F1 Topic:『007』第6代目ジェームズ・ボンド役ダニエル・クレイグも真っ青のレッドブルの辣腕メカニックたち

7月18日(木)7時20分 AUTOSPORT web

 マックス・フェルスタッペンがセバスチャン・ベッテルに追突されて5位に終わったF1第10戦イギリスGPのレース後、レッドブルのクリスチャン・ホーナー代表は「(バルテリ)ボッタスをかわして2位になる可能性が十分あった」と悔しさをにじませていた。


 しかし、イギリスGPでじつはレッドブルは2台そろってDNS(スタートできずにリタイア)の可能性さえあった。


 問題が発覚したのは、スターティンググリッド上のことだった。ホーナーによれば、「メカニックのひとりがリヤウイングの翼端板にクラックが入っているのを発見したんだ」

2019年F1第10戦イギリスGP レッドブル・ホンダの作業風景
2019年F1第10戦イギリスGP レッドブル・ホンダの作業風景


 そこでメカニックは、チーフデザイナーのポール・ モナハンに事情を報告。モナハンはFIAのテクニカルデリゲートであるジョー・バウアーを呼び、安全上の理由から同スペックのスペアの翼端板に交換を申請する。

チーフデザイナーのポール・モナハンが翼端板に交換を申請
チーフデザイナーのポール・モナハンが翼端板に交換を申請


 モナハンはピエール・ガスリー側のメカニックにも翼端板をチェックするよう指示。すると、ガスリーのマシンの翼端板にも問題が発生していることが判明した。

ピエール・ガスリーのマシンも作業を進める
ピエール・ガスリーのマシンも作業を進める




 じつはこのとき、ガスリーのグリッドにゲストとして駆けつけていたのが、007の第6代目ジェームズ・ボンド役を務めているダニエル・クレイグだった。
[caption id="attachment_503398" align="aligncenter" width="660"]ゲストとしてレッドブルのグリッドを訪れたダニエル・クレイグ ゲストとしてレッドブルのグリッドを訪れたダニエル・クレイグ[/caption]


 イギリスGPで、アストンマーティン・レッドブル・レーシング(ホンダ製パワーユニット=PU搭載)が、映画「007」シリーズと提携して、マシンに同シリーズの装いにブランディングされたマシンで出走しようとしていたからだ。


 その現役ジェームズ・ボンドが見守る中、レッドブルのメカニックたちは、映画「007」にも負けない早業で問題を解決していくのである。


 ガレージからメカニックがスペアの翼端板を持って、スタートラインに到着したのは13時58分。

スペアの翼端板をもってスタートラインに到着
スペアの翼端板をもってスタートラインに到着


 幸いレッドブルの2台のグリッドは4番手と5番手だったから、ここからすぐに到着したが、もし最後尾にいたら、それだけで数十秒はロスしていた。

2019年F1第10戦イギリスGP レッドブル・ホンダの作業風景
2019年F1第10戦イギリスGP レッドブル・ホンダの作業風景


 イギリスGPのフォーメーションラップのスタートは14時10分。レギュレーションでその3分前までにタイヤの装着を完了しなければならず、1分前にエンジン始動。そして15秒前までにチームスタッフは全員グリッドから退去完了しなければならない。1秒を争うメカニックたちにとって、イギリスGPの4番手と5番手は不幸中の幸いだった。


 ここからレッドブルのメカニックは信じられない速さで2台のマシンのリヤウイングの翼端板を交換。

フェルスタッペンのリヤウイングの翼端板を交換
フェルスタッペンのリヤウイングの翼端板を交換


 驚いたのはそれどころではない。その一部市場を間近で見ていたフェルスタッペンが動揺する素振りをまったく見せていなかったこと。

冷静沈着なマックス・フェルスタッペン
冷静沈着なマックス・フェルスタッペン


 さらに感心したのは、チーム代表のホーナーとヘルムート・マルコ(レッドブルのモータースポーツアドバイザー)は、メカニックたちの仕事を邪魔しないよう、モナハンから事情の説明を聞く以外は、いっさい口出ししなかったことだ。


レッドブル代表クリスチャン・ホーナーとヘルムート・マルコ
レッドブル代表クリスチャン・ホーナーとヘルムート・マルコ。右がモナハン

 メカニックによる交換作業は、グリッドからチーム関係者以外が退去させられた後も続いた。同じ時間のフェラーリのグリッドを見れば、いかにレッドブルのグリッドに多くのメカニックが集まって、ギリギリまで作業していたかがわかる)。最終的に完了したのは、メカニックがマシンから離れる規定時間のわずか60秒前だった。





 レッドブルのメカニックたちによる早業は、これで終わりではなかった。レースでのピットストップ作業でも魅せた。フェルスタッペンをシャルル・ルクレール(フェラーリ)の前でピットアウトさせると同時に、ガスリーのタイヤ交換は静止時間わずか1.91秒で完了。これはウイリアムズが持っていた世界最速記録の1.92秒を0.01秒上回る世界最速ピットストップとなった。


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