【英国人の視点】日本とイングランドに共通する課題とは? 手痛い敗戦が教えてくれたこと【ロシアW杯】

7月14日(土)9時0分 フットボールチャンネル

ともに期待を上回る結果も、悔いの残る敗戦に

 イングランド代表は、ロシアワールドカップ準決勝で延長戦の末にクロアチア代表に敗れた。先制点を奪いながら逆転負けを喫する姿は、決勝トーナメント1回戦で敗退を喫した日本代表とも多くの共通点があった。日本で活動するイングランド人記者が両国の課題を指摘する。(文:ショーン・キャロル)

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 日本代表もイングランド代表も、最後に手痛いショックを受ける形でワールドカップを後にした。そのことを別としても、ロシアでのこの数週間の両チームの戦いぶりには多くの共通点が見られた。

 サムライブルーとスリー・ライオンズがそれぞれベスト16と準決勝まで進んだのは期待を上回る結果であったし、どちらも魅力的なサッカーを見せていた場面もあった。大会の後半戦まで勝ち進み、母国のファンを大いに喜ばせることができた。

 だが最終的に両チームに響いたのは、試合の流れをコントロールする力や、プレッシャーを受け続ける状況に対処する力が不十分だったことだ。結果として、もっと違う結果になっていたかもしれないという大きな悔いを残して大会を去ることになった。

 水曜日のモスクワでの試合では、やや緊張の感じられたクロアチアに対し、イングランドは衝撃的なスタートを切った。開始わずか5分でキーラン・トリッピアーが見事なフリーキックを決めて先制し、その後も何度かゴールを脅かした。だがハリー・ケインやジェス・リンガードが決定的なチャンスを逃してしまい、1点差でハーフタイムを迎えたことでクロアチアに勇気を与えてしまった。

 ズラトコ・ダリッチのチームはその勇気を胸に後半に臨み、試合の流れをしっかりと掴んだ。流れるような魅惑的なサッカーを着実に披露し始めた。観る者を楽しませ、止めるのは難しいサッカーだった。

「結局はいつものイングランドだった」

 クロアチアは決勝トーナメント1回戦でも準々決勝でも120分間とPK戦を戦ってきたが、試合が進むにつれて息切れしてきたように見えたのはイングランドの方だった。ガレス・サウスゲートのチームはなかなかボールを保持することも、得点チャンスに繋がる形を生み出すこともできずにいた。

 クロアチアはポゼッション志向の戦いを貫き、ボールを大切にしてスペースを生み出す自分たちの力を信じることで前半の苦しい時間帯を乗り切っていた。一方でイングランドは冷静さを失い、過去の姿に戻ってしまった。

 ボールを必死にクロアチア陣内へと放り込み、ケインがなんとか打開してくれることを期待するばかりだったが、デヤン・ロブレンとドマゴイ・ヴィダにしっかりと抑えられてしまっていた。

 ケインには酷な要求だと感じられた。中盤でボールを持って何かを起こすことができる選手がいないイングランドは、セットプレーに大きく依存する以外の選択肢をほとんど持っていなかった。

「イングランドは変わったというのが全体的な印象だった。前線にボールを放り込む戦い方を変えていた。だがプレスをかければ、結局は変わっていなかった」

 クロアチアのDFシメ・ヴルサリコはそう話していた。

 この日のイングランドに足りなかった部分を的確に言い表している言葉だ。トリッピアーによる先制点は、ロシア大会を通してイングランドが決めた計12ゴールのうち9点目となるセットプレーからの得点だった。流れの中からの3点のうち1点も、準々決勝のスウェーデン戦で2-0としたゴールは、深い位置からのクロスにデル・アリがヘッドで合わせたものだった。

妥当な結果だった逆転劇

 準決勝までの道のりの中でチームが見せてきたプレーの中には、そういうデータに表される以外の部分があったことも確かだ。だが結局のところは、ルジニキ・スタジアムで対戦した相手が持っていたような、ポゼッション時のクオリティーや落ち着きが不足していたという感覚が付きまとう。

 試合終盤になりチームが必死に直接的なプレーを繰り出すようになっていくと、エミール・ヘスキーやピーター・クラウチの投入を期待してしまうかのようだった。

 最終的に、準決勝の120分間を通してイングランドが放つことができた枠内シュートはトリッピアーが決めた1本だけだった(クロアチアは7本)。試合が終盤に入りチームが急ぎすぎるようになると、クロアチアにボールをプレゼントしてしまうばかりだった。

 ルカ・モドリッチとその仲間たちはボールを大事にし、落ち着きをなくしていく一方のイングランド守備陣に穴を開けていった。マリオ・マンジュキッチのゴールがイングランドファンの夢を打ち砕いたのは当然の流れであり、きわめて妥当な結果だった。

 準決勝での敗退というのは、大会を終える上で最も辛い形だと言われることも多い。だが日本の負け方はそれ以上に受け入れがたいものだったと言えるだろう。

 ベルギー戦で大会屈指の好ゲームを演じながら、事実上のラストプレーでやられてしまった。その直前の本田圭佑の見事なフリーキックが決まっていれば、勝負はサムライブルーに軍配が上がっていたはずだった。

フランス、クロアチアから学ぶべきこと

 イングランドと同じく、日本もリードを奪うことに成功していた。後半開始からの信じがたい7分間に原口元気乾貴士が得点し、2-0でリードするというまさかの展開を演じた。

 だがイングランドと同じく、西野朗監督のチームも優位に立ってからの試合の流れをコントロールすることができなかった。相手に反撃の糸口を与えてしまい、不利に傾いた流れを止められなかった。

 トップレベルではそういうわずかな差が勝負を分ける。日曜日の試合で世界王者への戴冠を争う2チームは、試合の潮目を読んで対処できる力があることを、今大会を通して何度も見せてきた。

 クロアチアは決勝トーナメントに入ってからの3試合全てで先制点を奪われているが、そこから勝利を収めるのに必要な力を持っていた。フランスも揺るがない強さを見せてきた。

 決勝トーナメント1回戦ではアルゼンチンの一時的な反撃にも動じず1-2からの逆転勝利。その後のラウンドでもきわめて効率的な戦いぶりでウルグアイとベルギーを容赦なく退けた。

 モスクワでどちらがトロフィーを掲げるとしても、この素晴らしい大会のチャンピオンとしてふさわしいチームだったことは間違いない。日本やイングランドには、今後に向けて彼らの戦いぶりから学ぶべきところがあるだろう。

(文:ショーン・キャロル)

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