WTCR:eシリーズ第5戦マカオ。マルチクラッシュでグエリエリは涙。アズコナが初優勝

2020年7月14日(火)12時52分 AUTOSPORT web

 終盤戦に突入するWTCR世界ツーリングカー・カップの新eシリーズ『Pre-season Esports WTCR Championship』第5戦マカオ、ギア・サーキットでの1戦が7月12日(日)に争われ、新型クプラ・レオン・コンペティションTCRをドライブするミケル・アズコナ(CUPRA Racing)がレース1でポール・トゥ・ウインを飾りシリーズ初優勝。続くレース2は現WTCR王者ノルベルト・ミケリス(ヒュンダイi30 N TCR/BRC Hyundai N LUKOIL Squadra Corse)が勝利を挙げ、タイトル争いに踏みとどまりたいエステバン・グエリエリ(FK8型ホンダ・シビック・タイプR TCR/ALL-INKL.COM Münnich Motorsport)はマルチクラッシュに沈むなど、最終戦を前に王座獲得は絶望的な展開となった。


 前戦の寧波インターナショナル・スピードパークを経て、世界的名声を誇る“仮想”ストリート・サーキットへと戦いの場を移したバーチャルレースの一行。その予選セッションでは同じく仮想シリーズを開催する『TCR Europe SIM Racing』のイタリア・モンツァ戦でもトップチェッカーを受けたばかりのアズコナが、ここまで2戦連続で最前列を確保してきたCyan Racing Lynk&Coのヤン・エルラシェール(Lynk&Co 03 TCR)を降して、ポールポジションを獲得した。


 12分間6ラップとなった決勝レース1でもアズコナは落ち着いたスタートを決め、フロントロウに並んだエルラシェールをリスボアの攻防で抑え込みホールショットを奪うと、そのまま独走体制へ。2位エルラシェールに2.504秒、3位グエリエリに4.902秒もの差をつけ、まだ現実ではデビュー前の新型クプラ・レオン・コンペティションTCRの世界戦初勝利を手にした。


「現実世界のように“スイート”な結果になったね。オープニングのリスボアを抜けてからは少しギャップができたから、そのあとは快適だったけど、とにかくミスを犯さないよう集中したよ」と、喜びを語ったアズコナ。


「危なかったのはその1コーナーだけで、2周目はフルプッシュしてさらにマージンを稼いだ。この特別に難しいマカオで勝利を手にできて本当にうれしいよ」


 続くレース2はテッド・ビョーク(Lynk&Co 03 TCR/Cyan Performance Lynk&Co)がリバースポールからスタートを切ったが、WTCC世界ツーリングカー選手権“最後の王者”のリードは長く続かず。


 マンダリンからリスボアに向けレイトブレーキングで迫った現WTCRチャンピオンのミケリスが、インサイドから爽快なオーバーテイクに成功。ポジションを下げたビョークの背後には、グエリエリが今にも襲い掛からんとするアクションを見せて迫ってくる。


 するとマウンテンセクションの追走でバリアにタッチしたビョークが姿勢を乱し、Lynk&Co 03 TCRがスピンモードに陥ったのを見たグエリエリは、自身もそれを回避しようとポリス・コーナーのバリアに接触。


 コースを横断して立て直したしたグエリエリに、後続のネストール・ジロラミ(FK8型ホンダ・シビック・タイプR TCR/ALL-INKL.COM Münnich Motorsport)やニールス・ラングフェルド(アウディRS3 LMS/Comtoyou Team Audi Sport)らが突っ込み、マルチクラッシュに発展してしまう。

RaceRoom Racing Experienceを採用した『Pre-season Esports WTCR Championship』も残るは2戦
マカオ・ギアサーキットでのR1をポール・トゥ・ウインで制したミケル・アズコナ


■2戦勝を狙ったアズコナだったが、通信不良で戦線離脱


 ジロラミのマシンに押されなんとか体勢を立て直したグエリエリだったが、続くムーリッシュの右コーナーでアッティラ・タッシ(FK8型ホンダ・シビック・タイプR TCR/ALL-INKL.DE Münnich Motorsport)が追突したのを契機にグエリエリ、ジロラミのALL-INKL勢が道連れに。また、ジロラミはラングフェルドに突っ込みアウディは宙を舞い、ここでグエリエリ、ジロラミの2台はレースを終え、アウディも立ち往生する事態となってしまう。


 この混乱に乗じて大きくポジションを上げたのは10番手発進だったアズコナと11番手のティアゴ・モンテイロ(FK8型ホンダ・シビック・タイプR TCR/ALL-INKL.DE Münnich Motorsport)で、とくにレース1勝者アズコナは2周目に首位攻防のドッグファイトを展開していたミケリス、2番手ビョークの背後3番手にまで躍進する。


 勢いそのままに3周目のメルコ・ヘアピンでLynk&Coのインサイドを狙うも、ここは現実と同じくオーバーテイク・ゾーンとはならず。わずかにイン側バリアにヒットして失速してしまう。


 一方の4番手モンテイロは、5番手ベンス・ボルディズ(クプラ・レオン・コンペティションTCR/Zengő Motorsport)とそれを追走するエルラシェールに責め立てられる展開となるも、なんとか団子状態でポジションを守っていく。


 すると4周目のリスボアでエルラシェールが仕掛け、新鋭ボルディズをパスして5番手へ。さらに後方から迫っていたオーレリアン・コンテ(プジョー308TCR/DG Sport Compétition)もバトルに乗じて新型クプラとのサイド・バイ・サイドに持ち込むと、そのまま山側に入ったサンフランシスコ・ヒルでポジションを入れ替え、6番手に上がってくる。


 その間、ふたたび2番手ビョークに迫ったアズコナだったが、先ほどとは異なりビョークとはテール・トゥ・ノーズでメルコ・ヘアピン突入し、立ち上がろうとしたその瞬間に、ステアリング機構の通信不具合からかアウト側のバリアに直進しストップ。ブラインドになっていた停止車両に後続のモンテイロが突っ込むものの、なんとかインサイドに隙間を見つけてこれを突破。しかし、エルラシェール以下、コンテ、ボルディズらは道を塞がれ、大きくタイムを失ってしまう。


 その後、なんとか機能回復を果たしたアズコナだったが、時すでに遅く3番手走行から9位にまでポジションを下げてフィニッシュ。首位ミケリスが寧波戦に続くシリーズ2勝目をマークし、2位ビョーク、3位モンテイロがともに初表彰台を獲得する結果となった。


 これにより選手権首位エルラシェールのリードは9ポイントに変わり、ミケリス、アズコナ、オモラが続くスタンディングスに。27ポイント差まで離された5位グエリエリはタイトル挑戦が絶望的な状況ながら、7月19日(日)の『Pre-season Esports WTCR Championship』最終戦セパン・インターナショナル・サーキットでの逆転劇に望みを掛ける。

R2はオープニングのリスボアで、現WTCR王者ノルベルト・ミケリス(ヒュンダイi30 N TCR/BRC Hyundai N LUKOIL Squadra Corse)が首位を奪う
バリアにタッチしたテッド・ビョーク(Lynk&Co 03 TCR/Cyan Performance Lynk&Co)のエラーが、すべての引き金となった


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