、しっかりゲームコントロールする部分はもっと磨いていきたい」と女子アジアカップを評したように、試合の『終わらせ方』は、W杯本番までの1年でチームが会得しなければならないことのひとつだ。韓国女子代表戦(△1−1)での85分の失点、中国女子代表戦での延長後半119分の失点は、その甘さが露見した例と言える。

 ただ、6月の欧州遠征2試合では、そこに改善の兆しが見られた。試合終了間際の失点はなく、反対になでしこジャパンがその時間帯に得点を奪い続けて勝負を決めた。今回のEAFF E−1サッカー選手権2022決勝大会では、求められる優勝という結果に加えて、『最後の5分』で失点せず、しっかり勝ち切る力が身についているかが見どころのひとつだろう。

 さらに、当初9月に予定されていたアジア競技大会(中国/杭州)がコロナ禍で延期となったため、今年のチーム強化プランにも少なからず影響が出ている。9月に代替の代表活動は行わない見込みであるため、選手たちにとっては今回のE−1が貴重なアピールの場となる。

 池田監督とともにFIFA U−20女子ワールドカップフランス2018を戦って世界一を経験したFW植木理子(日テレ・東京ヴェルディベレーザ)は、代表での5試合連続得点を継続中で、今大会でその数字を更新できるかに期待がかかる。

 また、新戦力の発掘という意味でも今大会は重要な場となる。例えばWEリーグ後期の10試合で6得点を挙げ、ジェフユナイテッド市原・千葉レディースを4位に押し上げたFW千葉玲海菜は、なでしこジャパン候補合宿に追加招集され、その練習試合でも積極的な動きを見せた。そして6月の欧州遠征でなでしこジャパンデビューと初ゴールを同時に達成して、今のなでしこジャパンに新風を吹かせている。今回のE−1でも、千葉のようにポジション争いを激化させる存在が現れるのか。WEリーグ優秀選手賞を受賞した選手の中にも、魅力的な特長を持った選手は多くいるため、ぜひこの中から新顔の選出を期待したい。

 また、E−1の開催期間はFIFAインターナショナルウィンドウに当てはまらないため、海外組が招集されるかは不透明だが、6月の欧州遠征では、短時間ながら熊谷をボランチで起用するなど、新たなオプションの模索も始めた。E−1ではそのオプションの数を増やすことも目指してほしい。

 女子アジアカップで勝ち切れなかった韓国女子代表、中国女子代表へのリベンジと大会連覇、そしてチームの成熟と選手間のサバイバル。今のなでしこジャパンに課されたタスクをE−1でひとつでも多くクリアし、新生なでしこジャパンの初タイトルで池田監督体制1年目を締めくくってほしい。

文=馬見新拓郎

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