ユーロフォーミュラ・オープン:佐藤万璃音、2戦連続ポール・トゥ・ウィン。次大会で王座獲得の可能性も

2019年7月19日(金)19時56分 AUTOSPORT web

 オーストリア・レッドブルリンクで2019年7月12〜14日、ユーロフォーミュラ・オープン(EFO)の第6大会が7チーム/14台の参加により実施され、佐藤万璃音(モトパーク)は2レースとも優勝した。ホンダ育成でレッドブル・ジュニアの角田裕毅(モトパーク)とホンダ育成の名取鉄平(カーリン)は、シルバーストンのFIA-F3第4大会へ出場するためEFO第6大会は欠場している。


 12日の練習走行、1回目こそ3番手ながら2回目はトップタイムを記録して佐藤は上々の滑り出しだった。もっとも、「各ドライバーが持ち越しで履いた中古タイヤの状態がバラバラなので、明日にならないと本当のところは分からない。明日、新品タイヤを履いて本当のところが分かる。とはいえ、クルマは走り始めからけっこう決まっていたし、乗りにくいところもなかった。チームメイトのユリアン(ハンゼス)も悪くないので、まあまあ」とドライバーズランキングトップの佐藤は慎重な言葉を口にした。


 しかし13日の予選1回目、新品タイヤ1セット目で7番手のタイムしか記録できない事態にチームも唖然(あぜん)。新品タイヤ2セット目を投入してアタックを試みるも、叩き出した好タイムはそのたびにトラック・リミット違反を問われて次々に抹消されてしまった。それでも残り4分を切った時点で1分23秒977、翌周には1分23秒964を叩き出し、佐藤は今季5回目のポールポジション獲得を決めた。


「クルマの調子は良かった。ただ、1セット目の新品タイヤを傷めてしまい、ブレーキングでけっこうミスが多く、思うようなタイムが出せなかった。2セット目の新品タイヤではタイムを出せているのに、チームからは“持ちタイムが無い”と無線で知らされて少し焦った。トラック・リミット違反で自己ベストタイム抹消とは分かっていたけれど、どれも露骨にはみ出した覚えはなかった。タイヤのタレは無かったので5周、6周ずっとプッシュし続けてようやくまとめられた」と佐藤。


 同日の決勝レース1、2番グリッドの同僚ハンゼスがレッドシグナル消灯前に発進してしまうアクシデント。もちろんジャンプ・スタートだった。これで佐藤は一時的に2番手を走行。事故処理のためのセーフティーカー(SC)導入を挟み、ドライブスルー・ペナルティ消化のため5周終了時点でハンゼスがピットインして、ようやくポールシッターは定位置の先頭へ戻った。


 ただし簡単に勝利を手にしたわけでもなく、レース中盤にはジャック・ドゥーハン(ダブルアール)にコンマ7秒差にまで接近される場面もあった。そこから佐藤はムチを入れ直して、ファステストラップもしっかりと手にして真っ先にチェッカーフラッグを受けた。

レース1を戦う佐藤万璃音(モトパーク)


「あれはユリアンのジャンプ・スタートとは思ったけれど、“僕が寝ていたのか? 彼がメチャメチャ良いスタートだったのか? 彼のジャンプ・スタートだったのか?”とエンジニアには無線でいちおう確認した。レース序盤は酷いアンダーステアでどうにもならなかった」と佐藤。


「ユリアンが前から居なくなって自分のクルマにちゃんと風が当たっている状態でも、酷いアンダーステアでけっこう焦っていた。それでもだんだんマシになってきて、途中からは普通に走れました」


「でも、後ろからジャック(ドゥーハン)が追いついてきて、これはやばいと思って頑張り始めた。正直、あれほど詰めてくるとは思いませんでした。ファステストラップに関しては、エンジニアからあとどのくらい縮めればよいかを聞かされていたので狙いにいきましたよ」


 14日の予選2回目は前日の同1回目と様相が異なり、常に“Marino Sato”の名前がタイミング・モニター上部に表示される展開。新品タイヤ2セット目の投入早々に1分23秒851を記録。続く周回ではセクター1ベスト、セクター2ベストを記録するも赤旗に邪魔された。赤旗解除後、セッション残り3分34秒でのアタックでは、1分23秒743と自己ベストを塗り替えてポールポジションの座を確固たるものとした。


「今日のクルマは昨日の決勝レース1のようなアンダーステア症状はなかった。今週末はユリアンが速く、自分がトップタイムだったとはいえコンマ1秒差では安心できなかったので、赤旗後もコースインしてダメ押しのアタックに出た」と会心の予選を説明した。


 同日の決勝レース2、佐藤はあっさりとポールトゥウインそしてファステストラップ獲得を決めた。2番手以降のレース展開はかなり荒れていたが、佐藤に関しては危なげない場面が一度もない余裕の独走だった。


 佐藤は「昨日はよくなかったスタートで今日は良いスタートをきれた。後ろの混戦もあって、最初の1、2周でリラックスできるくらいのギャップを築けて、走りに集中できた。タイヤの銘柄が異なるほかのレースの直後だった影響か? あるいは風が吹いていたからか? 最初はコースがすごく汚くて、レース序盤は攻めあぐねるところもありましたね」と話しながら額の汗をぬぐった。


「でも、焦りはありませんでした。途中では後ろのユリアンのほうが速く、ファステストラップで抜かれたという無線も飛んできたので、少しペースを落としてタイヤに負担をかけないようにしてから、一発タイムを出しに行った。そのせいで最後の3周は少しタイヤがキツかったけれど、ファステストラップを取れたから満足。ほぼ完ぺきな週末だった」


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 このEFOと並行してFIA-F3にも参戦している角田と名取は、日程が重なる9月6〜8日の第7大会(イギリス・シルバーストン)もFIA-F3を優先し、EFOは欠場する予定。そのため、現在、佐藤(262点)とドナー(154点)による一騎討ちの様相を呈しているEFOのチャンピオン争いは、第8大会(スペイン・バルセロナ)と最終大会(イタリア・モンツァ)の2大会を残し、早ければ次回の第7大会で決着する可能性もある。


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