久保建英と安部裕葵の主戦場。スペイン「2部B」のレベルは?

7月19日(金)7時17分 Sportiva

 スペインに渡った久保建英と安部裕葵。ふたりはそれぞれレアル・マドリード、バルセロナに在籍するが、当面はそのセカンドチームで研鑽を積む可能性が高い。いわゆるカスティージャとバルサBだ。

 両チームが所属するリーグは日本で「3部」と紹介される。3番目に高いカテゴリーという点では3部である。しかし3番目ではあっても、3部リーグではない。「2部Bリーグ」。スペイン語では「Segunda B(セグンダ・ベー)」と呼ばれる。

「セグンダB」は1978年、2部と3部の間のリーグとして創設された。当初はふたつの地域で行なわれていたが、現在は拡張し、4つの地域に分かれている。4×20チーム=80チームが所属。日本で言えば、J3が4つの地域にあるような状況か。ちなみにその下の3部(実質4部)は18地域に分かれているので、JFLが18つあるようなものだ。そんな下部リーグの厚みにこそ、リーガ・エスパニョーラの強さの深淵がある。

 久保、安部が挑む「セグンダB」はどのような舞台なのか。


バルセロナで囲み取材に応じる安部裕葵

 高齢やケガで力は落ちたが、経験豊富な手練れ。未成熟さを残すが、野心的で鋭い動きができる若手。あるいは神童の誉れ高かった選手が再起を期す。さまざまな事情の選手が入り乱れるリーグと言える。

<プロとしての生き残りをかけた修羅の場>

 それが一番、ふさわしい表現かもしれない。ここでの戦いによって、プロ選手としての価値が判断される。スペイン国内でトップクラスに上りつめる選手もたいてい一度は経験している。スタートの場所であり、土俵際でもあるのだ。

 その試合は、1部リーグの選手よりも技術的には落ちるため、かなり荒っぽいプレーが多くなる。単純にフィジカルコンタクトが激しい。そこで相手より優位に立つための技術やスピード、もしくは駆け引きの力が試される。

 リオネル・メッシも、16歳で「セグンダB」を主戦場にし、タックルの集中砲火を浴びている。しかしそれを怖れず、かわし、前にボールを持ち運べた。そして、17歳の時には堂々とトップデビューを飾っているのだ。

 久保や安部はセカンドチームの一員になるわけだが、カスティージャやバルサBは実質的にはU−20に近いチームで、大人を相手にすることになる。ベテラン選手たちは若造を相手に目の色を変え、止めに来るだろう。日本人で目立つだけに、タックルの的にもなりやすい。ふたりはコンビネーションを使いながら、それをはねのけ、ゴールに迫ることができるか。1対1の球際や守備の部分での戦闘力も試されるはずだ。

 もちろん、早い段階での昇格の可能性はある。昨シーズン、ブラジル代表FWヴィニシウス・ジュニオールはカスティージャで5試合4得点。ダイナミックなドリブルとパスで格の違いを見せつけ、トップチームに定着することになった。

「セグンダB」とレアル・マドリードやバルサのトップではレベルが違いすぎるため、簡単に昇格できないのは確かだが、結果を出せば確実に道は広がる。昨シーズン、カスティージャでリーグ得点王になったFWクリスト・ゴンサレスは、トップデビューを果たし、得点も記録した。そして今シーズンは、買い戻しオプション付きでセリエAのウディネーゼへの移籍が決まったのだ。

 さらに、監督によっては特例を講じることもある。

 かつてバルサを率いたジョゼップ・グアルディオラは、ほとんどバルサBを経験していない(出場は1試合)セルヒオ・ブスケッツのトップ起用に踏み切っている。自分たちが圧倒的にボールを回すスタイルにおいて、ボールプレーヤーの力を出し切れるブスケッツを、下部リーグでの肉弾戦で浪費させなかったのだ。選手のキャラクターやチーム状況によっては、必ずしも「セグンダB」が適当な舞台とは言えない。

 ともあれ、カスティージャもバルサBも、2部昇格が今季の目標になる。

 カスティージャは昨シーズン、「セグンダB」のグループ1で4位となり、プレーオフに回ったが、惜しくも敗れている。1位と2位だったチームは昇格しただけに、今シーズンの当面のライバルは3位のアトレティコ・マドリードB。”レジェンド”ラウル・ゴンサレスはどのような采配を振るうのか。

 一方のバルサBは昨シーズン、グループ3で8位と期待を裏切ることになった。UEFAユースリーグ(ユース年代のチャンピオンズリーグ)優勝メンバー中心で挑んだが、成績は低迷。ただし、ルシア・ピミエンタ監督は続投が濃厚と言われる。今シーズンは第2節で、2部から降格してきたヒムナスティック・タラゴナ(かつて鈴木大輔が所属していた)と、新設のヨハン・クライフ・スタジアムで戦う。過去に1部の経験のあるエルクレスや、育成に定評のあるビジャレアルBなど、群雄割拠を勝ち抜けるか。

 カスティージャとバルサBのチームとしての強化の難しさは、シーズン中にも選手の顔ぶれが目まぐるしく変わる点にある。活躍した選手はトップ昇格、もしくは移籍するため、継続性は望めない。プレシーズンを始動しても、たとえばトップチームの北米ツアーや日本ツアーに数名が帯同する。実際、久保は連日、北米遠征での様子が伝えられているし、安部も日本での親善試合に参加する予定だ。

「セグンダB」の開幕は、1部リーグより1週間遅い8月25日。生き残るための戦いが火蓋を切る。

Sportiva

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