フォーミュラEローマはデニスが選手権リードを広げる1勝。ニッサンも今季初の2位表彰台を獲得

2023年7月19日(水)21時55分 AUTOSPORT web

 7月15〜16日、2022/2023年ABB FIAフォーミュラE世界選手権シーズン9の第13戦、第14戦ローマE-Prixがイタリア・ローマで開催され、第13戦はミッチ・エバンス(ジャガーTCSレーシング)、第14戦はジェイク・デニス(アバランチ・アンドレッティ・フォーミュラE)が優勝を飾った。


 イタリアの首都ローマ市街に設営された特設サーキットで行われたフォーミュラEのダブルヘッダーレース。まず15日に行われた第13戦の予選では、昨シーズンのローマ戦でも連勝を飾るなど、同地を得意としているエバンスがデュエル形式の予選を勝ち上がりポールポジションを獲得した。


 その午後、気温30度を超える暑さのなか迎えた決勝レースのスタートでは、2番グリッドのサム・バード(ジャガーTCSレーシング)が抜群の蹴り出しをみせてエバンスをかわすと、ジャガーTCSレーシング勢が1-2体制で隊列をリードしていく。

2022/23年フォーミュラE第13戦ローマE-Prix 決勝レーススタートの様子


 3周目には、16番手を走行していたアンドレ・ロッテラー(アバランチ・アンドレッティ・フォーミュラE)がクラッシュしマシンをコース上に停止させた影響で、早くもレースはセーフティカー(SC)が導入される。


 レースは5周目に再開。そのリスタート直後、トップを走るジャガーTCSレーシングの2台はエバンスとバードの順位を入れ替え、エバンスが隊列の先頭に出る。2番手に下がったバードは、ペースが上がらないのか後方のサッシャ・フェネストラズ(ニッサン・フォーミュラEチーム)とレネ・ラスト(ネオム・マクラーレン・フォーミュラEチーム)にも順位を譲り、4番手にダウンしてしまう。


 この順位変動で生まれた少しのギャップを利用して、各ドライバーが1度目のアタックモードを使用していくなか、9周目には順位を下げたバードが高速コーナーのターン6でリヤを滑らせ単独スピン。バードのマシンはコーナーのブラインドとなる位置に停止してしまい、後続のセバスチャン・ブエミ(エンビジョン・レーシング)、エドアルド・モルタラ(マセラティMSGレーシング)らがバードのマシンに続けざまに追突する多重クラッシュが発生。このアクシデントの影響でレースは即座に赤旗中断となった。



ダメージを負ったサム・バードのマシンとエドアルド・モルタラのマシン


 クラッシュした3台のほかにも、アントニオ・フェリックス・ダ・コスタ(タグ・ホイヤー・ポルシェ・フォーミュラEチーム)、ルーカス・ディ・グラッシ(マヒンドラ・レーシング)、ロビン・フラインス(ABTクプラフォーミュラEチーム)がマシンにダメージを負ってしまい、計6台がリタイアに。しかし、幸いにもクラッシュを喫したドライバーたちに大きなケガはなく、クラッシュ発生からおよそ45分後、レースはフェネストラズを先頭にスタンディングスタートで10周目から再開を迎えた。


 好スタートを決めたフェネストラズを先頭に隊列は周回を重ねていく。しかし、レース前半にバッテリーを多く消費していたフェネストラズはペースダウンを余儀なくされ、その隙に2番手のデニスがトップへ浮上する。


 その後は、アタックモードの使用に伴ってトップ集団の順位が入れ替わっていく展開になり、トップ走行のデニスはライバルたちに対してバッテリー残量が数パーセント劣りペースを上げることができない。これを見た2番手のエバンスは22周目のターン7でデニスをオーバーテイクして首位に立つと、そのままラストスパートをかけて第13戦のトップチェッカーを受けた。2位にはデニスを抜いたニック・キャシディ(エンビジョン・レーシング)がつけ、3位にはマキシミリアン・ギュンター(マセラティMSGレーシング)が入っている。

2022/23年フォーミュラE第13戦ローマE-Prix トップを争うミッチ・エバンス、ニック・キャシディ、マキシミリアン・ギュンター
2022/23年フォーミュラE第13戦ローマE-Prix 表彰式の様子


■第14戦はニッサンのナトが大躍進の2位表彰台獲得


 翌日曜日には第14戦の予選が行われ、シリーズタイトルを争うデニスとキャシディがデュエル形式の最終バトルで直接対決を演じ、わずか0.071秒の差でデニスがポールポジションを獲得。そして3番手には、前大会ポートランドに続いて速さを披露したノルマン・ナト(ニッサン・フォーミュラEチーム)がつけた。


 土曜日に続き、雲ひとつない好天のもとに迎えた第14戦の決勝スタートでは、ポールスタートのデニスがトップを守って1コーナーを駆け抜けていく。


 しかし2周目のターン7で、3番手のエバンスがブレーキングで姿勢を乱し、減速しきれず2番手のキャシディに追突してしまうアクシデントが発生。エバンスのマシンはキャシディのマシンに乗り上げそのままバリアにクラッシュし、追突されたキャシディもコーナーを曲がることができずにエスケープゾーンへと退避した。キャシディはその後レースに復帰したが、エバンスはピットにマシンを戻し、レースを終えている。




 このクラッシュによりSC導入となったが4周目に再開となり、デニスを先頭とする隊列は、1度目のアタックモードを使用するタイミングを伺いつつも周回を重ねていく。


 8周目に首位のデニスは1度目のアタックモードを使用し、2番手ナトもデニスに合わせてアタックモードへ。首位デニスは前日に苦戦したバッテリーマネジメントに注意しながら、2番手に浮上してきたバードの猛攻に耐える周回が続く。

2022/23年フォーミュラE第14戦ローマE-Prix 首位争いを繰り広げるジェイク・デニスとサム・バード


 12周目には、ルーカス・ディ・グラッシ(マヒンドラ・レーシング)がターン8でウォールにヒットするアクシデントが発生するも、レースはそのまま続行に。続く13周目にはバードが1度目のアタックモードを使用するためにアクティベートゾーンに進むと、ニッサンのナトが2番手に浮上してくる。


 トップのデニスと2番手のナトは、ともに順位をキープしながら2度目のアタックモードを使用してレースは折り返しを迎える。首位デニスに接近したいナトだが、背後から迫るバードに対する防戦を強いられ、デニスはこの間にバッテリーマネジメントに徹する走りにシフトする。

2022/23年フォーミュラE第14戦ローマE-Prix サム・バードから2番手を守るノルマン・ナト


 2番手のバトルにも助けられたデニスは、後続とのギャップに注意しながらペースコントロールに専念し、最終的には3.105秒のリードを築いてトップチェッカーを受けた。2位にはバードとのバトルを制したナトが入り、ニッサン勢としては今季初の表彰台獲得に。3位には第13戦で喫したクラッシュの雪辱を晴らすバードが続いた。


 ローマE-Prixを終えてのポイントランキングトップは第14戦優勝のデニスとなった。ランキング2位にはキャシディが続くも、第14戦の14位ノーポイントが響き、デニスと24ポイント差をつけられている。フォーミュラEシーズン9の次戦は、7月29〜30日にシーズン最後の大会となる第15戦、第16戦ロンドンE-Prixが開催される予定だ。

2022/23年フォーミュラE第14戦ローマE-Prix 表彰式の様子
2022/23年フォーミュラE第14戦ローマE-Prix 今季初の表彰台を獲得したノルマン・ナト(ニッサン・フォーミュラEチーム)


■2022/23年フォーミュラE第13戦&第14戦ローマE-Prix 順位結果


2022/23年フォーミュラE第13戦ローマE-Prix 順位結果




























































































































































































Pos.No.DriverTeamLap/GapGrid
19M.エバンスジャガーTCSレーシング27Laps1
237N.キャシディエンビジョン・レーシング1.6399
37M.ギュンターマセラティMSGレーシング9.1268
427J.デニスアバランチ・アンドレッティ・フォーミュラE21.0107
525J-E.ベルニュDSペンスキー21.48216
651N.ミューラーABTクプラフォーミュラEチーム21.85814
717N.ナトニッサン・フォーミュラEチーム24.07111
83S.セッテ・カマラNIO333レーシング・フォーミュラEチーム25.42721
994P.ウェーレインタグ・ホイヤー・ポルシェ・フォーミュラEチーム28.58210
1023S.フェネストラズニッサン・フォーミュラEチーム30.3423
111S.バンドーンDSペンスキー44.96112
128R.メリマヒンドラ・レーシング1’05.04819
1333D.ティクトゥムNIO333レーシング・フォーミュラEチーム1’34.80018
NC5J.ヒューズネオム・マクラーレン・フォーミュラEチームDNS0
NC11L.ディ・グラッシマヒンドラ・レーシングDNF15
NC48E.モルタラマセラティMSGレーシングDNF6
NC4R.フラインスABTクプラフォーミュラEチームDNF17
NC16S.ブエミエンビジョン・レーシングDNF4
NC10S.バードジャガーTCSレーシングDNF2
NC36A.ロッテラーアバランチ・アンドレッティ・フォーミュラEDNF20
NC58R.ラストネオム・マクラーレン・フォーミュラEチームDNF5
NC13A.F.ダ・コスタタグ・ホイヤー・ポルシェ・フォーミュラEチームDNF13


2022/23年フォーミュラE第14戦ローマE-Prix 順位結果




























































































































































































Pos.No.DriverTeamLap/GapGrid
127J.デニスアバランチ・アンドレッティ・フォーミュラE24Laps1
217N.ナトニッサン・フォーミュラEチーム3.1053
310S.バードジャガーTCSレーシング3.6335
448E.モルタラマセラティMSGレーシング4.3579
516S.ブエミエンビジョン・レーシング5.0048
67M.ギュンターマセラティMSGレーシング5.4036
794P.ウェーレインタグ・ホイヤー・ポルシェ・フォーミュラEチーム11.58615
81S.バンドーンDSペンスキー11.95118
933D.ティクトゥムNIO333レーシング・フォーミュラEチーム12.5637
1051N.ミューラーABTクプラフォーミュラEチーム13.31319
115J.ヒューズネオム・マクラーレン・フォーミュラEチーム14.50711
1213A.F.ダ・コスタタグ・ホイヤー・ポルシェ・フォーミュラEチーム18.03410
1358R.ラストネオム・マクラーレン・フォーミュラEチーム21.02913
1437N.キャシディエンビジョン・レーシング23.4752
1525J-E.ベルニュDSペンスキー1’26.62312
1623S.フェネストラズニッサン・フォーミュラEチーム1LAP22
NC9M.エバンスジャガーTCSレーシングDNF4
NC8R.メリマヒンドラ・レーシングDNF21
NC11L.ディ・グラッシマヒンドラ・レーシングDNF14
NC3S.セッテ・カマラNIO333レーシング・フォーミュラEチームDNF16
NC4R.フラインスABTクプラフォーミュラEチームDNF20
NC36A.ロッテラーアバランチ・アンドレッティ・フォーミュラEDNF17


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